行政書士事務所ホームページで気をつけたいデザイン面の落とし穴と改善策

もくじ

行政書士事務所ホームページのデザインがもつ意味合いを見直す

行政書士事務所のホームページをデザインする際には、「ホームページの見た目が良ければ大丈夫」と考えるだけでは足りないかもしれません。インターネット上で潜在顧客が最初に接する接点であるホームページは、事務所の印象を左右する重要なツールです。ここでデザイン面の間違いが生じてしまうと、依頼を検討していた人を知らないうちに遠ざけてしまうこともありえます。行政書士の業務は多岐にわたり、企業の方から個人の方まで幅広い依頼が考えられます。だからこそ、専門家としての信頼感丁寧さわかりやすさを伝えられるデザインが不可欠です。

ところが、実際には「事務所のカラーをどう活かすか」「何を最優先に表示するか」「SNS的な要素を盛り込みすぎてはいないか」など、多くの検討事項があります。さらに法律に関するサービスであるがゆえに、誤解を与える表現や、不備を疑われるようなデザインにも注意が必要です。こうした背景をふまえ、行政書士事務所がホームページをデザインする際に特に避けるべき大きな間違いとはどのようなものかを考えていきます。

ホームページのデザインは、訪問者の心理を大きく動かす要素です。文字情報だけでなく、ページのレイアウト色づかい写真の配置読みやすさなど、さまざまな視点からの検討が求められます。行政書士事務所の場合、クライアントの不安感を軽減し、安心して問い合わせてもらうことがゴールの一つとなるはずです。そのための大きなポイントは、信頼を構築するための情報をわかりやすく配置し、利用者が直感的に事務所の特徴を理解できるかという点になります。

本稿では、行政書士のホームページデザインにおいて見落としがち、あるいはやりがちなデザイン面の過ちを掘り下げ、その背景と改善策を詳しく解説していきます。魅力的なビジュアルを追求するあまり、法的要件や安心感の演出が抜け落ちてしまっては本末転倒です。実際に、誤ったデザイン判断によってサイト運用に支障をきたしたり、SEO的に不利な状況に陥ったりする事例も見受けられます。ここでは、そうした致命的とも言えるミスを避け、行政書士事務所ならではの質実剛健な魅力ユーザーフレンドリーな設計を両立させる方法を探っていきたいと思います。

色彩やレイアウトが信頼感を損ねるデザインの危険性

ホームページを訪れたユーザーは、最初の2〜3秒の段階でそのサイトの雰囲気を大まかにつかむといわれています。行政書士事務所のホームページにおいては、特に「この事務所はきちんとしている」「法律の専門家らしい」という印象を持ってもらうことが大切です。しかし、色の組み合わせやレイアウトの作り方によっては、逆に信頼感を失わせる要因になってしまうケースがあります。

派手すぎる色使いで落ち着きがない

行政書士事務所のように専門性をアピールする業種の場合、あまりにもポップな配色や奇抜な色の組み合わせを多用すると、「遊びやすい雰囲気」「派手すぎる」という印象につながりやすく、法律関連の真面目なサービスにはミスマッチに感じられることが多いです。もちろん、特色あるイメージを演出するために部分的にアクセントカラーを使うのは効果的ですが、過剰なカラフルさはユーザーを戸惑わせる可能性があります。

また、背景色と文字色のコントラストが弱いと、可読性にも悪影響を及ぼします。法律や手続きに関するサービスでは、文字情報が多くなる傾向があるため、目の負担を軽減できる色の組み合わせを意識したいところです。白背景に濃い文字色(黒や紺など)を基本とし、強調したい部分にのみアクセントカラーを使用するなど、明確な区別をつけるとより見やすくなります。

レイアウトが複雑で目的の情報が見つけにくい

ホームページ全体のレイアウトが雑多だったり、要素が詰め込みすぎていたりすると、ユーザーは「どこを見ればいいのかわからない」と感じてしまいます。行政書士事務所のサイトでは、取り扱う分野(会社設立、相続・遺言、許認可など)ごとにページを分けたり、申請の手続き方法を解説するコンテンツを用意したりすることが多いでしょう。しかし、それらの情報が整理されずに並んでいるだけだと、ユーザーは迷いがちになります。

特に、トップページであまりにも多くのメニューや画像を並べてしまうと、視線が散らばってしまい、本当に読んでほしい情報問い合わせ導線を見つけにくくなる恐れがあります。訪問者の多くは、「こんな業務をやってくれる事務所なのか」「費用はいくらくらいなのか」「相談するときの流れはどうなっているのか」という点に興味があるはずです。これらのニーズを満たすために、最優先の項目を見やすく配置し、その下位カテゴリーに詳細ページを設けるような工夫が必要です。

空白(ホワイトスペース)の使い方も重要です。ページ上部にしっかり余白をとり、目線を誘導する設計を行うことで、ユーザーが自分の知りたい情報をすぐに探せるようになります。ページ全体が詰め込みすぎにならないように、「情報を絞る」「順序立てて配置する」という意識を持つと、より分かりやすい構成が実現しやすいです。

写真やイラストの選び方によるイメージダウンのリスク

ホームページ上のビジュアル素材は、文字情報よりも直感的に印象を与えます。行政書士事務所でも、写真やイラストを活用することでサイトの雰囲気を柔らかくし、サービスの内容を伝えやすくすることは可能です。しかし、素材の選び方配置の仕方を誤ってしまうと、潜在的な依頼者に不安や違和感を与える原因となってしまうこともありえます。

安易なフリー素材の大量使用

インターネット上にはフリー素材のサイトが数多くあり、そこからダウンロードした写真やイラストを使うことは手軽で便利です。しかし、あまりにも使い回し感のある素材や、事務所のイメージとかけ離れた雰囲気の画像を大量に載せてしまうと、ユーザーは「本当にこの事務所は大丈夫なのか」と疑問を抱く可能性があります。特に、全く関係のない風景写真や、笑顔の外国人モデルの写真を多用していると、独自性信頼性が損なわれるかもしれません。

もちろん、フリー素材を使うこと自体が悪いわけではありません。要は、写真やイラストの選び方が適切かどうかです。行政書士が取り扱う業務の特徴に合った画像を厳選し、専門家らしい雰囲気を重視したものを使うと効果的です。また、写真のトーンを統一したり、オリジナルの撮影を一部取り入れたりすると、事務所独自の世界観が出てきます。

スタッフ写真の掲載方法による誤解

行政書士事務所のホームページでは、所属している行政書士本人やスタッフの写真を掲載することが多くあります。顔が見えることで、ユーザーは「どんな人が業務を担当してくれるのか」をイメージしやすくなり、信頼感を抱きやすいという利点があります。しかし、このスタッフ写真の見せ方が雑だと、かえってネガティブな印象を与えてしまう危険があるのです。

たとえば、古い写真や解像度が低い写真をそのまま流用していたり、背景が散らかったオフィスでのスナップ写真を掲載していたりすると、専門家らしい清潔感が感じられません。また、従業員の表情が固かったり、全員が同じ方向を向いて無表情な写真ばかりだと、ユーザーに「ここはちょっと近寄りがたい事務所」という印象を与えるかもしれません。撮影時にはできるだけ統一感のある服装きちんと整理された背景を用意し、全員が軽く笑顔で写るなど、初対面の人に好印象を与える工夫が重要です。

イメージ写真の乱用で肝心の内容が伝わらない

ビジュアルを重視するあまり、ページ全体に大きなイメージ写真が配置されすぎていると、肝心の情報が隠れてしまう場合があります。行政書士事務所のサービス内容や手続きの流れを知りたくて訪問しているユーザーからすると、写真はあくまでサブ的な要素です。画面をスクロールしてもなかなか文字情報が出てこないような構成は、ユーザーの離脱を招きがちです。

特に、トップページのファーストビューに大きなスライドショーを設置する手法は、見た目のインパクトはありますが、スライドの切り替え待ちがストレスになったり、さらに下の重要情報が見えにくくなったりする場合があります。ユーザーにとって本当に必要な情報は何かを優先し、写真やイラストの使用はそれを引き立てる目的で行うよう心がけたいです。

読みづらい文章構成や専門用語の連発による離脱要因

行政書士事務所が提供するサービスは、許認可申請法人設立手続き相続・遺言書作成在留資格手続きなど、多岐にわたります。どの分野も法律や制度に関わるため、専門用語法律用語が登場しがちです。しかし、それらをそのままの形で大量に掲載したり、文章の構成が複雑すぎたりすると、ユーザーは「難しそう…」と感じてページを離れてしまう恐れがあります。

細かすぎる法律解説を延々と載せる

確かに法的根拠をしっかり示すことは大切ですが、ホームページを訪れるユーザーは「最初から専門的な条文を読みたい」と思っているわけではありません。むしろ、「具体的にどんな手続きが必要なのか」「自分の場合はどの手続きが該当するのか」を簡単に知りたいというニーズのほうが多いでしょう。ところが、条文や判例を延々と引用していたり、難解な専門用語を注釈なしで羅列しているページは、一般ユーザーにとって「読むのがしんどい」コンテンツになりがちです。

もちろん、法律に関する業務を扱う以上、専門用語を避けられない部分はあります。その場合は、注釈を入れたり、わかりやすい言い回しに言い換えたりするなどの配慮が必要です。要点をピックアップして見出しをつけるだけでも、ユーザーはどの部分が自分にとって重要なのかをすぐに探せます。詳細に踏み込んだ法的根拠は、別ページにまとめるか、興味がある人向けにPDFを用意するなどして、読みやすい導線を工夫すると良いでしょう。

長文ばかりで要点が見えづらい

文字情報の多さは、一見すると「情報量が豊富で専門性がある」ように見えるかもしれません。しかし、適切な段落分けや見出しの設置がなされていない場合は、ユーザーがどこを重点的に読めばいいのかがわからなくなるという問題が発生します。特に、各サービス内容を細かく説明するページで、最初から最後までずらっと文字が並んでいると、「読む気力がわかない」と敬遠されがちです。

行政書士が取り扱う業務は種類が多く、全部をまとめて解説しようとすると文章が長くなりがちです。しかし、そこで小見出し(H3やH4など)を活用したり、要点リストを挟んだり、図表やイラストを差し込んだりすることで、視覚的に理解しやすい構成を作れます。最初にざっくりとした結論や概要を提示してから、詳しい説明を続ける形式にすると、ユーザーは読み進めやすくなります。

問い合わせフォームや連絡先がわかりにくい誘導ミス

ホームページを訪問したユーザーが最終的に目指すアクションの一つは、問い合わせ面談の予約など、実際に連絡をとるステップでしょう。しかし、その重要な導線がわかりにくかったり、リンクが切れていたりすると、せっかく問い合わせしようと思ったユーザーを逃してしまいます。行政書士事務所の主なゴールは相談・依頼を受けることなので、連絡先やフォームの配置ミスは致命的なデザイン上の過ちと言えます。

問い合わせボタンが目立たない・ページ下部に埋もれている

トップページや各サービスページには、「ご相談はこちら」「お問い合わせはこちら」といったボタンやリンクをわかりやすく配置し、ユーザーが困ることなく行動できるようにするのが基本です。ところが、デザイン上のバランスを気にするあまり、ボタンを小さくしたり、ページの一番下にしか置かなかったりする事務所も見受けられます。ユーザーがスクロールを途中でやめてしまうと、その導線に気づかないまま離脱してしまうわけです。

また、色使いや配置の問題で、問い合わせボタンが周囲の要素に埋もれてしまうこともあります。ここでは、目立つ配色(例えばサイト全体が青系なら、ボタンをオレンジ系にするなど)や、余白をしっかりとるテクニックを活用し、クリックしたくなる見せ方を考慮したいです。複数ページを渡って閲覧するユーザーも多いので、常に画面の上部やサイドにボタンを固定表示する仕組みも効果的です。

連絡先が掲載されていない、または分かりにくい

ユーザーが電話での問い合わせを希望している場合、電話番号をすぐに見つけられるかどうかが大きなポイントです。もし電話番号がサイト内の深いページにだけ書かれていたり、意外な場所に小さく表示されていたりすると、ユーザーは「どこに連絡すればいいの?」と迷ってしまいます。また、FAX番号やメールアドレスも、利用される可能性があるならわかりやすく示しておくと良いでしょう。

さらに、営業時間や定休日、相談予約の可能な時間帯などを記載していないと、ユーザーは「この時間帯に電話して大丈夫なのか」という不安を抱いたまま連絡をためらうケースがあります。行政書士事務所であっても、事前に予約が必要な場合や夜間・休日対応の有無などを明確に書いておくことで、混乱を防ぎやすくなります。

スマートフォン対応が不十分で使い勝手が悪いケース

インターネット利用者の多くは、スマートフォンから検索して情報を得ています。行政書士に相談するにあたっても、スマホで「相続相談 行政書士 地域名」「許認可申請 専門家」などと検索し、そのまま最初に表示されたサイトを訪問するケースが少なくありません。こうしたユーザーがスマホ対応していないサイトにアクセスすると、文字が小さくて読みづらいページのレイアウトが崩れてボタンが押せないなどのトラブルに直面し、あっという間に離脱してしまうことがあるのです。

レスポンシブデザインが機能していない

パソコン用のデザインをそのままスマホ表示に変換しているだけで、文字が極端に小さかったり、メニューが画面外にはみ出していたりするのは典型的な失敗例です。ユーザーがピンチアウトして文字を拡大しなければ読めないようなサイトは、使い勝手が極めて悪いと判断されてしまいます。レスポンシブデザインに対応することで、画面幅に合わせて要素を自動で再配置できるようにするのが基本です。

加えて、ボタンやリンクの大きさにも配慮が必要です。スマホではマウスカーソルではなく指でタップするため、ある程度のボタンサイズや間隔を確保しないと誤操作を招きます。行政書士事務所のホームページでは、依頼内容やサービスページを複数に分けて案内している場合が多いので、メニューを折りたたみ式(ハンバーガーメニュー)にするなど、整理されたナビゲーションを用意するのも効果的です。

画像や動画の容量が大きすぎて読み込みが遅い

スマホ回線で表示される場合、データ通信量の影響でページ読み込み速度が遅くなるリスクがあります。もしページ内に高解像度の写真や動画を何枚も埋め込んでいたり、無駄なスクリプトが走っていたりすると、ユーザーは表示される前にサイトを閉じてしまう可能性が高いです。サイトの速度は、ユーザー体験だけでなく、検索エンジンでの評価にも影響します。

適切な画像圧縮や、必要に応じてLazy Load(画面に表示されるタイミングで読み込む仕組み)を導入するなど、技術的な最適化も大切です。行政書士事務所のホームページでは、スタッフ写真や実績の画像を多用することがあるかもしれませんが、解像度を落とさずに全部をフルサイズで載せるのは逆効果になり得ます。「見せたいポイント」と「容量削減」を両立する調整が肝要です。

法令遵守に関わる表記の不足や誤り

行政書士事務所は、法律に基づく職務を行う専門家として、利用者からの信頼が何よりも大切です。そのため、ホームページ上での表記や情報提供にも、法令遵守が求められます。しかし、デザイン面やマーケティング面だけを優先してしまい、適切な表記が欠落しているサイトも少なくありません。これは信頼感を損なうだけでなく、トラブルや指導の対象になりかねない重大なミスです。

運営主体の情報が明確でない

ユーザーは、ホームページを見て「この事務所はどんな人がやっているのか」「行政書士の資格を持った人が本当に在籍しているのか」といった基本情報を確かめたいと考えます。ところが、事務所名や所在地、代表者名がどこにも明記されていないサイトが存在するのは問題です。特に、行政書士事務所であることを名乗る以上、行政書士の氏名や登録番号、所属する都道府県の行政書士会などの情報をしっかりと掲載することが望まれます。

また、ブログ感覚で運営しているためか、運営者情報が「○○行政書士事務所」とだけ書かれていて、連絡先住所や電話番号、メールアドレスが抜けているケースもあります。利用者が安心して問い合わせをするためには、「この人に依頼して大丈夫なのか」を確認できる最低限の情報が必須です。サイトのフッターや「事務所案内」ページなどに、明確かつ正確に記載しましょう。

誇張した表現や誤解を招く宣伝

インターネット上の広告や宣伝においては、景品表示法各種業法などの規定に反しないよう注意する必要があります。行政書士事務所の場合、「どんな業務ができるのか」「報酬額はどれくらいか」「成功率は何%か」などをアピールすることがあるかもしれませんが、根拠のない数字や過度な宣伝は誇大広告とみなされるリスクがあります。

たとえば、「絶対に成功します」「他社ではできない手続きも100%実現」などの表現は、実務的に絶対とは言えないため、ユーザーを誤解させる恐れがあります。広告の仕方によっては、行政書士法や関連法令に抵触する可能性もあるため注意が必要です。デザイン面でも、こうしたキャッチコピーを大きく装飾して目立たせすぎると、かえって怪しい印象を与えかねないので注意しましょう。

更新が途絶えた状態で放置されているサイトの信用低下

行政書士事務所がホームページを開設しても、その後の運用や更新が滞ったままでは、サイトそのものの信用度が下がってしまいます。訪問者が「この事務所はもう活動していないのでは?」と不安に感じるような状態だと、新たな依頼を獲得することが難しくなるでしょう。どんなに魅力的なデザインを施していても、情報が古いままでは使いにくいサイトになってしまいます。

新着情報やブログの最終更新が何年も前

トップページに「新着情報」や「事務所からのお知らせ」を表示している場合、そこに数年前の日付が残っていると、ユーザーは「この事務所は今どうなっているんだろう」と疑問を抱きます。実際には問題なく営業していても、サイト上で更新が行われていないと「閉業したのかも」と誤解される可能性があります。また、Googleなどの検索エンジンも、定期的に更新されていないサイトを鮮度の低いコンテンツと判断することがあり、検索順位にも悪影響を及ぼす可能性があります。

もし日常的にお知らせするような内容が多くない場合は、無理に新着情報を設置せず、業務内容ページや料金表の更新スタッフ紹介の見直しなど、定期的なメンテナンスを行っていることがわかる仕組みを用意するといいでしょう。

運用担当者が不在でデザイン崩れも放置

ホームページを制作した当初は外部の制作会社に依頼してデザインを整えたとしても、その後の細かい修正や記事投稿を社内でやるようになるケースも多いです。その際に、社内にWEB知識を持つ担当者がいない、あるいは日常業務が忙しくて対応しきれない状況が続くと、デザインやレイアウトが崩れてもそのままになりがちです。

レイアウト崩れやリンク切れ、画像の読み込みエラーなどを放置していると、ユーザー体験が大きく損なわれてしまいます。結果的に「手間をかけていない事務所」「細かいところまで気が回っていない」というイメージに直結することもあるでしょう。業務を多忙にしている行政書士の方が自力でメンテナンスするのが難しい場合は、保守サービスを提供している制作会社やWEB担当者を確保して、定期的にチェックする体制を整えることがおすすめです。

SNSリンクばかりに頼りすぎてホームページの役割が希薄化

昨今では、SNS(TwitterやFacebook、Instagramなど)を活用して事務所の活動を広報する動きが広まっています。行政書士事務所でも、SNSで日々の業務の一部や法改正に関するトピックを発信することで、集客やブランディングにつなげることができるでしょう。しかし、SNSとの連動を意識するあまり、ホームページのメインコンテンツがほとんどなく、SNSへのリンクばかりを貼っている状態は避けたいところです。

ホームページとSNSの役割を混同している

SNSは気軽に情報発信ができる半面、詳細なサービス内容や料金体系などをまとめて掲載するには向いていません。ホームページが担う役割は、事務所の公式情報を体系的に掲載し、利用者にとって参考になるコンテンツを提供することです。SNSはあくまで補助的なものであり、リアルタイムのやりとりや短い告知、フォロワーとのコミュニケーションを強化するための手段と考えたほうがいいでしょう。

もしホームページを訪れたユーザーがトップページからすぐにSNSに飛ばされてしまい、そこで何をどう見ればいいのかわからないとなると、事務所としての公式メッセージが伝わりにくいばかりか、SNSの更新頻度が低かった場合には更なる混乱を招きます。SNSアイコンを並べるだけでなく、ホームページ上にもしっかりとしたコンテンツを設けることが大切です。

SNS更新が止まっているリンクの放置

SNSへのリンクを設置するなら、定期的に更新しているかどうかを常にチェックしましょう。たとえば、Twitterを始めたものの数年前で投稿が止まっているアカウントへのリンクを残していると、「中途半端な運営をしている事務所」という印象を与える可能性があります。SNSを運用しきれないのであれば、思い切ってリンクを外すか非表示にするなど、ホームページ上の導線を整理したほうが良いでしょう。

ホームページのデザイン上、SNSのアイコンが並んでいると視覚的におしゃれに見えるかもしれませんが、実態の伴わないアカウントへの誘導は逆効果です。SNSを活用する場合は、最低限月に数回でも継続的に投稿できる体制を用意したうえでリンクを設置するのが望ましいといえます。

アクセス解析を活用していないことでデザイン改善が進まない

ホームページを公開しているだけでは、どのくらいのユーザーが訪れているのか、どのページが閲覧されているのかなど、実際の利用状況を把握しにくいです。もしアクセス解析ツールを導入せず、デザイン面を感覚だけで決めているとしたら、的外れなレイアウト変更無駄なページ増設を行ってしまうリスクが高まります。行政書士事務所であっても、効率的に問い合わせを獲得するためには、データにもとづくデザイン改善を行うことが欠かせません。

データなしでは本当のボトルネックが見えない

たとえば、「トップページから相続関連のページへのアクセスが少ない」「会社設立サービスページを見た人はなかなか問い合わせまでいかない」などの問題があったとしても、アクセス解析を見なければ具体的な原因を推測するだけに留まります。本当はデザイン要素ではなく、コンテンツの内容や問い合わせボタンの配置が悪い可能性もあれば、サービス名自体が分かりにくいという理由かもしれません。数字を把握しないまま改修しても、効果を検証することができません。

Googleアナリティクスなどのツールを使えば、どのページが多く見られているのか直帰率が高いページはどこか問い合わせまでの導線がどうなっているかなどを分析できます。行政書士事務所のホームページデザインを最適化するうえでも、アクセス解析のデータを参考にPDCAを回すことが大変重要です。

問い合わせフォームのコンバージョン率を測定していない

行政書士事務所のホームページでは、問い合わせフォームをコンバージョンポイント(最終的に達成したい行動)として設定するケースが多いでしょう。ところが、フォーム送信数やその後の成約率をトラッキングしていないと、現状のデザインや導線がどれだけ成果を生んでいるかを正確に把握できません。フォームにたどり着いたものの途中離脱しているユーザーがいれば、フォームの項目が多すぎるデザインが崩れている必須入力項目が不明瞭など、さまざまな要因が考えられます。

仮にフォーム送信率(問い合わせ率)が低いことがわかれば、フォームの構成や入力項目を見直したり、上部にお問い合わせボタンを追加したりする改善策を打てます。日頃から数字をモニタリングしないと、デザイン上の失敗に気づくのが遅れて機会損失が大きくなってしまうのです。

誤ったSEO対策や低品質コンテンツによるペナルティのリスク

行政書士事務所のホームページがネット上でより多くの人に見つけられるようになるには、検索エンジン最適化(SEO)の視点も欠かせません。ところが、SEOにおいても誤った対策や低品質なコンテンツを大量に作成してしまうと、かえって検索順位が下がり、サイトの評価を大きく損なう危険があります。デザイン面と同時に、質の高い情報発信をセットで行うことが大切です。

キーワードの詰め込みすぎで可読性が悪化

「行政書士」「相続」「許認可」など、ターゲットキーワードを意識するあまり、ページ内に不自然な形でキーワードを繰り返し詰め込むのは逆効果です。検索エンジンからスパム行為とみなされる恐れがあるだけでなく、ユーザーにとっても読みづらい文章になってしまいます。法律関連のサービスを求める人は、ただキーワードが散りばめられた文章よりも、分かりやすく具体的な解説を求めているはずです。キーワードはほどよく配置しつつ、内容の充実文章の論理性を優先しましょう。

コピーコンテンツの横行や無断引用

他サイトから文章を転載したり、他の行政書士事務所の説明をほぼそのままコピペしたりすると、重複コンテンツとして検索エンジンから評価を下げられる可能性があります。さらに、著作権侵害のリスクも伴うため、オリジナルの文章を作成することが基本です。デザインに関するテキストでも、安易に他社サイトの文言を流用するのは避けねばなりません。

行政書士の場合、条文や通達を引用する場面が出てくることもありますが、そうした引用箇所は明示し、独自の解説や事例を付け加える形でコンテンツを作りこむと、専門性が高まり評価されやすくなります。

本来強みとなる実績や事例がうまく示されていないデザイン構成

行政書士事務所に依頼する人は、「この事務所はどの分野が得意なのか」「実績が豊富なのか」「具体的にどんな成果を出しているのか」といった情報を気にします。ところが、デザイン面で実績紹介を分かりやすく配置できていなかったり、写真やデータを掲載していなかったりすると、ユーザーにアピールする絶好のチャンスを失ってしまうことがあります。

得意分野が分かりづらいメニュー構成

行政書士が扱う業務は多彩ですが、事務所によって得意分野や専門領域は異なります。たとえば、相続関係に特化していたり、外国人の在留資格取得に強かったり、建設業許可に詳しかったりとさまざまです。ホームページで自社の強みを示すには、トップページやメインメニューで得意領域をわかりやすく分類し、すぐにアクセスできるようにすることが効果的です。

もし、専門領域が明確に分類されていないメニュー構成で、全業務を一括りにしたページに羅列しているだけでは、ユーザーは「この事務所が何をしてくれるのか」を短時間で把握できません。結果、競合他社のサイトへ流れてしまう可能性もあります。色やアイコンなどを用いて、相続、許認可、法人設立などカテゴリ分けを視覚的に行うとユーザーが興味のある項目を探しやすくなるでしょう。

事例紹介や成果物の掲載がない

実際に行政書士のサポートを受けた人の声や、成功事例、どのような書類を作成したのかといった具体的な成果を提示することで、ユーザーは安心感を得ることができます。しかし、プライバシーや守秘義務の観点から、詳細を公開しにくいという事情もあるかもしれません。それでも、個人が特定されない範囲で事例を紹介したり、書類作成の流れを概説したりできる場合は、ぜひ検討してみる価値があります。

たとえば、「相続関連でこんな手続きをサポートしました」「許認可申請でこれだけ短期間に認可を取得できました」というストーリー仕立てのコンテンツは、利用者にとってイメージしやすく、依頼しやすい要素となるはずです。デザイン面でも、事例ごとにアイキャッチ画像や図表を用意して、読みやすくまとめる工夫を行うと良いでしょう。ユーザーに伝えたいポイントを箇条書きにまとめたり、重要な部分を太字で強調したりして、視線の動線を意識することで、直感的に理解しやすいデザインが完成します。

ここまで、行政書士事務所のホームページデザインにおいて見落とされがちな致命的な間違いをいくつか掘り下げてきました。どのポイントも、一見すると細かいように感じるかもしれませんが、実際にはユーザーの行動や信頼感に大きく影響します。行政書士という職業柄、信頼性専門性、そして丁寧さが求められる中、これらのミスを回避するだけでも、サイトの印象は格段に向上し、問い合わせ数や成約率にも好影響が期待できるでしょう。前半はここまでとさせていただきます。

効果的な事例紹介やコンテンツをさらに活かすポイント

行政書士事務所のホームページにおける事例紹介は、ユーザーに具体的なイメージを持ってもらうための強力な武器となります。ここでは、ただ単に「成功しました」と書くだけでなく、ユーザーが自分の状況に当てはめて考えられるような視点が大切です。そのためには、事例のストーリー化やデザイン面での工夫が欠かせません。

ストーリー仕立てで成果を伝える工夫

「相談内容からどのような解決策を提案し、どれくらいの期間で手続きを進め、最終的に依頼者がどのように助かったか」という一連の流れを物語のようにまとめると、ユーザーは自分が事務所に相談した場合を想像しやすくなります。特に相続や離婚、会社設立など、人生の重要なイベントに関わる事例は、具体的なエピソードとして示すほど「自分も相談していいのだ」と背中を押されやすくなるのです。

また、事例の冒頭に課題や困りごとを分かりやすく提示しておくと、同じ悩みを抱えるユーザーが「これは自分の問題と似ている」と感じやすくなります。そして、解決のプロセスを文章だけでなく、図解タイムラインを用いてビジュアル的に表現すると、より理解度が高まります。このようにストーリー性と視覚要素を組み合わせることで、読みやすく印象に残りやすい事例紹介が完成します。

ユーザー自身が動きやすくなる情報設計

事例紹介ページを読んだユーザーが、「自分の場合も同じように相談できるのかな」と思ったタイミングで、すぐに問い合わせや面談予約につなげられるような導線を用意しておくことも重要です。ページ下部やサイドバーに、「似た事例のご相談はこちら」といったボタンを配置しておけば、クリック一つで問い合わせフォームに移動できます。

さらに、事例紹介だけでなく、Q&A形式のコンテンツを用意すると「これは行政書士に頼むべきなのか」「費用はどれくらいかかるのか」という疑問の解消に役立ちます。デザイン面でも、Q&Aを折りたたみ式(アコーディオン)にするなど、ページをすっきりまとめつつ深い情報を提供できる工夫を凝らすと、サイトの使い勝手が格段に向上します。

事務所独自のカラーやブランドイメージを活かすための工夫

行政書士事務所と一口にいっても、それぞれ得意分野やスタッフの個性、事務所の理念が異なります。同じようなレイアウトや配色ばかりで差別化が図れなければ、ユーザーにとってインパクトのないサイトになってしまうかもしれません。一方で、個性を打ち出そうとしすぎて専門家らしさが薄れるのも困りものです。そこで、ブランドイメージと専門性をうまく両立させるために、いくつかのポイントを確認してみます。

優しさや堅実さを感じさせる配色プラン

行政書士事務所のサイトデザインでは、青系やグレー系をベースに据えるケースが多いです。これらの色は、落ち着きや誠実さを伝えやすく、法律に関わる専門家としての印象とも相性が良いとされています。とはいえ、淡いブルーや薄いグレーばかりだと地味になりやすいという欠点もあるため、アクセントカラーを一色加えて華やかさや親近感を持たせるのも効果的です。

たとえば、オレンジや緑、黄色などをポイント使いし、「ここがクリックできる場所です」「ここが強調したい要素です」と視覚的に案内すると、ユーザーの目線を自然に誘導できます。ただし、あまりにも鮮やかなビビッドカラーを多用すると全体のイメージが崩れるので、メインカラーと補色とのバランスを意識してセンスよくまとめたいところです。

ロゴや事務所名を印象づけるデザイン要素

ホームページを訪れたユーザーに、事務所名やロゴをしっかりと記憶してもらうには、ヘッダーやフッターにおけるロゴの配置が大切です。ロゴに事務所名が含まれている場合は、高解像度で、背景とのコントラストをはっきりつけ見やすく表示しましょう。また、ロゴの横にはキャッチコピーなどの短いメッセージを添えると、事務所の理念や得意分野を端的に伝えられます。

デザイン上の工夫としては、ロゴと同じトーンの色をサイト全体の差し色として使うといった方法があります。これにより、ヘッダー・フッター・ボタンなどに統一感が生まれ、ユーザーにとって「この色=事務所のイメージ」という連想が働きやすくなるのです。行政書士事務所では、名刺や封筒、看板などオフラインでも使用するロゴやカラーをもとに、オンライン上のブランドイメージをうまく合わせると視覚的一貫性が保たれます。

利用者の心理に寄り添ったコンテンツの発信が重要

法律に関わる相談や手続きというのは、多くのユーザーにとって慣れない行為です。相続や遺言、在留資格などは人生の重大事項に直結し、少しでも失敗やトラブルを避けたいと考えている方が多いでしょう。そうした利用者の心理に配慮して、サイトのデザインやコンテンツを練り上げると、「ここになら相談してみたい」という気持ちを後押しできます。

不安を解消する文章やFAQの配置

行政書士に依頼する際の大きなハードルは、「費用が高そう」「どこまでやってくれるのか」「本当に自分のケースにも対応してくれるのか」といった漠然とした不安です。これらの疑問を解消できるコンテンツをあらかじめ用意しておけば、ユーザーが問い合わせや面談予約を決断しやすくなります。

たとえば、よくある質問(FAQ)を整理し、短い回答だけでなく簡単な補足解説を添える形でまとめておくのが効果的です。単なるテキストリストではなく、見出しやアイコンを活用し、折りたたみでスッキリと表示すると読みやすくなります。ここで、専門用語を多用するのではなく、できるだけ一般の人にも伝わる言葉を使い、必要に応じて専門用語の解説リンクを用意するなどの配慮が大切です。

依頼から完了までの流れを視覚化

どのようなプロセスで手続きを進めるのかが曖昧なままだと、ユーザーは「着手金を払ったらその後のやり取りはどうなるのか」「どれくらいの期間で終了するのか」といった点を想像しにくくなります。そこで、「お問い合わせ → 初回面談 → 必要書類の準備 → 申請手続き → 完了」など、一連の流れを図やアイコンを用いて分かりやすく示すと、ユーザーの安心感が高まります。加えて、各ステップでのユーザー側の負担や必要作業事務所が対応する範囲などを具体的に記載すれば、依頼時のイメージが一層クリアになるでしょう。

このように、シンプルなフロー図でまとめたページに適度な色やデザイン要素を加えることで、読むだけで頭に入りやすい形にできます。文字ばかりで説明すると理解しづらい内容でも、ビジュアル化によって一目で手続きのボリューム感事務所のサポート領域が伝わるため、サイトを訪れた人が行動を起こしやすくなるメリットがあります。

スタッフプロフィールページで親近感と専門性をアピールする

行政書士事務所は、いわば人が商品のビジネスとも言えます。依頼するユーザーとしては、「どんな行政書士さんに対応してもらえるのか」「実際にサポートしてくれるスタッフはどんな人たちなのか」といった情報を知りたいはずです。そこで、スタッフ紹介や代表挨拶のページをただの形式的なものにせず、うまくデザインを工夫して親近感と専門性を伝えられるようにしましょう。

顔写真と得意領域をセットで掲載

スタッフ紹介の際に顔写真を載せるときは、前半でも触れたように背景や照明、服装などに配慮した写真を用意したいです。加えて、それぞれの得意分野や過去の実績、取得資格などを簡潔に記載すると、ユーザーは「この人は建設業許可に強いんだな」「相続手続きが得意なんだな」など、具体的なイメージを得やすくなります。特に同じ行政書士資格者でも、担当する業務領域が異なる場合があるため、誰に何を相談できるかを明確に示すことが大切です。

また、敷居が高いイメージを払拭するために、人柄が伝わる短い自己PRや、趣味・人となりを感じるエピソードを少しだけ書いておくのも良いアイデアです。もちろん、あまりにもプライベートすぎる内容は控えたほうがいいですが、ある程度の人間性が伝わると、ユーザーにとって相談しやすい雰囲気を作り出せます。

代表メッセージで事務所の理念を言語化

事務所の代表者がサイト上で語る「なぜこの仕事をしているのか」「どんな思いで依頼者と接しているのか」といったメッセージは、ユーザーの心に響きやすい部分です。ここが空白のままだと、単なる事務的サービスと捉えられがちで、人間味や情熱が伝わりにくくなってしまいます。

デザイン面では、代表の写真とともに短めの挨拶文を設け、もう少し詳しい理念や経緯を読みたい人向けに「代表プロフィールを見る」というリンクを置く方法があります。トップページや「代表挨拶」のページが長文になると読みにくいため、要点をまとめたメッセージを最初に配置し、詳細は別ページに飛ばす構成がシンプルでわかりやすいです。

ローカルSEOを意識した地図やアクセス情報のデザイン

行政書士事務所は、全国対応を謳っているケースもありますが、やはり地域密着型として近隣エリアの顧客を中心に集客することが多いのではないでしょうか。そうなると、Googleマップなどの検索エンジンが提供するローカルサービスでの検索結果や、地元のユーザーが見つけやすいデザインづくりが重要になります。

アクセスマップや駐車場情報を見やすく配置

事務所へ実際に足を運ぶ際、最寄り駅や駐車場からどれくらいの距離なのかが気になるところです。住所だけがテキストで書かれていても、地図上で確認したいユーザーもいますので、埋め込み地図イラスト地図を掲載しておくと便利です。特に車で来所が多い地域なら、駐車スペースの有無や駐車料金なども明記すると親切です。

デザイン面では、地図を必要以上に大きくしすぎず、クリックやタップで拡大表示できるように工夫するとスマホユーザーも扱いやすくなります。所在地や地図に関する情報は、トップページのフッターや「事務所案内」ページにわかりやすく配置するのが定石です。

地域名と業務内容を組み合わせたキーワード表示

ローカルSEOでは、ユーザーが「地域名+行政書士」「地域名+業務名」などで検索するケースが増えています。したがって、ホームページのタイトルタグや見出しには、自然な形で地域名を盛り込みたいところです。たとえば「〇〇市・△△町の相続相談なら○○行政書士事務所」のように、業務内容と地域名がセットになったキーワードを意識すると、地元のユーザーが検索したときに見つかりやすくなります。

ただし、過度なキーワードの詰め込みは避けましょう。文章中にさりげなく地域名を入れるページの一部にエリア対応の表記をまとめるなど、ユーザーにとっても自然に読める形で配置するのが好ましいです。デザイン面でも、地域名を目立たせるバナーや「対応エリア一覧」のカードなどを作り、一目で「ここは私の地域をカバーしている事務所だ」とわかるように示すと効果的です。

セキュリティ面での配慮やプライバシーポリシーの明示

法律業務を扱う行政書士事務所では、ユーザーから重要な個人情報を預かることが少なくありません。特に問い合わせフォームや予約フォームでは、氏名や住所、連絡先、場合によっては家族構成や会社情報なども取得する可能性があります。こうした情報を取り扱うからこそ、サイト上のセキュリティ対策を徹底し、安心してフォームに入力してもらえる環境を整えることが求められます。

SSL化(HTTPS)の徹底

現代では、個人情報を入力するページに限らず、サイト全体をSSL化(HTTPS化)するのが一般的です。ブラウザ上でアドレスバーが「保護されていません」と表示されると、ユーザーは大きな不安を感じてしまいます。検索エンジンの評価指標にも関わるため、まだ常時SSL化していない事務所は早急に対応することをおすすめします。

HTTPS化はサーバー設定や証明書の導入が必要ですが、信頼性を示す重要な要素です。問い合わせフォームだけでなく、トップページや下層ページも含めた全ページをHTTPS化することで、ユーザーがどのページを見ても安心して利用できるようになります。

プライバシーポリシーと個人情報の保護方針の明確化

ホームページのフッターや「事務所案内」ページなどに、プライバシーポリシーをきちんと掲載しておくと、ユーザーは「この事務所は情報管理に配慮している」と感じやすくなります。具体的には、どんな目的で個人情報を収集し、どのように保護し、第三者への提供はどのような場合に行うのかなどを明示しておくのが基本です。

法律に関わる業務であっても、インターネット上での個人情報保護における責任は免れません。もしプライバシーポリシーが全く書かれていないサイトや、抽象的な文言だけのページしか用意していないサイトだと、ユーザーは「本当に大丈夫か」という疑念を持ってしまいます。デザイン面では、プライバシーポリシーのページに簡単な目次や見出しを設定し、読みやすく整理することが大切です。

多言語対応やバリアフリー設計の可能性を検討する

行政書士事務所によっては、国際業務(在留資格手続きや国際結婚など)を取り扱うことがあります。その場合、外国人ユーザーの相談ニーズも見込まれるため、多言語対応を検討する価値があります。また、高齢の方や視覚が弱い方に配慮したバリアフリー設計を取り入れると、より幅広い層に利用してもらいやすいホームページになります。

英語版や多言語ページの検討

在留資格など外国人向けサービスに力を入れている場合は、少なくとも英語ページの用意を考えると良いです。トップページのどこかに言語切り替えボタンを設置し、英語ページへ簡単にアクセスできるようにしておくと、海外からのユーザーにもスムーズに対応できます。ただし、自動翻訳機能だけに頼ると誤訳が多くなる恐れがあるため、専門家のチェックを受けた翻訳を掲載するのが理想です。

日本語ほど詳しい情報を載せるのが難しい場合は、最低限、サービス概要や問い合わせフォーム、連絡先などを英語で案内し、詳細相談はメールや電話で受け付ける形でも構いません。デザイン面では、切り替えボタンの配置や英語文字のレイアウト調整に注意し、文字幅や行間が崩れないように適切なCSS設定を行うことが必要です。

アクセシビリティ基準を意識したデザイン

行政書士に相談する層には、高齢者や障がい者の方が含まれることもあります。サイト設計の際、文字サイズの拡大オプションをつけたり、音声読み上げツールに対応しやすい構造にしたり、色覚特性に配慮した配色を選んだりといったアクセシビリティの取り組みがあると、より多くの人がストレスなく利用できるようになります。

具体的には、HTMLの見出しタグを正しく使用し、代替テキスト(alt属性)を適切につけ、コントラスト比を確保するといった基本的なウェブアクセシビリティガイドラインを守ることが大切です。行政書士事務所として幅広いユーザーに対応したいのなら、こうしたバリアフリー設計にも目を向けると社会的評価にもつながりやすいです。

適切な文章校正や誤字脱字チェックの重要性

行政書士事務所のホームページは、法律や制度に関わる情報を扱ううえに、事務所そのものの信頼度を示す場でもあります。誤字脱字や表記の乱れが多いと、「こんなところでミスが多いのなら、手続き上でもミスをされないか心配」という印象を与えかねません。せっかくデザインが整っていても、テキストの誤りが目立つだけで専門家としての信用を下げる原因になり得ます。

公開前のダブルチェック体制

ホームページを更新する際には、複数人での確認を習慣にすると誤字脱字を減らせます。できれば、文章を書く担当者とチェックする担当者を分け、内容面・法的側面文章表現・デザイン崩れの両面から目を通すと安心です。特に法律用語や専門用語は、書き間違えるとユーザーに誤解を与えるリスクがあるため、正確性を最優先して確認しましょう。

また、ツールを活用するのも良い方法です。ワープロソフトやブラウザの拡張機能でスペルチェック文章校正機能を利用すれば、基本的なミスを機械的に発見しやすくなります。ただし、ツールだけに頼ってしまうと、専門用語や法律用語の表記ゆれなどが見逃されることもあるため、最終的には人の目で確認する姿勢が必要です。

専門外の分野にも注意を払う

行政書士事務所が扱う分野によっては、外国語の文言や他の法律職・専門士業との連携説明など、さまざまな用語を使う場面が出てきます。例えば、弁護士や司法書士、税理士と連携する場合、相手の職域に触れすぎる表現は避ける必要がありますし、場合によってはユーザーの混乱を招く表現にならないように注意しましょう。デザインやテキストを含め、誤解を与えない言葉の使い方を徹底することで、余計なトラブルを回避できます。

将来のホームページ拡張にも対応できる設計と運用計画

行政書士事務所のホームページは、一度制作して終わりではありません。法改正や新しいサービス領域への対応、事務所スタッフの増員など、運営に伴って定期的なアップデートが必要になります。そこで大切なのが、将来の変更や拡張に対応しやすいデザイン・システムを採用することです。

CMSの導入と運用ルールの整備

ホームページ制作においては、WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)を導入するのが一般的です。CMSを使うことで、専門知識のないスタッフでもブログ記事の投稿や文言の修正をスムーズに行えます。ただし、プラグインの選定やテーマのカスタマイズに注意しないと、読み込み速度の低下セキュリティホールを作り出す原因になるので、慎重に管理したいところです。

運用ルールとしては、更新の担当者や更新頻度、チェックフローを明確にしておくと、制作会社に依頼しなくても日々の情報修正を行いやすくなります。担当者が異動したり辞めたりすると混乱が生じる恐れがあるため、マニュアル化や引き継ぎ体制の構築も重要です。

拡張性を考慮したデザインテンプレート

ホームページを後から拡張する際、既存のデザインが固定的すぎると、追加ページのレイアウトが上手く合わなかったり、メニュー構成に制限がかかったりします。たとえば、事務所の新サービス分野を大々的に紹介しようとしても、トップページのデザインがそれを想定していない場合、無理やり詰め込んだような仕上がりになってしまうかもしれません。

したがって、最初の段階である程度柔軟性の高いテンプレートやレイアウトを想定しておくと安心です。具体的には、メインビジュアルの更新が容易な仕組みにする、メニューを自動生成できる仕組みにするなどが挙げられます。こうしたサイト構造であれば、新たに作成したページを簡単にメニューやバナーに組み込み、スムーズに情報発信できるようになります。

定期的な分析と改善でユーザー満足度を高めるアプローチ

前述のように、ホームページは公開してからが本当のスタートです。問い合わせ数やアクセス数に伸び悩んでいるのであれば、その原因がデザイン面にあるのか、コンテンツ内容にあるのかを定期的に見直す必要があります。以下に、継続的に運用改善を行うためのステップをまとめてみます。

アクセス解析とヒートマップの活用

  • ページ別の閲覧数や直帰率
    どのページがよく見られているのか、逆に見られていないページはどれかを分析し、人気ページには関連する情報を追加するといった施策を打てます。
  • コンバージョン計測
    問い合わせフォームへの到達率や完了率をトラッキングし、離脱ポイントを特定します。もし特定のステップで離脱が多いなら、そのページデザインやフォームの設問数を再検討すると良いでしょう。
  • ヒートマップ
    ユーザーがどこにマウスカーソルを置いているか、どこをクリックしているかなどを視覚化できるツールを使えば、ページ上で注目されていない部分や、逆に注目が集まりすぎている部分を把握できます。これにより、ボタンの位置や色、誘導文などを最適化できるわけです。

ユーザーの声を取り入れる仕組み

  • 簡易アンケートやフィードバックフォーム
    「サイトを見て何か分かりづらい点はありましたか」など、最低限の質問を設けたアンケートを設置し、改善のヒントを得る方法もあります。
  • 問い合わせや面談時のヒアリング
    実際に相談しに来た人に「サイトで困った点はありましたか」「どのページを特によく見ましたか」と聞けば、リアルな意見が得られます。こうした声をデザイン改善やコンテンツ強化に役立てることで、ユーザー視点をより反映させやすくなります。
  • SNSやレビューサイトでの評判チェック
    もしSNSでの口コミがあるなら、それらを把握しておくことで、サイトだけではわからない評価や課題が見えてくることがあります。たとえば「ホームページに書いてある料金と実際の請求が違う」といったクレームが書かれていれば、その原因を分析して修正すべきです。事務所名で検索して他サイトの評価を見ることも重要です。

デザインとユーザー体験を両立させ、信頼を勝ち取る姿勢

行政書士事務所のホームページが、美しく整ったデザインだけを追求していても、ユーザーが探している情報を見つけられなかったり、問い合わせまでのハードルが高かったりすれば、その価値は大きく半減してしまいます。逆に、どんなに情報量が豊富であっても、見た目が雑多で読みづらいサイトでは、ユーザーは長く滞在してくれません。

最終的には、見た目の良さと使いやすさの両軸をバランスよく確保しつつ、法律専門家としての信頼感安心感を演出することが理想です。とくに行政書士という仕事は、ユーザーにとって「困ったときに頼れるパートナー」であり、専門知識を活かして正確に手続きを行うことが強みになります。ホームページ上のデザインも、それを下支えする存在として機能させるべきなのです。

サイトの更新や運営は手間がかかる作業ですが、きちんと取り組めば問い合わせ数や成約率に直結する重要な投資といえます。さらに、デザイン面だけでなく、コンテンツの拡充やSEO対策、ローカル検索への対応など、総合的な視点で改善を重ねていくことで、事務所の知名度ブランド力を確立しやすくなります。デジタル時代において、ホームページは行政書士事務所の「顔」や「窓口」とも言える存在です。その顔がユーザーにとって魅力的で頼りがいがあると感じられるかどうかが、信頼される事務所かどうかの分かれ道になるのではないでしょうか。

行政書士事務所のホームページ制作やリニューアル、サイト運営などでお悩みの方々は遠慮なくご相談ください。

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ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例

ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例を随時ご紹介させていただきます。事例は、基本的に実名掲載の実績とは異なり、実際の要望や予算、ボリュームといった具体的な内容を紹介させていただきます。
少しでもイメージしていただけるよう実際の事例を紹介していこうと思います。
ただし、それぞれのご依頼者のプライバシーやその他公開できない情報などもありますので、ご依頼者が特定できるような情報は掲載していません。

行政書士事務所のサイト運営サポートをご希望の方

サイト運営サポートサービスでは3つのプランをお選びいただけます。
ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、プランA
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、プランB
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、プランC
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。

行政書士事務所のサイト運営サポートをご希望の方は、サイト運営サポートのページをご覧ください。

行政書士事務所のホームページリニューアルをご希望の方

行政書士事務所のホームページリニューアルをご希望の方は、ホームページリニューアルのページをご覧ください。

ホームページリニューアルサービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページリニューアル作業とリニューアル公開後1年間のサポートが含まれています。リニューアル作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。

ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、ライトプラン
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、スタンダードプラン
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、プレミアムプラン
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。

行政書士事務所のホームページ制作をご希望の方

行政書士事務所のホームページ制作をご希望の方は、勝てるホームページ制作のページをご覧ください。

ホームページ制作サービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページ制作作業とリニューアル公開後1年間のサポートが含まれています。制作作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。

ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、Sプラン
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、Mプラン
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、Lプラン
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。

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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。