こんにちは、オフィスピコッツの小笹です。
先日、新しいサービスを2つ公開しました。
一つは、AIから自社サイトがどう見えているかを毎月観測する、
「AI標本木」
です。
もう一つは、サイトを初めて見る人に実際に触ってもらい、どこで迷ったか、何が分かりにくかったかを記録する、
「一見さんテスト」
です。
この2つ、実は同じ日に公開しました。
朝の時点では、どちらもまだ「こんなサービスがあったら面白いかもしれない」という段階です。
それが夕方には、
- サービス内容
- 料金
- 対応範囲
- 注意事項
- よくある質問
- WordPressの公開ページ
- 公開後の文字チェック
- 検索エンジンへの登録依頼
- SNSでの告知
まで終わっていました。
途中には通常のクライアント対応も入っています。
先に書いておくと、今回は、
「AIを使えば何でも爆速で作れます」
という話ではありません。
AIが速かったのは確かです。
でも、1日で2商品を公開できた最大の理由はそこではありませんでした。
今回改めて分かったのは、
商品づくりの「型」ができていたから速かった
ということです。
商品ページを書く前に、一番時間がかかるもの
新しいサービスを作るとき、
「ページを書くのが大変そう」
と思われるかもしれません。
でも、実際に時間がかかるのは文章そのものではありません。
もっと前の段階です。
たとえば、
いくらにするのか。
何を含めるのか。
どこまで対応するのか。
成果物は何を渡すのか。
どんな人向けなのか。
逆に、何はしないのか。
何を約束してはいけないのか。
こうした決めごとに一番時間がかかります。
以前の私なら、新サービスを一つ思いついても、
「これはいくらなら妥当だろう」
「安すぎないか」
「高く見えないか」
「この内容でサービスとして成立するのか」
と、かなり長く考えていたと思います。
場合によっては、数週間考えて結局出さない。
そんなことも珍しくありませんでした。
ところが、この夏に小さなサービスをいくつも考えていく中で、
毎回ゼロから考えなくていい部分
が見えてきました。
今回、2商品を同日に公開できたのは、その共通部分を先に「型」にしていたからです。
型その1:値付けは「いくら」ではなく「どの棚か」で決める
一つ目は料金です。
現在、オフィスピコッツの小さなサービスには、大きく2つの料金棚があります。
1回きりの点検・調査
33,000円(税込)
たとえば、
- アクセシビリティかんたん点検
- やさしい日本語対応スポット
- ホームページのセカンドオピニオン
などです。
今回の「一見さんテスト」も、
一度サイトを見てもらって結果をまとめるサービスなので、この棚に置きました。
33,000円(税込)です。
毎月の見守り・観測
月額5,500円(税込)
継続して状態を観測するものはこちらです。
今回の「AI標本木」は、
毎月同じ条件でAIからの見え方を観測するサービスなので、この棚です。
月額5,500円。
初回の設計も5,500円としました。

つまり今回、
「AI標本木はいくらにしよう」
「一見さんテストはいくらなら売れるだろう」
と、一から考えていません。
考えたのは、
「この商品はどちらの棚に置くものか」
だけです。
料金の棚が先に決まっていると、値付けに使う時間がかなり減ります。
同じ33,000円でも、商品内容は違っていい
ここは少し重要です。
料金を棚に分けるというのは、
「全部同じ内容にする」
という意味ではありません。
アクセシビリティ点検と一見さんテストでは、当然やることは違います。
見る場所も違います。
成果物も違います。
ただ、
「1回きりの調査・点検をして、結果を返す」
という商品の性質は同じです。
そこに33,000円という棚を作ってあります。
新商品ができるたび、
値段を1円単位で設計し直す必要はありません。
新しい本を本棚へ入れるように、
「これはこの棚」
と判断するだけです。
商品設計そのものが、かなり軽くなりました。
型その2:「売るための言葉」より「言わないこと」を決める
二つ目の型は、注意書きです。
サービスページを作るときは、
「魅力をどう伝えるか」
を考えます。
もちろん必要です。
でもオフィスピコッツでは、それより先に、
「何を言わないか」
を決めるようになりました。
基本にしているのは3つです。
観測と改善を分ける。
事実と提案を分ける。
成果を約束しない。
今回のAI標本木は、このルールがかなり分かりやすく出ています。
AI標本木がするのは、
AIから今どう見えているかを定期的に観測すること。
です。
だからページには、
「AIに推薦されるようにするサービスではありません」
と明記しました。
検索順位を上げる。
ChatGPTにおすすめさせる。
問い合わせを増やす。
そうした成果を約束するサービスではありません。
まず同じ条件で観測し、
変化を見る。
それが商品です。
一見さんテストも「改善します」とは言わない
一見さんテストも同じです。
このサービスでは、初めて見る人にサイトを操作してもらいます。
どこをクリックしたか。
何を探したか。
どこで迷ったか。
何が分からなかったか。
それを記録します。
ここでも、
「ホームページを改善します」
とは言いません。
改善作業とは別の商品だからです。
また、テストする人の感想についても、
都合よく丸めて返すのではなく、
「感想はやわらげずにお伝えします」
としました。
さらに、
改善の依頼を前提にもしていません。
悪かったところを指摘したあとで、
「では修正も弊社へ」
という営業につなげるための商品ではない、ということです。
こうした注意書きは、商品ごとに一から考えると迷います。
「そこまで書いたら売れないのでは」
と思うからです。
でも、
観測と改善を分ける。
事実と提案を分ける。
成果を約束しない。
という原則が先に決まっていれば、
商品に合わせて当てはめるだけです。
AIとの仕事も、原則を渡すと変わる
この型は、AI社員との仕事にもかなり効いています。
単に、
「一見さんテストというサービスページを書いて」
と依頼するだけではありません。
AI側には、すでに、
- 料金の棚
- 商品ページの構成
- 3つの原則
- 既存サービスとのトーン
があります。
だから、
「この新商品は1回きりの点検・調査」
と決めれば、
33,000円の棚へ置く。
「これは観測サービス」
と決めれば、
成果保証を書かない。
そうした前提を毎回長々と説明しなくても済みます。
AIが賢くなったというより、
AIが迷わないようにルールを先に作った
という方が近いと思います。
型その3:ページ構成と公開後の流れも毎回同じ
三つ目は、実際の制作フローです。
商品ページの構成も、毎回完全に新しくは考えません。
基本的には、
- 冒頭の説明
- どんな悩みに向いているか
- 何をするか
- 何をしないか
- 料金
- 納品内容
- 注意事項
- よくある質問
- 相談・申込への導線
という型があります。
AI社員がまず原稿を出す。
人間が判断が必要な部分だけ詰める。
たとえば、
「被験者」という言葉でいいのか。
月何件まで受付するか。
レポートを何ページ程度にするか。
どこまでを料金内に含めるか。
そういうところです。
文章の骨組みを毎回ゼロから書くのではなく、
判断だけを人間が入れる。
これも時間短縮につながっています。
公開したあとにも「型」がある
WordPressで公開して終わりでもありません。
現在は公開後の流れもほぼ決めています。
ページを公開。
↓
AI社員が実際の公開ページを取得。
↓
元原稿との違いを確認。
↓
誤字・脱字・抜けを検品。
↓
問題がなければ検索エンジンへ登録依頼。
↓
SNSで告知。
この「公開後の検品」が意外と重要です。
AI社員実践記の第17話では、AIが作ったコードをAI自身のテストが落とし、
「東京都」に含まれる「京都」を地域判定で拾ってしまう問題を公開前に止めました。
文章も同じです。
「原稿が正しい」ことと、
「公開されたページが正しい」
ことは別です。
今は、公開したものをもう一度見るところまでを1セットにしています。
実際の1日はどう進んだか
今回の2商品を公開した日の流れを整理すると、こんな感じでした。

午前
まず「AI標本木」の設計をAI社員と詰めました。
既存の料金棚へ当てはめます。
続いて3原則へ当てはめます。
毎月どのタイミングで観測するか。
何を記録するか。
何を成果として約束しないか。
必要な判断だけをしていきました。
昼
AI標本木のページ原稿が完成。
人間が最終調整。
WordPressへ入れて公開。
続けて公開ページを検品します。
午後
次は「一見さんテスト」。
基本的な流れは午前と同じです。
今度は33,000円の棚。
初見ユーザーが実際に触るサービスなので、
誰にテストしてもらうのか。
どこまで記録するのか。
どんな形で結果を返すか。
を決めます。
ページ原稿。
人間の確認。
公開。
検品。
夕方
2ページとも公開済み。
検索エンジンへの登録依頼。
SNS告知まで完了しました。
この間にも、通常のクライアント対応はしています。
商品づくりだけに丸一日こもったわけではありません。
2商品を作るために実際に使った正味時間は、
合わせて数時間程度
でした。
「1日2商品」は目標ではない
ここは誤解のないようにしておきたいところです。
今後、
「毎日2商品作ろう」
とは思っていません。
商品数を増やすこと自体には意味がありません。
必要のないサービスを100個作っても仕方がないからです。
今回面白かったのは、
「こんなサービスがあったらどうだろう」と思ったものを、試せるところまで持っていくコストが下がった
ことです。
以前なら、
アイデア。
料金。
文章。
ページ制作。
公開。
告知。
そこまで想像すると、
「また今度でいいか」
となることがありました。
今は、
「とりあえず型へ入れてみよう」
と言えます。
商品にする価値がなければ、その段階でやめればいい。
公開日の受注は、どちらも0件
ここまで読むと、
「1日で2商品も出したなら成果がすごかったのでは」
と思われるかもしれません。
実際は、
公開日の受注は2商品とも0件です。
これは普通だと思っています。
その日に商品ページを公開しただけだからです。
今回変わったのは売上ではありません。
変わったのは、
試せる回数
です。
数週間かけて1商品を作ると、
どうしてもその商品へ思い入れができます。
時間を使った分、
「何とか売れてほしい」
と思います。
そして外れたときのダメージも大きい。
だから、次の商品を試すことにも慎重になります。
1日なら「違った」で終われる
数時間で作った商品なら、
実際に公開してみて、
反応を見る。
相談が来るかを見る。
検索されるかを見る。
既存のお客様の反応を見る。
そして、
「これは違ったな」
と思えばやめられます。
もちろん雑に作るわけではありません。
料金も注意事項も確認します。
公開後の検品もします。
ただ、
商品を出すための心理的なコストが小さくなった
ということです。
これは小さな会社にとってかなり大きいと思います。
大規模な市場調査や企画会議をしてから新商品を出す余裕はありません。
だったら、
小さく作る。
出す。
観測する。
続けるか判断する。
その方が合っています。
AI標本木も、一見さんテストも「観測」から始まっている
今回の2商品を見直すと、共通点もありました。
AI標本木は、
AIからどう見えているかを観測する商品。
一見さんテストは、
初めて見る人がどう行動するかを観測する商品。
どちらも、
最初から改善策を売るサービスではありません。
まず事実を見る。
そこから必要なら次を考える。
オフィスピコッツのサービス自体も、
最近はこの考え方が強くなってきました。
ホームページも、
すぐにリニューアルを勧めるのではなく、
まず今の状態を見る。
AI活用も、
とりあえずAIを導入するのではなく、
現在の業務を見る。
今回の商品づくりの3原則ともつながっています。
「型」は自由を減らすものではなかった
以前は、
テンプレートや型を作りすぎると、
どの商品も同じに見えるのではないか、
と思うことがありました。
今回やってみて、むしろ逆でした。
料金。
注意書き。
ページ構成。
公開手順。
そこを毎回考えなくていいから、
商品の中身そのものを考える時間が増えます。
一見さんテストなら、
「初めての人から何を取れば価値になるか」
を考える。
AI標本木なら、
「毎月何を固定して観測すれば変化が見えるか」
を考える。
変えなくていいところを固定したから、
変えるべきところへ集中できました。
AIを速くするより「迷わせない」
今回一番印象に残ったのはここです。
生成AIの性能は、どんどん上がっています。
文章も速く書けます。
コードも書けます。
企画も出せます。
でも、
何でも自由に考えてもらうと、
毎回違う答えが出ます。
料金も違う。
表現も違う。
商品ページの構成も違う。
それを人間が毎回調整するなら、
思ったほど仕事は速くなりません。
今回のように、
料金はこの棚。
表現はこの原則。
ページはこの雛形。
公開後はこの順番。
と決めておけば、
AIはそのレールの上をかなり速く走れます。
つまり、
AIそのものを速くするのではなく、AIが迷わない環境を作る。
これが今回の「型」の意味でした。
今回の結論
今回、1日で2つの商品を公開しました。
AI標本木。
一見さんテスト。
でも、
「AIなら1日で2商品作れる」
というのが今回の結論ではありません。
速くできた理由は、3つの型です。
1. 料金は「棚」で決める
1回きりの点検・調査なら33,000円。
毎月の見守り・観測なら月額5,500円。
新商品は値段をゼロから考えず、どの棚に置くかを決める。
2. 正直の言い方は3原則で決める
観測と改善を分ける。
事実と提案を分ける。
成果を約束しない。
何を言うかだけでなく、何を言わないかも先に決めておく。
3. ページ制作と公開後の流れを固定する
雛形に沿って原稿を作る。
人間が判断を入れる。
公開。
検品。
検索登録。
告知。
毎回同じ流れで進める。
AIが速いことは間違いありません。
でも、
型がないままAIだけ速くしても、毎回バラバラの商品を速く作るだけ
だったと思います。
決めごとを人間側で型にする。
AIには、型の中を流れる作業を任せる。
今のオフィスピコッツでは、このやり方がかなりしっくり来ています。
そして、この2商品が本当に必要とされるかどうかは、
これから観測します。
公開日は受注0件。
ここからが商品テストのスタートです。
AI社員実践記は、まだ続きます。
- AI標本木:https://pikoz.net/ai-hyohonboku/
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