WordPressの古いバージョンを放置するとどうなる?実例で見る悲劇のシナリオ

ホームページ制作やリニューアルを検討されている事業者様、「WordPress(ワードプレス)」の導入を視野に入れている、あるいは既にご利用中の方も多いのではないでしょうか。WordPressは世界中で圧倒的なシェアを誇る、非常に優れたホームページ構築システムです。しかし、その手軽さゆえに、導入後の「保守・運用」、特に「バージョンのアップデート」が見過ごされがちであるという大きな問題を抱えています。

「ホームページは一度作れば終わり」「問題なく表示されているから大丈夫」

もし、そうお考えであれば、その認識は今すぐ改める必要があります。古いWordPressを放置することは、時限爆弾を抱えているのと同じです。いつ、あなたのビジネスに致命的なダメージを与えるか分かりません。

本記事では、一般論に終始するのではなく、実際に起こりうる「悲劇のシナリオ」を具体的にお伝えすることで、WordPressのアップデートの重要性を解説します。ホームページ制作やリニューアルという大きな投資を成功させるために、ぜひ最後までお読みください。

WordPressのアップデートを怠ることで起こる「悲劇のシナリオ」

WordPressのアップデートには、機能追加やパフォーマンス向上だけでなく、最も重要な「セキュリティ脆弱性の修正」が含まれています。アップデートを怠るということは、この脆弱性を放置し、悪意のある攻撃者に対して無防備な状態を晒していることを意味します。

シナリオ1:ある日突然、ホームページが改ざんされる

これは、最も頻繁に起こる悲劇の一つです。

ある朝、自社のホームページを開くと、トップページが見慣れない海外のサイトに差し替わっていたり、不適切な画像や文章が掲載されていたりします。さらに深刻なのは、見た目はそのままで、裏側でマルウェア(ウイルス)を訪問者のパソコンにばらまく「踏み台」にされてしまうケースです。

攻撃者は、古いWordPressやプラグインの脆弱性を突き、いとも簡単に管理画面に侵入します。一度侵入されると、ファイルの中身を書き換え、サイトを乗っ取ってしまいます。

  • サイトの改ざん: 企業のイメージを著しく損なう内容に書き換えられる。
  • 不正な広告の表示: 訪問者を詐欺サイトへ誘導する広告が埋め込まれる。
  • マルウェアの配布: 訪問しただけでウイルスに感染するような、危険なサイトに変えられてしまう。

こうなると、Googleなどの検索エンジンから「このサイトは危険」と判断され、検索結果に警告が表示されるようになります。会社の信頼は失墜し、復旧には多大な時間とコスト、そして専門知識が必要となるのです。

シナリオ2:顧客情報が流出、信頼も売上も失う

ECサイトや、お問い合わせフォームで顧客情報を扱っている事業者の場合、被害はさらに深刻化します。

脆弱性を突かれてデータベースに不正アクセスされ、顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、そして最悪の場合、クレジットカード情報までが流出します。

一度流出した個人情報は、瞬く間にダークウェブなどで売買され、取り戻すことは不可能です。

  • 顧客への謝罪と補償: 被害を受けた顧客一人ひとりへ連絡し、謝罪と補償を行う必要があります。
  • 行政への報告義務: 個人情報保護法に基づき、個人情報保護委員会への報告が義務付けられています。怠れば罰則の対象となります。
  • 信用の完全な失墜: 「情報をずさんに扱う会社」というレッテルは、簡単には剥がせません。築き上げてきたブランドイメージは崩れ去り、顧客は離れていきます。
  • 莫大な損害賠償: 顧客から損害賠償請求の訴訟を起こされる可能性も十分にあります。

たった一度の情報漏洩が、会社を倒産の危機に追い込むこともあるのです。これは決して大げさな話ではありません。

シナリオ3:検索順位が急落、集客ゼロに

これまで「地域名 業種」で検索すれば常に上位に表示されていた自社のホームページが、ある日を境に検索結果から姿を消します。

これは、前述のサイト改ざんやマルウェア配布が原因で、Googleからペナルティを受けてしまった結果です。Googleは、ユーザーにとって安全でないサイトを検索結果に表示させません。

また、古いWordPressは最新のWeb技術に対応しておらず、ページの表示速度が著しく遅くなる傾向があります。ページの表示速度は、Googleが検索順位を決める上で非常に重要な要素の一つです。アップデートを怠っているだけで、じわじわとSEO評価が下がり、競合サイトに順位を奪われていくのです。

ホームページからの問い合わせや売上が事業の柱となっている場合、検索順位の急落は死活問題です。広告費をかけなければ、新規顧客の獲得が完全にストップしてしまうでしょう。

シナリオ4:リニューアルしたくてもできない「塩漬け」状態に

「そろそろデザインも古いし、新しい機能も追加したいからホームページをリニューアルしよう」

そう考えたとき、古いWordPressが大きな足かせとなります。

長年アップデートを怠ってきたWordPressは、プログラムの根幹であるPHPのバージョンや、データベースの仕組みが古すぎて、最新のデザインテーマや便利な機能のプラグインに対応できません。

無理にリニューアルしようとすると、

  • 表示が崩れる
  • 機能が正常に動かない
  • 最悪の場合、サイトが全く表示されなくなる

といった事態に陥ります。

結果として、表面的なデザイン変更しかできず、根本的な改善ができない「塩漬け」状態になってしまうのです。あるいは、ゼロからホームページを再構築する必要に迫られ、想定していたリニューアル費用の何倍ものコストがかかってしまうケースも少なくありません。

なぜWordPressのアップデートは放置されがちなのか?

これほど多くのリスクがあるにも関わらず、なぜアップデートは放置されてしまうのでしょうか。そこには、事業者様が抱えがちな、いくつかの共通した理由があります。

「動いているから問題ない」という誤解

最も多いのがこの理由です。ホームページが通常通り表示されていると、内在するリスクに気づくことは困難です。「壊れていないものを、わざわざ触る必要はない」と考えてしまうのです。

しかし、これは大きな間違いです。水面下では、世界中の攻撃者が常にあなたのホームページの脆弱性を狙っています。問題が表面化した時には、既に手遅れなのです。

アップデートによる不具合への懸念

「アップデートボタンを押したら、サイトが表示されなくなった」という話を聞いたことがあるかもしれません。

確かに、WordPress本体とプラグイン、あるいはテーマとの互換性の問題で、アップデート後に不具合が発生する可能性はゼロではありません。このリスクを恐れるあまり、アップデートをためらってしまうケースです。

しかし、正しい手順でバックアップを取り、専門家が慎重に作業を行えば、リスクは最小限に抑えられます。不具合の可能性を恐れてアップデートをしないことは、より大きなセキュリティリスクを容認することに他なりません。

専門知識の不足と担当者の不在

「ホームページは制作会社に作ってもらったきり、社内に詳しい人間がいない」

中小企業において、これも非常に多いケースです。WordPressの管理画面にログインする方法すら分からない、ということも珍しくありません。Web専任の担当者を置く余裕がなく、日々の業務に追われる中で、ホームページの管理は後回しにされがちです。

結果として、何年もの間、一度もアップデートされることなく放置されてしまうのです。

今すぐできる!自社サイトのWordPressバージョン確認方法

自社のホームページが大丈夫か不安になった方も多いでしょう。WordPressのバージョンは、管理画面から簡単に確認できます。

  1. WordPressの管理画面にログインします。(通常は「ドメイン/wp-admin/」などでアクセスできます)
  2. ダッシュボードのトップページ右下にある「概要」ボックスを確認します。
  3. そこに「WordPress X.X.X をお使いです。」とバージョンが表示されています。

また、アップデートが必要な場合は、ダッシュボード上部に通知が表示されます。もし、ログイン方法が分からない、あるいは長期間ログインした形跡がない場合は、危険な状態である可能性が高いと言えます。すぐに制作を依頼した会社や、専門家へ相談することをおすすめします。

悲劇を繰り返さないために事業者がすべきこと

では、これらの悲劇的なシナリオを避け、事業資産であるホームページを守るためには、どうすればよいのでしょうか。

専門家による保守・運用体制の構築

最も確実で、結果的にコストパフォーマンスが高い方法は、専門家と保守契約を結ぶことです。

保守契約には、一般的に以下のような内容が含まれます。

  • 定期的なWordPress本体・プラグインのアップデート作業
  • サイトデータの定期的なバックアップ
  • セキュリティチェックと不正アクセスの監視
  • トラブル発生時の迅速な復旧対応

これらを専門家に任せることで、事業者は本来のビジネスに集中することができます。月々の費用はかかりますが、万が一の事態が発生した際の損害額や復旧コストを考えれば、必要不可欠な「保険」であると言えるでしょう。

ホームページ制作・リニューアル時の要件定義

これからホームページを制作、あるいはリニューアルを検討している場合は、制作段階から「公開後の保守・運用」を視野に入れておくことが極めて重要です。

制作会社に見積もりを依頼する際には、制作費用だけでなく、公開後の保守・運用のプランや費用についても必ず確認しましょう。安価な制作費用を提示する会社の中には、保守・運用を全く想定していないケースもあります。

「作って終わり」ではなく、公開後も継続的にサポートしてくれるパートナーを選ぶことが、悲劇を未然に防ぐ鍵となります。

WordPressアップデートに関するQ&A

最後に、事業者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. WordPressのアップデートは、どのくらいの頻度で行うべきですか?

A1. セキュリティに関わる「マイナーアップデート」は、提供され次第、可及的速やかに適用するのが理想です。機能追加を含む「メジャーアップデート」は、利用しているプラグインやテーマの対応状況を確認し、月に1回など定期的にチェックして適用するのが良いでしょう。専門家と保守契約を結んでいれば、最適なタイミングで対応してもらえます。

Q2. アップデート作業は、自社でもできますか?

A2. 技術的には、管理画面のボタンをクリックするだけで完了する場合がほとんどです。しかし、万が一の不具合に備え、必ず事前にバックアップを取る必要がありますまた、不具合発生時に原因を特定し、復旧させる専門知識がない場合は、安易に手を出さない方が賢明です。

Q3. アップデートに失敗すると、どうなりますか?

A3. 最悪の場合、ホームページが真っ白になって表示されなくなったり、管理画面にログインできなくなったりします。この状態から自力で復旧させるのは非常に困難です。バックアップがあれば元の状態に戻せますが、バックアップがない場合は、復旧が不可能になるケースもあります。

Q4. WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインのアップデートも必要ですか?

A4. はい、絶対に必要です。攻撃者は、WordPress本体だけでなく、利用者の多いプラグインの脆弱性を狙ってきます。むしろ、プラグインの脆弱性が原因で侵入されるケースの方が多いくらいです。本体、テーマ、プラグインは、常に三位一体で最新の状態に保つ必要があります。

Q5. 保守・運用の費用はどのくらいかかりますか?

A5. サイトの規模や保守内容によって大きく異なりますが、月額数千円から数万円程度が一般的です。アップデートやバックアップの基本的なプランであれば比較的安価に、セキュリティ監視やコンテンツ更新のサポートまで含めると高くなる傾向があります。複数の会社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。

Q6. 古いバージョンのままでも、セキュリティプラグインを入れておけば安全ですか?

A6. いいえ、安全ではありません。セキュリティプラグインは、あくまで防御力を高める補助的な役割です。根本的な脆弱性が存在している以上、それを完全に防ぐことはできません。例えるなら、鍵の壊れたドアに、補助錠を一つ追加しているようなものです。まずは、ドアそのもの(WordPress本体)を修理することが最優先です。

Q7. 今の制作会社が保守対応してくれない場合、どうすればいいですか?

A7. WordPressの保守を専門に行っている会社はたくさんあります。他社が制作したホームページの保守・運用を引き継いでくれる会社も多いので、まずは相談してみましょう。「WordPress 保守 乗り換え」などのキーワードで検索すれば、多くの専門家を見つけることができます。

まとめ:ホームページは「育てる」資産です

ホームページは、一度作ったら終わりの「看板」ではありません。ビジネスの成長と共に情報を発信し、顧客との接点を生み出し、ブランドを育てていく「生き物」であり、重要な「事業資産」です。

その資産価値を維持し、高めていくためには、適切なメンテナンスが不可欠です。WordPressのアップデートは、その最も基本的で、最も重要なメンテナンスの一つです。

この記事で紹介した「悲劇のシナリオ」は、決して他人事ではありません。アップデートを怠るという、ほんの少しの油断が、あなたのビジネスに計り知れない損害をもたらす可能性があります。

これからホームページ制作やリニューアルを行う事業者様は、ぜひ「公開後の運用」までを見据え、信頼できるパートナーと共に、安全で効果的なホームページ活用を実現してください。

WordPressでのホームページ制作やリニューアル、サイト運営などでお悩みの方々は遠慮なくご相談ください。

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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。