売上2.5倍!京都の清水焼工房がオンラインで世界のファンをつかんだ物語

炎が描く深紅――清水焼が世界で輝く瞬間を、あなたのビジネスに。

コロナ禍で観光ゼロになった京焼工房が、
サイト刷新×ストーリーテリングで 半年で売上2.5倍
成功の全プロセスを事例公開します。

京焼・清水焼は千年近い歴史をもつ京都の代表的な工芸品ですが、その多くは五条坂周辺の実店舗での対面販売に依存してきました。本記事では、清水五条の路地裏に工房を構える「清水窯」が、ストーリーテリングとSEOを掛け合わせたサイトリニューアルによって、わずか半年で売上を2.5倍に伸ばした実例を紹介します。EC化に踏み切れず悩む伝統産業の皆さまにとって、参考になるヒントが満載です。

工房の課題──「世界に売れるはずの器が埋もれている」

三代目陶工の佐々木さんは、代名詞である辰砂釉の深紅に絶対の自信を持っていました。しかしコロナ禍で観光客が激減すると、年間6,000個出ていた湯呑の売上は1,800個まで落ち込みます。オンラインショップは10年前に制作したままで、英語表記も決済機能も不十分。「グローバルファンはいるのに、器が海を渡らない」というジレンマが続いていました。

ヒアリング──まず掘り起こしたのは「祖父の実験ノート」

オフィスピコッツが最初に行ったのは、商品説明よりも前に物語の源泉を発掘することでした。倉庫の棚から見つかった70冊のスケッチブックには、初代が配合を試行錯誤した釉薬レシピと、五条坂の窯元仲間との交換日記が残されていました。これこそがブランドの唯一無二性を証明する一次資料です。

物語の 4 要素

  1. 主人公: 三代目陶工・佐々木孝太郎さん
  2. 目標: 「辰砂釉を世界100ヶ国の食卓へ」
  3. 困難: オンライン認知度ゼロ
  4. 解決: 祖父のノートを軸にしたストーリーテリング×EC

サイト設計──「窯の温度変化」を可視化する UI

トップページのファーストビューには、800℃から1,250℃まで漆黒から朱へ変わる炉内動画を配置し、炎のグラデーションを横長で切り取って没入感を演出しました。スクロールすると祖父の手書きノートの写真が現れ、ユーザーは自然に「レシピの秘密」を読み進める流れになります。

キーワード戦略

  • 主軸:「京焼 通販」「清水焼 マグカップ 英語」
  • 関連:「辰砂釉 レッド グレーズ」「京都 土産 海外発送」

GoogleのPeople Also Askを約80件抽出し、Q&Aを自然文で作成。たとえば「辰砂釉の赤はなぜ出るの?」という素朴な疑問に、鉄分と還元焼成の科学的解説を添えました。結果として、専門性(E)、経験(E)、信頼性(A)、権威性(T) が高まり、公開 60 日で主要 12 キーワードが検索 10 位以内に入りました。

EC 機能

海外決済対応のShopifyを導入し、FedExと日本郵便の送料比較をカート内で自動表示。これにより欧米ユーザーの購入完了率が8%→22%に跳ね上がりました。

コンテンツ運用──「窯出しライブ配信」がヒット

毎月第 1 金曜に実施するインスタLive「今月の窯出し」は、最大同時視聴2,300人を記録。ライブ中に質問された技法を翌週ブログで詳解し、動画 → 検索 → EC のトリプル導線を形成しました。GA4 のデータでは、ライブ視聴者の34%が30日以内に購入へ転換しています。

成果──公開 6 か月で指名検索が 3 倍

  • 自然検索流入: 月間 1,200 → 6,800 セッション(+467%)
  • 海外売上比率: 3% → 28%
  • 総売上: 月商 220 万 → 550 万円
  • 平均客単価: 3,200 円 → 4,700 円
  • メルマガ登録者: 240 → 1,450

「祖父が残した赤い釉薬が、やっと世界で輝き始めた」と佐々木さんは語ります。メディアが取材に訪れ、地元メディア露出から国内注文も増加。ストーリーを紡ぐことで、伝統工芸が未来へ橋を架けた瞬間でした。

データ分析が示した 3 つのインサイト

公開3か月目のヒートマップでは、トップページよりも「釉薬の開発ストーリー」記事のスクロール完読率が72%と突出していました。物語性の高い長文コンテンツは平均の 3 倍滞在時間を伸ばすことが判明。また海外ユーザーの58%が「送料シミュレーター」を利用しており、言語よりも「到着までの日数」を重視する傾向が見て取れました。さらに米国西海岸からのアクセスが深夜帯(日本時間午後1時〜5時)に集中している事実を踏まえ、自動チャットボットに英語 FAQ を実装。これだけでカート放棄率が41%→23%に改善しました。

組織変革──クラフトマンシップとマーケティングの融合

サイトリニューアルに合わせ、工房は若手2名を「デジタル担当」として登用。クラフトマンが自らSEO記事を書くことで、専門用語の誤訳リスクを排除しつつ更新スピードを維持しました。加えて撮影機材と動画編集ソフトを補助金で導入し、制作→公開までのリードタイムを 3 週間から 5 日に短縮。現場主導のPDCAが回るようになり、経営層の意思決定も早まりました。

地域連携──五条坂ブランドの再興

清水窯は、「バーチャル窯元巡り」特設サイトを運営。オンラインで360°作業風景を公開し、月間8,000ユーザーがシルクロードのようにリンクを回遊。相互送客によりリファラル流入18%増え、EC売上は平均で1.6倍に伸長。五条坂全体のブランド認知を底上げする好循環が生まれました。

今後の展望

佐々木さんは「次はAR技術 を使って、購入前に自宅のテーブルに器を配置する体験を提供したい」と語ります。オフィスピコッツでは3Dモデル撮影からWebAR実装まで支援を予定。伝統工芸と最新技術の融合で、“選ばれる理由” をさらに強固にすることが目標です。

まとめ──伝統産業がデジタルで飛躍する 3 つの要諦

  1. 一次資料をコンテンツ化
    歴史的なノートや道具を、写真・動画・年表で見せることで専門性と独自性を証明します。
  2. 国際購買ハードルを最小化
    決済・送料・多言語FAQをワンストップで解決し、購入ステップを3クリックに短縮します。
  3. ライブ × 記事 × EC の循環
    リアルタイム体験を起点にブログとショップを相互送客し、LTVを最大化します。

京都には、まだ語られていない宝物のような物語が無数に眠っています。「うちの工房にも可能性があるのでは?」 と感じた方は、ぜひオフィスピコッツまでご相談ください。物語とテクノロジーの融合で、世界へ一歩踏み出すお手伝いをいたします。

あなたのビジネスにも、語るべき物語があります

ストーリーテリング×SEOで成果を出す第一歩を踏み出しませんか?

ABOUT US
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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。