Workspace Intelligenceとは?小さな会社で何が変わるか

朝、会社のGmailに「ビジネスを理解するAIが利用可能になりました」という案内が届きました。Google Workspaceの新しい土台「Workspace Intelligence」の知らせです。

ひと言でいうと、GeminiがGmail・Drive・カレンダー・Chatの中身をその場で読んで答えるようになる、というものです。これまで「このメールの件で」と背景を書いて聞いていたことが、書かずに聞けるようになります。

この記事では、小さな会社でこれが何に使えて、何に気をつけるかを整理します。料金やプランの名前は変わることがあるので、最後は自社の管理画面の表示で確かめてください。

Workspace Intelligenceとは

Googleが2026年4月に発表した、Google Workspaceの中でGeminiが使う「文脈の土台」です。Gmail・Chat・カレンダー・Drive(ドキュメント・スプレッドシート・スライドを含む)にある仕事のデータを、Geminiがその場で読んで答えに使います。

それまでのGeminiは、聞かれたことに一般的な知識で答える部分が大きく、自社の事情を知るには人がメールやファイルを貼って渡す必要がありました。この土台が入ると、「先週のA社とのやりとりをまとめて」のような聞き方が、貼り付けなしでできるようになります。

Googleの説明では、答えに使われるのは本人が見られる範囲のデータだけで、その中身はAIの学習にも広告にも使われないとされています。

何ができるようになるか

Googleの案内とニュース記事で挙がっている中から、小さな会社に関係の深いものを選びました。

  • Gmail:受信トレイの整理や、スレッドの要約。「この件はどこまで進んだか」を聞ける
  • Google Chat:やりたいことを伝えると、Geminiが裏で動いて成果物を届ける(ドキュメントやスライドの作成、説明文を手がかりにしたファイル探し、全員の予定から会議の候補日を出す、1日のまとめ)
  • ドキュメント:業務データからの図解づくり、コメントへの対応(仕分け・返信・コメントに沿った直し)
  • スライド:会社のひな形や配色に沿った資料を一度に作る
  • スプレッドシート:会話で表を作る・直す

全部を一度に使う必要はありません。最初の1週間は「メールの経緯を聞く」だけでも、効果は分かります。

使えるプランと設定

対象はGoogle WorkspaceのBusiness(Starter/Standard/Plus)とEnterpriseの各プランで、Googleの案内に追加料金の記載はありません。つまり、すでにGoogle Workspaceを使っている会社は、何もしなくても入ってきます。

設定は管理者の側にあり、初期値はオンです。管理コンソールで、Gmail・Drive・カレンダー・Chatのそれぞれについて、組織や部署の単位でオフにできます。利用者の側に切り替えはありません。オフにしたデータ源は自動では読まれませんが、利用者が「このファイルを見て」と指定すれば読まれます。

展開は2026年4月22日から順に進み、日本語の案内が届き始めたのが2026年10月です。自社に入っているかは、Gmailの画面でGeminiの印が出ているか、または管理コンソールの設定画面で確かめられます。

小さな会社で、まず使える場面3つ

1. お客様とのやりとりの経緯を、聞いて思い出す

「B社との見積の件、最後はどうなっていたか」。これまでは受信トレイを検索して、スレッドを開いて、自分で読み直していました。Geminiに聞けば、要点と最後のメールの日付が返ってきます。確かめは元のメールで行うにしても、たどり着くまでの時間が減ります。

2. Driveの探し物を、説明で探す

ファイル名を覚えていないものを「去年の秋に作ったチラシの原稿」のような言い方で探せます。小さな会社ほどファイルの名前の付け方が人によって違い、名前では探せないものが増えます。

3. 打ち合わせの前に、1枚のまとめを作る

カレンダーの予定と、相手とのメールやファイルを合わせて「今日の打ち合わせの前に知っておくこと」をまとめてもらう使い方です。準備の時間を短くできます。

向かない場面と、気をつけること

判断そのものは任せない

AIの答えには間違いがあります。「この見積は合っているか」「この契約で問題ないか」のような判断は、元のメールや書類を開いて確かめてから決めてください。AIは「どこを見ればよいか」を早く示してくれる道具だと考えると、使い方を間違えません。

数字の正本は別に持つ

売上や請求の数字を、Geminiの要約で覚えないことです。正本はスプレッドシートや会計の仕組みにあり、要約はそれを読むための入口です。

お客様の情報を読む設定だと知っておく

初期値がオンなので、会社のGmailやDriveにあるお客様のメールや書類を、Geminiが答えのために読む状態になります。Googleは学習や広告に使わないとしていますが、「読む」こと自体は起きます。守秘の決まりがある業種や、お客様の個人情報を多く預かっている会社は、管理コンソールでどのデータ源をオンにするかを一度決めておくと安心です。

社内の誰が使えるかを決める

利用者の側に切り替えがないため、オンにすると、そのアカウントで見られるものは全部が対象になります。スタッフのアカウントに共有しているフォルダの範囲を、この機会に見直すのもよい方法です。

当社の考え:道具より先に「どの仕事に使うか」

Workspace Intelligenceは、Google Workspaceを使っている会社なら追加料金なしで入ってくる土台です。入れるかどうかの判断は要りません。要るのは「どの仕事に使うか」を決めることです。

当社では、ChatGPTやGeminiのような道具を入れる前に、まず業務を書き出して「AIに任せられる部分」と「人が判断する部分」を分けることをすすめています。道具が増えても、ここが決まっていないと使われません。

また、毎日の仕事に組み込んで動かし続けたい場合は、Geminiの画面で毎回聞くのではなく、仕組みとして作る方が続きます。当社では自社の仕事をAIに任せる仕組みを「AI社員」と呼んで運用しており、その記録を実践記として公開しています。

まずは「うちはどの仕事から」を一緒に整理したい方は、AI業務診断をご利用ください。仕組みとして作りたい方は、AI社員構築サービスをご覧ください。

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この記事の監修小笹 通典(オフィスピコッツ株式会社 代表取締役)
京都産業21 登録専門家(No.46)/滋賀県DX協創パートナー/デジタル庁 デジタル推進委員。2002年開業、創業25年目。京都・滋賀を中心に1万件超のWeb活用・制作に携わる。 会社概要を見る