前回の記事「10年続けた議事録更新の手作業をAIとの分業に変えた話」では、長年の定型作業をAIに引き継いだ実例をご紹介しました。今回は少し毛色の違う仕事です。営業のご案内を送る先のリストづくりを、AIに任せてみた話です。
「営業」と聞くと身構える方もいるかもしれませんが、中身は地味です。公的な名簿から、ご案内をお送りするのにふさわしい先を選び出し、宛先を確かめる——それだけの仕事です。ただ、この「それだけ」が、一人でやると丸一日仕事になります。
名簿とにらめっこの一日
弊社では、新しいサービスのご案内を、関係の深い分野の事務所様へお手紙でお送りすることがあります。送り先の候補は、国が公開している支援機関の名簿から選びます。
この名簿、数千件が載った大きな表です。ここから「地域が合う先」「業種が合う先」を選び、さらに一件ずつ、いまも実際に営業されているか、住所は変わっていないかを調べて確かめる。以前は名簿を眺めては検索し、メモを取り、また名簿に戻る——を繰り返して、10件そこそこのリストに丸一日かかっていました。
「条件を伝えると、確認済みリストが返ってくる」に変わった
今回はこの仕事を、最初からAIと一緒に進めました。手順はこうです。
1. 名簿と選ぶ基準を渡す
名簿のファイルと一緒に、「この地域」「この業種」「すでにご案内済みの先は除く」という基準を伝えます。基準そのものを決めるのは人間の仕事です。ここが曖昧なままだと、AIは的外れなリストを量産します。
2. AIが絞り込みと実在確認を進める
AIは表から条件に合う先を絞り込み、さらに一件ずつ公開情報を調べて、いまも活動されているか、住所の表記は正しいかを確かめていきます。人間なら検索窓に一件ずつ打ち込む作業が、会話の中でまとまって返ってきます。
3. 確認の根拠ごと受け取る
出てきたリストには「どの情報で確認したか」が添えられています。鵜呑みにするのではなく、根拠を見て納得してから採用する。この形にしてから、リストの信頼度が目に見えて上がりました。
結果、丸一日かかっていた仕事が、判断の時間を含めて1〜2時間になりました。
AIが見つけてくれた「危ない重複」
今回いちばん助かったのは、絞り込んだ候補の中に同じ法人の別事務所が2つ紛れていたのを、AIが指摘してくれたことです。名簿上は別々の行に載っていて、名前も少し違う。人間が目視で選んでいたら、まず気づかずに両方へ送っていたと思います。
同じ会社に同じ手紙が2通届く——小さなことのようで、受け取った側の印象は確実に下がります。「送ってはいけない先を見つける」のも、リストづくりの大事な仕事なのだと、改めて気づかされました。
それでも人間が手放さない工程
これまでの記事と同じで、任せない部分ははっきり決めています。
送るかどうかの最終判断。 リストに載ったから送る、ではありません。一件ずつ眺めて「この先にこのご案内は本当に合っているか」を考えるのは人間の仕事です。ご縁は道具では作れません。
文面と宛名の最終確認。 お名前の漢字ひとつ、様と先生の使い分けひとつで、手紙の印象は変わります。投函前の読み直しは、これからも省きません。
あなたの会社の「調べ物に消える一日」は何ですか
営業先探しに限らず、「一覧から選んで、一件ずつ調べて、確かめる」という形の仕事は、どの会社にもあるはずです。仕入先の候補探し、イベントの出展先選び、求人媒体の比較——。
そうした仕事のどこまでをAIに任せられるか、どこからが人間の仕事か。その見極めからお手伝いする「AI業務診断」を行っています。
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