横書きの資料なら左上。縦書きの資料なら右上。斜め45度。
最初に就職したのは、大手の進学塾でした。そこで教わったことの一つが、これです。
最初は、細かいことを言う会社だと思いました。ホッチキスの位置くらい、どこでもいいじゃないか、と。
でも、しばらくしてわかりました。これは形式の話ではありません。受け取った人が、どうめくるか。その一点から逆算した位置なのです。横書きなら左から右へ読むので、左上で留める。縦書きなら右から左なので、右上。斜め45度なのは、そのほうがめくりやすいから。
つまり、ホッチキスの位置を考えるということは、その資料を誰がどう扱うかを考えるということでした。
これを考えているかどうかで、その後の動きが変わります。考えている人は、資料の順番にも気を配る。ページ番号を振る。相手が探しそうな情報を前に置く。考えていない人は、とりあえず留めて終わりです。
何事にも目的がある。その目的を見極めて、それを達成するためにどういう作業をするか。ホッチキス一つでも、そこから始まっています。
授業も同じでした。
この授業の目的は何か。それを達成するために、どういう手順で進めるか。同じ単元の授業であっても、その校舎、そのクラスによって、進め方は違ってきます。同じ内容を同じように話せばいい、という仕事ではありませんでした。
だから、準備を徹底する。準備にかける時間は、授業の時間の10倍以上でした。
この二つが、今の仕事にそのままつながっています。
ホームページを作るとき、私はまず「このページは何のためにあるのか」を考えます。見た目を決めるのはその後です。目的が決まっていないのに配色やレイアウトの話をしても、判断の基準がないので決まりません。
そして、同じ業種の仕事でも、進め方は毎回違います。同じ「治療院のホームページ」でも、そこに来る人が違い、院長が大事にしていることが違い、できる作業量が違う。前の案件でうまくいった手順を、そのまま次に当てはめることはできません。
だから、準備をします。話を聞く。今のサイトを見る。お客さんがどう探すかを考える。作る前の時間が長いのは、そのせいです。
ホッチキスの位置を教わったときは、まさかこの話が二十年以上あとの自分の仕事につながるとは思っていませんでした。
でも、たぶんあれが最初でした。目的を見て、そこから手順を決める。私の仕事の型は、あの資料の左上から始まっています。
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