ストーリーテリングの教科書|第10回

自分の物語をどうつくるか

ここまで、物語の構造、主人公、課題、導き手、変化、表現、媒体ごとの使い方を見てきました。
最後は、それらを自社の発信にどう落とし込むかです。
第10回では、自分の物語を整理するための考え方をまとめます。

この回でわかること

自社の物語を整理するときの基本の見方
どこから考え始めると進めやすいか
ホームページやSNSに落とし込む考え方
自社らしい言葉へ整えるときの注意点

最初から「きれいな物語」を作ろうとしなくて大丈夫です

自分の物語を作ると聞くと、立派な理念や感動的な創業話が必要だと思ってしまうことがあります。

でも実際には、最初から整った物語を作る必要はありません。 むしろ大事なのは、すでにある事実や考えを、意味のある順番で整理することです。

ストーリーテリングは、何かを新しく作り足すことよりも、 すでにある背景や考え方を、伝わる形に整える作業に近いものです。

まず整理したい4つの要素

自社の物語を考えるときは、最初に全部をまとめようとしなくても大丈夫です。 まずは、次の4つを分けて考えると進めやすくなります。

背景

なぜこの仕事をしているのか、どんな経験や問題意識があったのかを整理します。

課題

どんな困りごとや違和感を見てきたのか、何を解決したいと思っているのかを整理します。

支え方

自社がどう関わり、どう支え、どこを整える存在なのかを整理します。

変化

結果として、相手にどんな変化が起きるのかを整理します。

自社の物語は「自分」だけの話ではありません

自分の物語というと、自分自身の経歴や想いだけを語るものに見えるかもしれません。 でもビジネスの物語では、それだけでは十分ではありません。

大切なのは、

自分が何を見てきたか
相手がどんな困りごとを抱えているか
そのあいだで、自分はどう支えるのか
結果として何が変わるのか

をつなげて考えることです。 つまり、自社の物語は「自分の話」と「相手の話」の交点にあります。

言葉にするときは、強くしすぎない方が自然です

自社の物語をまとめるとき、よくあるのは、良く見せようとして言葉が強くなりすぎることです。

たとえば、

唯一無二
圧倒的
必ず成果が出る
絶対に必要

こうした言葉は、場合によっては印象に残りますが、 自社の物語を整理する段階では、少し控えめな方が自然です。 背景、課題、支え方、変化が見えていれば、言葉を強くしすぎなくても伝わります。

ホームページでは、ページごとに分けて見せると整理しやすくなります

自社の物語をひとつの長文で全部語ろうとすると、かえって重くなりやすくなります。 ホームページでは、ページごとに役割を分けた方が整理しやすくなります。

会社紹介ページ

背景や価値観を見せる場所として使います。

サービスページ

課題、支え方、変化を見せる場所として使います。

実績やお客様の声

実際に起きた変化を、現実の事例として見せる場所にできます。

こう考えると、自社の物語は一つの文章ではなく、 サイト全体で少しずつ伝えていくものとして整理しやすくなります。

SNSでは「一部を切り出して続ける」方が向いています

SNSでは、自社の物語全体を一度に見せるのは難しいことが多くあります。 だからこそ、一部を切り出しながら続けていく感覚が向いています。

なぜその考え方にたどり着いたのか
最近あらためて感じた違和感
よくある相談の背景
うまくいくと何が変わるのか

そうした断片を少しずつ積み重ねることで、 自社の物語はSNSでも自然に伝わっていきます。

最終的には「自分たちらしさ」が残れば十分です

ストーリーテリングを学ぶと、うまく整えよう、きれいに見せようと考えがちです。 でも最後に残ってほしいのは、整いすぎた言葉ではなく、自分たちらしさです。

たとえば、

どこを大切にしているのか
何に違和感を持っているのか
どういう支え方がしたいのか
どんな変化を一緒に目指しているのか

こうしたものが伝われば、言葉が少し素朴でも十分意味があります。 ストーリーテリングは、きれいに飾るためではなく、 自分たちらしさを伝わる形に整えるために使うものです。

第10回のまとめ

自社の物語は整理で見えてくる

最初から完成形を作るのではなく、背景・課題・支え方・変化を順に整理すると進めやすくなります。

自分と相手の交点が大切

自分の話だけでも、相手の話だけでもなく、その交点に自社の物語があります。

自分たちらしさが残れば十分

強い言葉で飾るよりも、自分たちの見ている課題や支え方が伝わることが大切です。

全10回のまとめ

ここまで、物語の必要性から構造、主人公、課題、導き手、変化、表現、媒体ごとの使い方まで見てきました。
ストーリーテリングは、特別な人だけの技術ではなく、
伝える内容を整理して、相手に届きやすくするための考え方です。

自社の伝え方を整理したい方へ

会社紹介、サービス説明、実績紹介、SNS発信を、どうつなげて見せると自社らしく伝わるか。
ホームページ全体の構成や言葉の整理も含めてご相談いただけます。