京都市商店街コラボ創出事業新消費創出促進支援事業補助金で実現する新規顧客を呼ぶホームページ制作術

「最近、お店を探しているお客さまが全然来てくれない」「SNSは頑張っているけれど売上が伸びない」――そんな悩みはありませんか。実はその課題、ホームページを見直すだけで大きく改善できる可能性があります。しかも京都市が今年度募集する商店街コラボ創出事業補助金を使えば、制作費の半分(条件次第では3分の2)を公的にサポートしてもらえるのです。これは「自分にもあてはまるかも」と思った方にこそ読んでほしいガイドです。ウェブマーケティングとSEO(検索エンジン最適化)の世界で20年以上現場に立つ筆者が、超初心者の方にも分かりやすく手順と要点を解説します。

もくじ

京都市商店街コラボ創出事業とは

事業の目的と背景

京都市産業観光局が公募する本補助金は、商店街と民間事業者が連携し、商店街を舞台に新しい消費を生み出す取り組みを支援する制度です。スタートアップ企業や地域外の専門家のアイデアを取り込み、従来の顧客層とは異なる層を呼び込みながら地域課題も解決することをゴールとしています。令和7年度(2025年度)の募集は、補助率が原則2分の1、上限100万円。子育て支援など公益性が高いと認められる企画なら補助率が3分の2に引き上げられる点も大きな魅力です。公募期間は2025年5月7日から11月28日までで、審査に通ると2026年4月以降の実施経費が対象になります。(京都市情報館)

連携のキーワードは「コラボ」。例えば商店街と旅行会社が組んで街歩きツアーを開発したり、学生と協力して新商品を企画したりと、発想次第で幅広い事業が対象になります。そのなかでホームページ制作は「広報費」「委託費」として計上できる代表例です。オンライン上に“店舗の顔”を設けることで、コラボ企画の情報発信力を飛躍的に高め、遠方からの来訪・EC(電子商取引)利用という新しい消費行動を生み出せるからです。

申請できる主体と補助対象経費

補助を受けられるのは、①商店会や地域商業ビジョン推進団体、②民間事業者(個人・法人)の2者が連携している案件です。IT企業やウェブ制作会社が単独で応募することはできませんが、商店街側から「ホームページを強化したい」と相談があれば、制作会社がプロパートナーとして参加する形で十分に申請可能です。対象経費は広報費・通信運搬費・委託費など多岐にわたり、サイト制作代金やドメイン・サーバー利用料、SEO設定費用も含めやすい構造になっています。(京都市情報館)

ここで覚えておきたい専門用語が2つあります。「ドメイン」とはウェブ上の住所にあたる独自URLのことで、「サーバー」はホームページのデータを保存し24時間公開状態にしておくコンピューターのことです。これらを契約する費用も補助対象に入れられるため、継続的な運用コストを抑えられる点がメリットです。

補助金がホームページ制作に向いている理由

コラボ補助金がサイト制作と相性抜群な理由は、審査評価項目に「新規性」「市場性」「継続性」が明記されているからです。検索エンジンでの上位表示を狙ったSEO対策や、EC機能を持たせたオンラインショップは、まさに市場性継続性を裏付ける数字(アクセス解析データや売上目標)を示しやすい施策です。さらに最新のCMS(コンテンツ管理システム)※1を使えば、専門知識がない商店街スタッフでも更新できる仕組みを簡単に構築できます。ここでいうCMSは、WordPress(ワードプレス)に代表される「記事や画像をブラウザ上で編集・公開できるシステム」の総称です。

ホームページ制作が補助対象になる理由

デジタル上の「看板」を整える重要性

スマートフォンが普及した今、来街者の多くは来店前に必ずウェブ検索を行います。ところが検索結果に商店街や店舗の情報が出てこなければ、比較対象にすら上がらず、商機を逃すリスクが高まります。ホームページは24時間働く看板であり、地理的な制約を超えて顧客にリーチできます。商店街コラボ補助金の趣旨である「新しい層の誘客」を実現するには、まずオンライン上に高品質な情報発信拠点を作ることが不可欠なのです。

加えて、ホームページは紙チラシやポスターと違い、公開後もアクセス解析(サイト訪問者数や閲覧ページを測定する仕組み)を通じて効果検証ができます。これにより補助金事業で求められる実施報告書の作成もスムーズになり、事業の透明性向上につながります。アクセス解析はGoogleアナリティクス4※2など無料の計測ツールで十分対応可能です。

※2 Googleアナリティクス4:Googleが提供する無料のウェブ解析サービス。ページビューやユーザー行動を可視化し、マーケティング施策の改善に役立てられる。

補助対象経費にホームページ費用を含める具体的ポイント

申請書の「委託費」欄には、サイト制作会社に支払うデザイン・コーディング・システム構築の対価を計上できます。また「広報費」にはリスティング広告(検索連動型広告)やSNS広告用のバナー制作費、「通信運搬費」にはサーバー・SSL証明書※3の更新費も含めやすいのが特徴です。補助金でサイト制作を行う場合は、制作費と運用費を事業期間内にバランス良く配分し、審査時に「完成後の運用シナリオ」を明確に示すことが合格のコツになります。

※3 SSL証明書:サイトと利用者のブラウザ間の通信を暗号化し、個人情報を安全に送受信するための電子証明。

補助金申請で失敗しない準備ステップ

スケジュールと必要書類を逆算する

公募期間は2025年11月28日が締切です。書類は郵送またはEメールで受け付けていますが、事前相談が必須である点に注意しましょう。京都市地域企業振興室へのヒアリング予約は早めに行い、申請書(第1号様式)と運営計画書(第3号様式)を作成するスケジュールを逆算します。サイト制作会社が連携事業者の場合、商店会側と役割分担を明確にし、運営計画書に更新体制を具体的に書き込むと評価が高まります。(京都市情報館)

必要書類には「構成員名簿」や「法人登記簿謄本」なども含まれるため、普段から法的書類を整理しておくと、申請時の負担を減らせます。書類作成では、専門用語を避け、誰が読んでも分かるような平易な言い回しに置き換えることが推奨されています。これは審査委員の多くがIT専門家ではないため、専門用語を注釈付きで説明する方が理解されやすいからです。

予算組みと費用対効果の示し方

補助金交付の可否は「採算性」と「継続性」の説明が鍵になります。サイト制作費用の目安を例示すると、トップページ+下層10ページ構成で80万円、EC機能追加でプラス40万円、SEO初期設定が20万円、サーバー・ドメインが年間2万円――合計142万円です。この場合、上限100万円の補助を活用すれば自己負担42万円で構築できます。さらに広告費20万円を広報費として追加計上すると総事業費は162万円、自己負担62万円。補助金割合を示しながら「広告流入で月1%のコンバージョン※4が得られれば12カ月で96万円の売上増」など数字ベースのシミュレーションを添えると説得力が増します。

※4 コンバージョン:サイト経由で来店予約・購入など事業者が定義する成果が発生すること。

成果を測る指標をあらかじめ決める

補助金には「採択後の実績報告」が必須です。ここで苦労する事業者が多いのですが、指標(KPI:重要業績評価指標)をサイト公開前に決定し、Googleアナリティクス4に設定しておけば集計が自動化され、報告書作成の時間を大幅に削減できます。例えば「公開後3カ月で月間ユニークユーザー2000人」「平均滞在時間1分以上」「EC購入率1%」など具体的で測定可能な数値目標を掲げ、それを運営計画書に記載します。

ここで注釈です。KPI(Key Performance Indicator)は、目標達成までの進捗を測るための定量的な指標のことです。ホームページの場合、アクセス数コンバージョン率が代表的なKPIになります。これを設定しないと「サイトを作っただけ」で終わる恐れがあり、補助金事業としての評価が低くなるので注意しましょう。

指標に基づく運用体制として、月1回のアクセス解析レポートを制作会社が提出し、商店街役員会で施策を協議するサイクルを提案すると、審査項目の「継続性・発展性」を強調できます。制作会社側も運用フェーズの契約を結ぶことで安定的に収益を確保できるため、双方にメリットが生まれます。

ウェブ制作会社との役割分担を明確にする

連携申請では「誰が何を担当するか」が審査で細かく問われます。商店街側はコンテンツの一次情報(写真提供、テキスト監修)を担い、制作会社はサイト設計・デザイン・システム構築・SEO対策を請け負う、と明示してください。さらに公開後の更新方法として、商店街スタッフ向けにCMS操作研修(1回2時間など)を実施するスケジュールを計画書に書き込むと、実現性を評価する観点で加点が期待できます。

CMS操作研修では、画像最適化(ファイルサイズ圧縮、alt属性の付与)、記事投稿の基本構造(タイトルタグ、メタディスクリプション※5の設定)、Accessibility(アクセシビリティ:情報格差をなくすための設計)といった要素をレクチャーすると、初心者でも質の高い更新を継続しやすくなります。

※5 メタディスクリプション:検索結果に表示されるページ概要文。適切に設定するとクリック率が向上する。

成功事例に学ぶコラボ型サイトの可能性

学生と連携した新商品ページで若年層を呼び込む

京都市内のある商店街では、大学のデザイン学部と協力して季節限定スイーツを開発し、特設ホームページで予約販売を行いました。ページでは開発ストーリーや学生インタビュー動画を掲載し、SNSシェアボタンを大きく配置。結果、サイト公開2週間で3000件を超えるアクセスがあり、限定1000個の商品は完売しました。ポイントは学生の視点を前面に出したコンテンツマーケティングで、検索エンジンだけでなくSNSアルゴリズムにも好まれやすい構成にしたことです。検索キーワード「京都 スイーツ 学生コラボ」で上位表示を達成し、テレビ取材にもつながる波及効果が生まれました。

この事例の裏側では、商品撮影からコピーライティングまでを制作会社がワンストップで支援しました。補助金の委託費にこれらの制作業務をまとめて計上することで、商店街側は企画アイデアのブラッシュアップに集中でき、制作会社は品質管理に専念できた点が成功要因です。制作費は90万円、広告費10万円、合計100万円のうち補助50万円を取得し、自己負担を半減させています。

空き店舗を活用した体験型サイトで観光客を取り込む

別の商店街では、空き店舗をポップアップギャラリーに改装し、訪日観光客向けに茶道体験を提供しました。企画の核となったのは多言語対応サイトです。英語・中国語・韓国語の3言語で予約フォームを実装し、Googleマップ連携でルート案内も自動表示。公開から1カ月で海外からの予約比率が65%に達し、ギャラリー周辺の飲食店も売上が平均30%向上しました。

このケースでは補助上限の100万円をフル活用し、サイト構築50万円、撮影・動画制作25万円、多言語翻訳10万円、広告費15万円を計上。補助金が3分の2(公益性評価)で採択されたため、自己負担は約33万円で済みました。多言語化は「地域課題の解決」と「新消費創出」の双方を訴求できるため、採択率を高めやすいテクニックと言えます。

このように補助金を活用したホームページ制作は、単なる情報掲載にとどまらず、体験予約・EC販売・SNS連携などリアルとオンラインを回遊させる仕組みを作ることで投資対効果が高まります。続くパートでは、具体的なサイト構成とSEO施策、制作会社選定のチェックポイントをさらに掘り下げていきます。

SEO初心者でも押さえておきたい3つの基本

キーワード選定:検索意図を理解する

SEOで最初に行うのはキーワードリサーチです。例えば「京都 商店街 ランチ」という語句を調べると、実際の検索ユーザーは「地元民おすすめの穴場店」を知りたいケースが多いことが分かります。このように検索の裏側にある検索意図(ユーザーが本当に知りたい情報)を推測し、ページタイトルや見出しに自然に盛り込むことで上位表示しやすくなります。キーワードリサーチには無料ツール「Googleキーワードプランナー」や「ラッコキーワード」を使うと初心者でも簡単に候補を抽出できます。

選定したキーワードは、タイトルタグの先頭やH1見出しに配置し、本文では過剰にならない程度(2~3%)で使用するのがベストプラクティスです。これはGoogleが「ユーザーにとって自然な文章」を高く評価するアルゴリズムを採用しているためで、無理な詰め込みは逆効果になります。

コンテンツ設計:E-E-A-Tで信頼性を高める

Googleは2022年以降、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を評価指標に組み込んでいます。商店街サイトでは、個々の店舗オーナーの実体験や創業ストーリー、メディア掲載実績を掲載すると「経験」「専門性」を示しやすくなります。また京都市公式サイトや観光協会など、信頼性の高い外部サイトへのリンクを適切に張ることで権威性を補強できます。

E-E-A-Tはユーザーにとって「その情報を信じてもよいか?」を判断する基準です。写真にExif情報が残っていると自社撮影の証拠になる、著者プロフィールを充実させると専門家の裏付けになる、など細かな要素が積み重なることでサイト全体の信頼度が上がります。補助事業で構築する際は、オーナー取材記事や動画インタビューなど一次情報を積極的に企画しましょう。

技術的最適化:モバイルファーストとページ速度

スマホ閲覧が過半数を占める現在、モバイルファースト(まずスマホで快適に読める設計)が標準です。Googleのモバイルフレンドリーテストをクリアするよう、文字サイズは16px以上、ボタン間隔は48px確保、画像はWebPフォーマットで軽量化するなどの対策が必要です。さらにページ速度はSEOランキング要因の1つで、LCP(Largest Contentful Paint:表示速度の指標)は2.5秒以内が推奨されています。

制作会社に依頼する際は「Core Web Vitals※6の改善を含めてほしい」と伝えましょう。Core Web VitalsはGoogleが定める速度・操作性・視覚的安定性の3要素をまとめた評価基準です。補助金でカバーできる範囲にサーバー高速化オプションや画像CDN(コンテンツ配信網)費用を含めると、リリース後に追加投資をせずに済みます。

※6 Core Web Vitals:LCP、FID(First Input Delay)、CLS(Cumulative Layout Shift)の3指標でページ体験を数値化するGoogle公式指標。

サイト構成とページ内容の作り方

ユーザー導線を意識したトップページ

トップページは商店街とコラボ企画の魅力を3秒で伝える看板です。ファーストビューに大きなキャッチコピーと参加店舗の写真を並べ、すぐ下に「イベント情報」「オンラインショップ」「アクセス」の3つの行動ボタンを配置してください。モバイル利用者は親指で画面下部をタップする傾向が強いため、行動ボタンは幅いっぱいに広げて視認性を高めます。画像はWebP形式で圧縮し、Largest Contentful Paint(主要画像の表示完了)を2.5秒以内に抑えるとCore Web Vitalsの評価が上がり検索順位にもプラスに働きます。ボタン押下後の遷移先ではパンくずリスト(階層ナビゲーション)を表示し、ユーザーがどこにいるか迷わないようにする――これが導線最適化の基本です。ページタイトルには「京都 ◯◯商店街×○○企画|公式サイト」のように商店街名と企画名を含め、検索結果でも内容が一目で伝わるよう設計しましょう。

EC機能の実装で売上を拡大

補助金の「広報費」「委託費」を活用してトップページ直下にEC(オンライン販売)機能を組み込むと、現地に来られないユーザーも顧客に変えられます。WordPressなら無料プラグイン「WooCommerce」で決済フォームを設置でき、StripeやPayPalと連携すれば決済手数料は3.6%前後。EC導線では1)商品写真 2)魅力的な説明文 3)レビュー 4)在庫状況 を縦一列に配置し、カート投入率(Add-to-Cart率)を高めてください。写真は光源と背景を統一し、alt属性に「京都◯◯商店街限定〇〇饅頭」などキーワードを含めると画像検索からの流入も期待できます。決済完了ページでは「次回5%オフクーポン」を即時発行し、リピーター育成を自動化する仕組みを同時に構築すると、LTV(顧客生涯価値)の改善が加速します。

ブログ・お知らせでコンテンツマーケティング

コラボ補助金の審査項目には継続性と発展性があります。これは「採択後も自走できる仕組み」が求められるという意味です。ブログ機能で「季節のイベント情報」「出店者インタビュー」「京都の豆知識」を週1本更新する計画を立てると、検索エンジンからのオーガニック流入が蓄積し、広告費を抑えつつ集客を続けられます。記事1本あたり1000文字以上、タイトルに主要キーワードを1回、見出しにサブキーワードを自然に含め、本文で内部リンクを張る――この基本だけでもSEO効果は十分。Googleアナリティクス4のレポートでは「セッション数」「平均エンゲージメント時間」「イベント数」をKPIに設定し、目標値との差を毎月確認しましょう。CMSのブロックエディタを使えばスタッフがドラッグ&ドロップで投稿できるため、専門知識がなくても運用可能です。

制作会社選定のポイント

見積書で確認すべき4大項目

制作会社を比較するときは1)ディレクション費 2)デザイン費 3)開発費 4)保守費 の4項目を必ずチェックします。ディレクション費が総額の15%を超える場合は進行管理の作業範囲を明確にし、冗長な工程が含まれていないか質問してください。デザイン費はページ数×テンプレート数で概算しやすいので、ページ単価を算出して横並び比較すると判断がブレません。開発費に「CMS導入」「多言語化」「EC」といった追加オプションが含まれているか、保守費に「月次バックアップ」「セキュリティアップデート」が含まれるかも重要です。補助金経費区分では開発費とデザイン費が委託費、保守費が通信運搬費または使用料として認められるため、見積書の内訳が細かいほど審査時に説明しやすくなります。(京都市情報館)

実績とサポート体制を比較する

次に見るべきは実績ページです。商店街や観光系プロジェクトの制作歴があれば、ターゲットユーザーの行動特性を理解している可能性が高いと判断できます。制作後の運用サポートは「問い合わせチケット制」か「月次定例会議」かで負荷が変わるため、サポート体制を契約前に確認してください。筆者の経験では、運用中の質問をチャットで受付け、月1回15分のオンライン相談を組み込むハイブリッド型が最もコストパフォーマンスに優れます。補助金期間中は商店街側の負担を軽減するため、レポート作成や簡易改修(テキスト修正・画像差し替え)もサポート範囲に含めてもらうと安心です。

契約書に盛り込むべき運用ルール

補助金事業は年度をまたぐことが多く、公開後の修正や追加開発をどこまで無償で対応するかがトラブルの種になります。契約書には①納品定義(テストサーバーでの動作を含むか)、②検収期間(公開後14日など)、③瑕疵担保期間(不具合修正無料期間)を明記してください。さらにCMSユーザー権限の設定で「管理者」「編集者」「投稿者」を切り分け、操作ミスによるページ崩れを防ぐルールを追加すると保守コストを圧縮できます。公開後の画像・文章の著作権帰属先も明記し、第三者素材を使用する場合はライセンス範囲を共有しておくと長期的リスクを最小化できます。

補助金申請書に強い提案書の書き方

審査項目にひもづけてストーリーを組む

申請書の自由記述欄には「課題→解決策→波及効果→持続性」というストーリーを採用しましょう。課題では来街者数の減少や空き店舗率を具体的に示し、解決策でホームページとコラボイベントによる新しい顧客接点を提示します。波及効果では売上増以外に「学生の実習機会創出」や「高齢者買い物支援」など地域課題への貢献を書き込み、最後に補助期間終了後も広告収益やEC売上で自己資金を賄える運営モデルを示すと継続性の評価がアップします。査定基準は要綱にも記載されていますが、新規性・市場性・実現性・継続性の4軸を満たすと一次審査通過率が高い傾向があります。(京都市情報館)

具体的数値目標をSMARTに設定

KPIはSMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)で設定してください。例えば「公開12カ月後までにEC月売上50万円、サイトUU1万、SNSフォロワー5000」を掲げ、それを達成する手段として広告費20万円、インフルエンサー施策10万円を投入する――数字が具体的で期限が明確なら審査委員も評価しやすくなります。数値根拠にはGoogleトレンドやキーワード検索ボリュームを引用し、予測値の信頼性を担保してください。

適切な資料添付で説得力を高める

提案書にはワイヤーフレーム(画面設計図)やサイトマップ(ページ構成図)を添付し、完成イメージを視覚的に示すと実現性をアピールできます。さらに「人件費内訳」「委託費詳細」「広報計画表」をエクセルでまとめ、申請様式の添付資料として提出してください。審査委員は限られた時間で大量の案件を読みます。図版があれば直感的に理解され、ヒアリングに呼ばれる確率が上がります。PDF化するときは文字をアウトライン化しない(テキスト検索可能にする)ことで、審査側がファイル内検索できるよう配慮しましょう。

よくある失敗と回避策

スケジュール遅延はこまめな共有で防ぐ

「写真素材が集まらず公開が遅れた」というケースが多発します。対策はガントチャートで素材締切日を明確にし、毎週共有ミーティングで進捗を確認することです。クラウドストレージにフォルダを用意し、ファイル名に日付と店舗名を入れるルールを徹底すると混乱を防げます。制作会社側は受領後2営業日以内にアップロード完了を返信する――このルーティンがあるだけで工程遅延は7割減らせます。

予算オーバーはフェーズ分割で解決

採択後に「多言語対応を追加したい」「ライブ配信機能を入れたい」と要望が膨らむと、すぐ予算を超えてしまいます。機能追加の要望はフェーズ2以降に切り分け、まずフェーズ1で公開に必須な部分だけ実装し、余剰予算を確保します。事業期間内に複数回請求タイミングを設ける「マイルストーン払い」にすれば、補助金着金前でも資金繰りを圧迫しません。

公開後の更新停滞は権限設計で克服

更新が滞る原因の1位は「担当者が多忙でCMSにログインする時間がない」ことです。解決策は役割別権限を設定し、各店舗が自店ページだけ更新できる構造にすること。商店街全体のトップページは管理者が監修し、店舗ページは店舗オーナーが直接修正――こうして責任範囲を小さくすれば更新頻度が上がります。画像リサイズやSEOチェックを自動化するプラグインを組み込めば、品質を保ちながら作業時間を削減できます。

計測と改善で伸ばし続けるホームページ運営

アクセス解析ダッシュボードを作る意義

ホームページを公開した瞬間が終点ではなく起点です。公開後の成長を加速させるには、Googleアナリティクス4の探索レポート機能を活用し、「新規ユーザー数」「リピーター比率」「トップランディングページ」の3指標を1枚のダッシュボードにまとめます。これにより、どの記事が検索経由で読まれ、どの記事がSNS経由で読まれているかを直感的に把握できます。ダッシュボードは共有リンクを発行し、商店街関係者がスマホからでも確認できるようにしておくと、役員会での意思決定が迅速になり、PDCA(計画・実行・検証・改善)※7が回りやすくなります。

※7 PDCA:Plan‐Do‐Check‐Actの頭文字。継続的改善手法のひとつ。

A/Bテストでコピーを磨き上げる

トップページのキャッチコピーが「京都で一番わくわくする商店街」なのか「毎日が祭りのような京都の商店街」なのか、どちらがクリック率を高めるかは公開してみないと分かりません。A/Bテスト※8はページの一部を変えた2つのバージョンを同時に公開し、ユーザー行動を比較する手法です。Googleオプティマイズは2024年でサービスが終了しましたが、代わりにGA4と連携できるサーズィング・オプティマイズなど無料ツールが登場しています。テスト期間は少なくとも2週間、サンプルサイズは1000ユーザー以上を目安に設定し、統計的に有意な差が出たら勝者バージョンを正式採用しましょう。こうした細かな改善を繰り返せば、同じ広告費でも2割以上コンバージョンが伸びることは珍しくありません。

※8 A/Bテスト:2種類のページを同条件で比較し、どちらが成果を上げるか統計的に検証する方法。

データ主導でコンテンツをリライトする

更新を続けているとアクセスが集まらない記事が出てきます。そこで役立つのがコンテンツギャップ分析です。Search Consoleのクエリレポートから「検索順位が11位~20位の記事」を抽出し、ターゲットキーワードと本文の関連度を再確認します。読者の検索意図とずれている場合は、見出しを追加して情報を補完する、事例画像を差し替えて分かりやすくするなどリライトを行います。リライト後は記事公開日時を更新しないことがポイントです。更新日時だけを変えるとGoogleに「低品質な日付ローテーション」と判断される可能性があるため、本文を3割以上書き換えて実質的に改善したことを示してください。

SNSと連携した集客ブースト

ソーシャルプルーフで信頼を可視化

SNSはリアルタイムで口コミが連鎖する媒体です。ホームページのサイドバーにX(旧Twitter)とInstagramの最新投稿ウィジェットを埋め込むと、「今まさに楽しんでいる人」の姿が可視化され、ソーシャルプルーフ※9が働きます。公開直後は自社投稿だけでタイムラインが埋まりがちですが、ハッシュタグ「#京都◯◯商店街コラボ」を設定して一般ユーザーの投稿をリポストする仕組みを作ると、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が増え、エンゲージメント率が上昇します。

※9 ソーシャルプルーフ:他者の行動が自分の意思決定に影響を与える心理現象。

メールマーケティングとフォーム自動連携

フォーム入力後のサンキューページで「メルマガ登録」にチェックが入ったユーザーを、MA(マーケティングオートメーション)ツール「Mailchimp」に自動転送すると、来店前のお客さまにクーポンやイベント最新情報を送信できます。CTR(クリック率)はSNSよりメールの方が平均2倍高いため、顧客育成に欠かせないチャネルです。配信ペースは月2回を上限に抑え、「商品情報9:雑談1」の割合で読み物要素を入れると解除率が下がります。

ローカルSEOで地図からの流入を増やす

Googleマップ上で上位に表示されるには、Googleビジネスプロフィール(GBP)が必須です。商店街名でプロフィールを作成し、カテゴリーを「ショッピングモール」に設定、各店舗を「拠点」としてひもづけます。写真は毎週追加、レビューには24時間以内に返信――これだけで地図検索からのクリック率が大幅に向上します。ホームページのフッターにNAP(Name, Address, Phone)情報を統一表記で配置すると、検索エンジンがGBPとサイトを関連付けやすくなり、ローカルパック表示のチャンスが高まります。

セキュリティと法令遵守で長期運用を守る

プライバシーポリシーとCookie同意バナー

2025年に改正電気通信事業法が施行され、クッキー情報を第三者に送信する場合、ユーザー同意が事実上必須になりました。Cookieコンセントマネジメントプラットフォーム(CMP)を導入し、初回訪問時に「同意/拒否」を選べるバナーを表示しましょう。プライバシーポリシーでは、Googleアナリティクス4で収集するデータ範囲と利用目的を具体的に記載し、「お問い合わせフォームの送信情報は3年保存」のように保存期間も明示すると、個人情報保護法(APPI)への適合性が高まります。

多層防御でハッキングを防ぐ

WordPressを例に取ると、ログイン試行を制限するプラグイン「Limit Login Attempts Reloaded」、ファイル改ざん検知の「Wordfence」、自動バックアップの「UpdraftPlus」を組み合わせると、多層防御を実装できます。月1回の脆弱性スキャンを運用フローに組み込み、プラグインは「最終更新1年以内」のものに限定すると長期的なセキュリティレベルを維持できます。SSL証明書は無料のLet’s Encryptで十分ですが、自動更新が失敗した場合、サイトが「保護されていない通信」と表示されるリスクがあるため、監視メールを管理者に送る設定を忘れないでください。

GDPRと越境ECの注意点

訪日観光客向けに越境ECを行う場合、欧州からのアクセスがゼロではありません。EU一般データ保護規則(GDPR)はIPアドレスを個人データとみなすため、プライバシーポリシーを英語で用意し、「データ主体の削除権」を説明する条項を追加してください。配送業者に個人データを送る場合は、「適切な保護措置を取る第三国移転」であることを明示する必要があります。超初心者向けに言えば、「ヨーロッパのお客さまのデータは安全に扱うと宣言しておく」ことがポイントです。

未来を見据えたサイト強化アイデア

PWA化でアプリのような体験を提供

PWA(プログレッシブウェブアプリ)※10は、ホームページをスマホのホーム画面に登録し、オフラインでも主要ページを閲覧できる技術です。「お祭りマップ」や「スタンプラリー台紙」をPWAで実装すると、通信環境が不安定な観光エリアでもスムーズに利用できます。WordPressならプラグイン「SuperPWA」を使い、マニフェストファイルでテーマカラーとアイコンを設定するだけで導入可能です。

※10 PWA:ウェブ技術のみでネイティブアプリに近い操作性を実現する仕組み。

ボイスサーチ対応で音声ユーザーを取り込む

スマートスピーカーと車載ナビの普及により、「OK Google、近くの京都◯◯商店街を教えて」というボイスサーチへの最適化も重要になっています。構造化データのFAQPageマークアップを記事末尾に埋め込み、「営業時間」「駐車場の有無」を質問形式で記載すると、Googleアシスタントが回答を読み上げやすくなります。本文は短文で区切り、1センテンスあたり18~20語を目安にすると、音声読み上げ時の聞き取りやすさが向上し滞在時間も伸びます。

AIチャットボットで問い合わせ対応を自動化

営業時間外の問い合わせを逃さないために、AIチャットボット「Dialogflow」をLINE公式アカウントに連携し、「アクセス」「イベント」「EC注文状況」の3カテゴリを選択肢式で回答できるようにします。Noコード連携サービス「チャットパーク」を使えば、FAQデータをCSVで投入するだけでチャットボットが学習し、入力内容を正規化して回答する仕組みが整います。顧客は深夜でも疑問を解消でき、スタッフは夜間対応から解放されるため、運営コスト削減と顧客満足度向上を同時に達成できます。

事例で理解する運用フロー

京都市の◯◯商店街が採択された例を想定しましょう。商店街と制作会社、大学生ボランティアの3者で体制を組み、制作初期に求められた素材は「各店舗の外観写真」「代表メニュー3点」「店主コメント」。制作会社はクラウドストレージにフォルダを用意し、ファイル名に店舗名を入れるルールを共有しました。素材締切は公開2カ月前、テストサーバー公開は1カ月前、正式公開は7月1日。公開後はGA4でKPIを毎週自動レポート化し、LINEオープンチャットで進捗を共有。8月末時点でユニークユーザー1万2000、EC売上64万円を達成し、補助金審査時の目標を2カ月前倒しでクリアしました。成功の鍵は「担当タスクの見える化」と「毎週10分のオンライン報告」の2点で、これにより担当者の責任範囲が曖昧になる事態を防げました。

まとめ

京都市商店街コラボ創出事業は、補助率50~66%という手厚い支援でホームページ制作のハードルを劇的に下げてくれる制度です。ただし審査を突破し、公開後も成果を伸ばし続けるには、企画段階からSEO設計・EC導線・アクセス解析・運用体制・セキュリティまでを一貫してデザインする必要があります。本記事で紹介したキーワードリサーチやE-E-A-T強化、A/Bテスト、ローカルSEO、PWA導入などは、超初心者でも段階的に取り組める再現性の高い手法です。まずは商店街の仲間と目標を共有し、制作会社と連携してロードマップを描くことから始めてください。補助金で初期投資を抑え、データ主導で改善を重ねれば、ホームページは24時間働く最強の営業マンとなり、新しい顧客と売上を次々に連れてきてくれるでしょう。

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京都市商店街コラボ創出事業新消費創出促進支援事業補助金を活用したホームページ制作をご希望の方は、勝てるホームページ制作のページをご覧ください。

ホームページ制作サービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページ制作作業とリニューアル公開後1年間のサポートが含まれています。制作作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。

ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、Sプラン
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、Mプラン
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、Lプラン
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。

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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。