兵庫県丹波地域 令和7年度移住・定住促進支援事業 活用ガイド:ホームページ制作・ウェブ広告で移住体験ツアーを成功させる方法

本稿は、兵庫県丹波県民局が実施する「令和7年度 移住・定住促進支援事業」を活用し、自社で企画する移住体験ツアーの集客力と魅力を最大化するために、ホームページ制作・リニューアルやウェブ広告の展開を検討されている事業者様向けの完全解説ガイドです。

近年、都市部から地方への移住、いわゆる「田舎暮らし」への関心は社会的な潮流となっています。しかし、移住希望者が抱える最大の不安は「移住後のリアルな生活」が見えないことです。この不安を解消し、丹波地域への移住・定住を力強く後押しすることを目的として、本支援事業は「移住後の暮らしを体験、体感できるツアー」に要する経費の一部を補助します。

この事業の核心は、あくまで「体験ツアーの実施支援」にあります。しかし、どれだけ素晴らしいツアーを企画しても、その情報が移住を検討している潜在顧客に届かなければ意味がありません。そこで決定的に重要な役割を果たすのが、戦略的なウェブ活用です。

魅力的なツアー紹介ページを備えたホームページは、信頼性の高い情報発信拠点となり、ターゲットを的確に狙ったウェブ広告は、潜在的な参加者を効率的に集客するための強力な武器となります。ホームページ制作やウェブ広告は、それ自体が目的ではなく、「体験ツアーという商品を、それを最も必要としているお客様に届け、参加へと導くための不可欠な手段」として位置づけられます。

しかし、補助金の応募要領は専門的な表現が多く、どの経費が対象で、どのような手続きを踏むべきか、一見して理解するのは容易ではありません。特に、「ホームページ制作費」のような直接的な記載がない場合、活用を諦めてしまう事業者様も少なくないでしょう。

そこで本ガイドでは、添付された「令和7年度 移住・定住促進支援事業 応募要領」を徹底的に読み解き、特にホームページ制作やウェブ広告への活用という観点から、以下の項目を詳細かつ具体的に解説していきます。

  1. 補助金の基本概要:制度の本質と目的を深く理解します。
  2. 【最重要】補助対象経費の徹底解説:ホームページ制作費やウェブ広告費が補助対象となりうる根拠を、応募要領から見つけ出し、その可能性と限界を分析します。
  3. 【要注意】補助対象とならない経費の罠:申請で陥りがちな失敗を未然に防ぎ、計画の精度を高めます。
  4. 申請資格と事業条件の全貌:誰が、どのようなツアーを企画すれば補助対象となるのか、その必須条件を詳しく確認します。
  5. 補助金額と期間:具体的にいくら、いつまで支援を受けられるのかを計算例とともに解説します。
  6. 申請から交付までの完全ロードマップ:複雑な手続きをステップバイステップで追い、具体的なアクションプランを提示します。
  7. 採択後の義務とペナルティ:補助金を受け取った後に発生する重要な義務と、違反した場合のリスクを理解します。
  8. 他の補助金との併用:複数の補助金を検討している場合の重要な注意点を解説します。
  9. 補助金活用を成功させるための鉄則:これまでの内容を総括し、採択を勝ち取り、事業を成功に導くためのポイントをまとめます。

このガイドが、皆様の移住促進事業を加速させ、丹波地域の未来を共に創る一助となることを心から願っています。

1. 補助金の基本概要:制度の本質と目的を深く理解する

本補助金を最大限に活用するためには、まずその「魂」とも言える事業目的を正確に理解することが不可欠です。

事業目的(応募要領 1)

近年、田舎暮らしや地方移住への関心がある中で、移住後の暮らしなどを体験できるツアーのニーズが高まっています。ツアー参加者は移住後の生活が明確になり、移住前後のギャップを減らすことで、更なる移住者数の増加・定住の促進が期待されます。そこで、丹波県民局では丹波地域における移住・定住に向けたツアーを支援することとし、当該ツアーを実施する事業者を募集します。

この文章から読み取れる本事業の核心は、以下の3点に集約されます。

  1. 課題認識:移住希望者は「移住後のリアルな生活」を知りたいという強いニーズを持っている。
  2. 解決策:そのニーズに応える「体験・体感型ツアー」が有効な解決策である。
  3. 事業内容:したがって、県民局は「体験・体感型ツアーを実施する事業者」を支援する。

ここで最も重要なのは、本補助金が「ホームページ制作補助金」や「広告宣伝補助金」ではないという事実です。あくまで「移住体験ツアー実施支援補助金」なのです。

この大原則を念頭に置くことで、すべての経費計画の立て方が変わってきます。ホームページ制作費や広告費を申請する際には、常に「なぜ、このウェブ施策が、移住体験ツアーの成功(=移住・定住の促進)に必要不可欠なのですか?」という審査員の問いに、明確かつ論理的に答えられるように準備しておく必要があります。ウェブ戦略は、ツアーという主役を輝かせるための「名脇役」として位置づける。この視点が、採択を勝ち取るための最初の、そして最も重要な一歩となります。

2. 【最重要】補助対象経費の徹底解説:ホームページ制作・ウェブ広告は対象か?

事業者様が最も知りたい「何に使えるのか」という核心部分について、応募要領の「(2)補助対象経費」の表を基に、ウェブ活用というレンズを通して深掘りしていきます。

結論から言うと、ウェブ広告費は明確に補助対象であり、ホームページ制作費も「ツアー集客のための宣伝活動の一環」として位置づけることで、対象となる可能性があります。

根拠条文(応募要領 (2)補助対象経費)

表に記載された経費のうち、ウェブ活用に直接関連する項目は以下の通りです。

ウェブ広告(オンライン広告)に関連する経費区分

  • ⑥ 宣伝費
    • 対象経費の例示:新聞・雑誌・ネット広告等に要する経費
    • 【解説】:これ以上ないほど明確な根拠です。「ネット広告」と直接的に明記されているため、Google広告(リスティング広告)、FacebookやInstagramなどのSNS広告、地域情報サイトへのバナー広告など、インターネット上で展開するあらゆる広告の出稿費用が補助対象となります。
    • また、これらの広告を効果的に運用するために外部の専門家(広告代理店やフリーランス)に支払う「広告運用代行手数料」も、ネット広告を実施する上で一体不可分の経費として「宣伝費」に含まれると解釈するのが妥当です。申請時には、広告出稿費と運用代行手数料を分けて、その内訳を明確に記載すると良いでしょう。

ホームページ制作・リニューアルに関連する経費区分

応募要領の表には「ホームページ作成費」という直接的な文言はありません。しかし、だからといって諦めるのは早計です。以下の項目を組み合わせ、論理的に説明することで、対象経費として認められる可能性があります。

  • ③ 印刷費
    • 対象経費の例示:ツアー参加者募集にかかるポスター、チラシの作成経費
    • 【解説】:この項目が重要なヒントになります。ポスターやチラシの目的は何か?それは「ツアーの魅力を伝え、参加者を募集する」ことです。現代において、ホームページや特設のランディングページ(LP)が果たす役割は、まさにこのデジタル版と言えます。
    • したがって、「本ツアーの参加者を募集するために不可欠な、ツアー内容、日程、魅力を詳細に伝えるための専用ランディングページ(LP)の制作費」「既存のホームページ内に、新たに本ツアーの募集ページを追加・改修するための費用」は、「印刷費」の趣旨(=参加者募集のための媒体作成費)に合致すると主張できます。
  • ⑥ 宣伝費
    • 対象経費の例示:新聞・雑誌・ネット広告等に要する経費
    • 【解説】:ウェブ広告を出稿する際、その広告のクリック先となる受け皿ページ(LPやホームページ)がなければ広告は機能しません。つまり、広告とウェブページは一体です。この観点から、「ネット広告の効果を最大化するために必要な受け皿となるウェブページ(LP)の制作は、宣伝費の一部である」という論理構成も可能です。
  • ⑧ その他特に県民局長が必要と認めるもの
    • 【解説】:これは最終手段とも言える項目ですが、説得力のある理由があれば可能性は拓けます。例えば、「移住希望者は、申し込む前に事業者の信頼性や過去の実績を詳細に確認する傾向が強く、信頼性の担保となる公式ホームページの整備なくしてツアーの参加者募集は極めて困難である。よって、本ツアー事業を成功させる上で、ホームページのリニューアルは不可欠な経費である」といった具体的な説明を用意することで、審査員にその必要性を訴えかけることができます。

【まとめ】補助対象となる可能性のあるウェブ関連費用リスト

  • 【対象確実】ネット広告出稿費:Google、Yahoo!、SNS(Facebook, Instagram, X等)、地域メディアへの広告掲載料。
  • 【対象確実】広告運用代行手数料:広告代理店等への支払い。
  • 【対象の可能性大】ツアー募集用ランディングページ(LP)制作費:「印刷費」または「宣伝費」の延長として。
  • 【対象の可能性大】既存ホームページへのツアー募集ページ追加・改修費:同上。
  • 【要相談・要説明】新規ホームページ制作・全体リニューアル費:事業の主目的がツアー集客であり、そのためにサイト全体のリニューアルが不可欠であることを具体的に証明する必要がある。「その他特に県民局長が必要と認めるもの」としての申請を視野に入れる。

重要な注意点:消費税
応募要領(2)の末尾には「※消費税納税義務者の場合は、…仕入れに係る消費税等相当額があれば、これを補助対象外経費として申請してください」とあります。これは、課税事業者の場合、支払った消費税は後で国に申告する際に仕入税額控除の対象となるため、補助の対象にはしない、という趣旨です。したがって、申請する経費はすべて税抜価格で計算する必要があります。

3. 【要注意】補助対象とならない経費の罠

補助金の活用を失敗させないためには、「対象外」の経費を正確に把握しておくことが極めて重要です。応募要領(2)の下部にある「補助対象とならない経費の例示」を、ウェブ活用の観点から読み解きます。

  • ① 謝金・旅費
    • 例示:補助対象者の構成員への謝金・旅費、ツアー実施時のガイド・講師・通訳への謝金等
    • 【解説】:自社の役員や従業員(構成員)に支払う謝礼は対象外です。また、ツアーのガイド等への謝礼も対象外と明記されています。ウェブ制作に関して言えば、代表者や従業員が自らウェブサイトを制作・更新した場合、その作業に対する人件費(謝金)を計上することはできません。
  • ④ 委託料
    • 例示:活動の大半を占める専門業者に対する業務委託代金等
    • 【解説】:これは非常に重要な制限です。本事業は、あくまで事業者が主体的に行うツアーを支援するものです。ツアーの企画から運営まで、ほぼ全てを旅行代理店などに「丸投げ」するような場合は対象外となります。ウェブ活用においても、例えば「ツアー事業の実態がほとんどなく、ウェブサイト制作と広告運用だけを業者に委託する」といった計画は、「活動の大半を占める業務委託」と見なされ、否決されるリスクが非常に高いでしょう。あくまで、自社が主体となって行うツアーがあり、その集客という一部分を強化するためにウェブ制作や広告運用を外部業者に委託する、という立て付けが必須です。
  • ⑥ 備品購入費
    • 例示:恒常的な事務事業の執行・管理等に用いるもの等
    • 【解説】:事業運営のために日常的に使用するパソコン、カメラ、プリンターなどの備品購入は対象外です。ウェブサイトについても、「会社の公式サイト」として恒常的に利用する側面が強いと判断された場合、この規定に抵触する可能性があります。そのため、新規制作や大規模リニューアルを申請する際は、その目的が「会社の紹介」ではなく、あくまで「今回限りの、または本事業期間内のツアー集客」という特定の目的のためであることを強調する必要があります。汎用性の高いものではなく、特定の事業目的のための経費であることを明確にしましょう。
  • ⑧ 補助金交付決定以前に発注した経費
    • 【解説】フライングは絶対にいけません。 補助金が採択されることを見越して、交付決定通知を受け取る前にウェブ制作会社と契約したり、広告を発注したりした場合、その経費は全て補助対象外となります。必ず、県民局からの「交付決定通知書」が手元に届いてから、発注・契約を行ってください。
  • ⑨ 恒常的な運営費など関係のない経費
    • 例示:人件費、施設賃借料などの経常経費
    • 【解説】:ウェブサイトのサーバー代やドメイン維持費といった、毎年発生するようなランニングコスト(経常経費)は対象外です。対象となるのは、あくまで制作や広告出稿といった、初期投資(イニシャルコスト)的な性質の経費です。

4. 申請資格と事業条件の全貌:誰が、何をすれば対象か?

補助金を得るためには、事業者と事業内容の両方が、定められた条件をクリアしている必要があります。

補助対象者(応募要領 2)

  • 対象となる者
    • 丹波地域(丹波篠山市、丹波市)に本店または活動拠点を有する、中小企業、中小企業団体、小規模事業者、個人事業主等
    • 地域団体や農業従事者も含まれる、比較的間口の広い設定です。
  • 対象とならない者(除外要件)
    • 政治、宗教、選挙活動を目的とする者。
    • 反社会的活動や公序良俗に反する活動を行う者。
    • その他、事業の趣旨に適合しないと認められる者。

補助対象事業(応募要領 3)

こちらが最も重要な要件です。企画するツアーは、以下の全ての要件に該当する必要があります。

  1. 【体験・体感要件】先輩移住者や地元住民との交流会、古民家見学など、ツアー参加者が丹波地域での移住後の暮らしを具体的に体験・体感できるツアーであること。
  2. 【広域要件】丹波篠山市、丹波市にまたがるツアーであること。(ただし、どちらか一市での実施も可)
  3. 【日程要件】日帰りまたは一泊二日のツアーであること。

ウェブ戦略との関連性
ホームページ制作やウェブ広告の計画は、必ずこの「体験・体感ツアー」という本体事業に紐づいていなければなりません。 申請書の「事業計画書」では、まず、この3要件を満たした魅力的なツアーの企画を詳細に記述し、その上で、「この素晴らしいツアーに、より多くの移住希望者を呼び込むために、このようなウェブ戦略(HP制作、ネット広告)が必要なのです」という論理展開で説明する必要があります。ウェブサイトを作ること自体が目的の事業は、100%採択されません。

5. 補助金額と期間:いくら、いつまで支援を受けられるか

支援の具体的な規模と期間を把握し、現実的な資金計画を立てましょう。

支援内容(応募要領 6)

  • 補助率:補助対象経費の2分の1以内
  • 補助上限額
    • 日帰りツアー:8万円
    • 一泊二日ツアー:16万円
  • 端数処理:算出された補助額の千円未満は切り捨て。

事業の実施期間(応募要領 5)

  • 期間交付決定の日から令和8年3月31日(金)まで。
  • 注意点:この期間内に、契約・実施・支払いの全てを完了させる必要があります。

【具体例でシミュレーション】

あなたの会社が、ウェブを活用したツアー集客のために以下の投資を計画したとします(全て税抜価格)。

  • 計画A:日帰りツアー + ネット広告
    • 企画するツアー:日帰り
    • 計画経費:SNS広告の出稿費用として20万円
    • 補助対象経費:20万円
    • 計算上の補助額:20万円 × 1/2 = 10万円
    • 適用される上限額:日帰りツアーなので8万円
    • 最終的な補助金額:8万円(自己負担:12万円)
  • 計画B:一泊二日ツアー + LP制作 + ネット広告
    • 企画するツアー:一泊二日
    • 計画経費:
      • ツアー募集用LP制作費:15万円
      • Google広告出稿費:25万円
      • 合計:40万円
    • 補助対象経費:40万円
    • 計算上の補助額:40万円 × 1/2 = 20万円
    • 適用される上限額:一泊二日ツアーなので16万円
    • 最終的な補助金額:16万円(自己負担:24万円)

戦略的な示唆
この補助金の上限額(8万円/16万円)は、大規模なウェブサイトのフルリニューアル(一般的に50万~100万円以上)を全額カバーするには不十分かもしれません。しかし、ターゲットを絞った効果的なランディングページ(10万~30万円程度)の制作や、数ヶ月間の集中的なネット広告の出稿には非常に有効な金額です。「選択と集中」の発想で、最も費用対効果の高いウェブ施策に投資する、という賢い使い方が求められます。

6. 申請から交付までの完全ロードマップ

ここでは、実際に補助金を申請し、受け取るまでの流れを、事業者の具体的なアクションとして時系列で解説します。

【Step 1】応募(申請)

すべての始まりは、期間内に完璧な申請書類を提出することです。

  • 募集期間(応募要領 7)令和7年4月21日(月)~ 令和8年1月30日(金)
  • 【重要】「※予算に達し次第募集を終了します。」と明記されています。これは早い者勝ちであることを意味します。年度末に駆け込むのではなく、事業計画が固まり次第、速やかに申請することが採択の可能性を高めます。
  • 提出書類(応募要領 14(2))
    1. 補助金交付申請書(様式第1号)
    2. 収支予算書(別記):ウェブ制作費や広告費の内訳を具体的に記載。
    3. 誓約書(様式第1号の2):反社会的勢力でないこと等を誓約。
    4. 事業計画書(別紙様式1)【最重要書類】 企画するツアーの魅力や具体的内容、そしてそのツアーを成功させるために、なぜウェブ制作や広告が必要なのか、その費用対効果の見込み(想定参加者数など)を熱意と論理をもって記述します。
    5. 見積書等(写し):ウェブ制作会社や広告代理店から取得した見積書のコピーを必ず添付します。これが経費の妥当性を証明する客観的な証拠となります。
    6. その他参考となる書類(会社のパンフレットなど)
  • 提出方法(応募要領 14(3)):持参、郵送、電子メール

【Step 2】審査と採択決定

提出された書類は、県民局によって審査されます。

  • 審査期間(応募要領 8):申請書類の到達から15日以内(休日等を除く)に審査。
  • 審査の主な事項
    • (1) プログラムの内容(多くの参加者を集めることができる内容か。)
    • (2) 移住・定住への貢献性(移住・定住を促進することに効果的なツアーであるか。)
    • ウェブ戦略は、特に(1)の「集客力」に直接貢献する要素として、重点的にアピールすべきです。

【Step 3】交付決定と事業開始

審査を通過すると「交付決定通知書」が届き、正式に事業をスタートできます。

  • 事業着手交付決定通知書の日付以降に、ウェブ制作会社への発注や広告の出稿を開始します。これ以前の発注・契約は補助対象外です。
  • 事業実施:交付決定の日から令和8年3月31日までの間に、ツアーの実施、ウェブサイトの納品、広告の出稿、そして全ての支払いを完了させます。

【Step 4】実績報告

事業が完了したら、その成果と経費の詳細を報告します。これが補助金額を確定させるための最終関門です。

  • 提出時期(応募要領 10):補助事業が完了した日から30日以内、または令和8年4月10日(金)のいずれか早い日まで。
  • 提出書類:実績報告書、収支決算書、そして最も重要なのが証拠書類です。
  • ウェブ関連の証拠書類の例
    • 契約・発注:ウェブ制作会社との契約書、発注書
    • 納品・完了:納品書、検収書、完成したホームページやLPのURL及びスクリーンショット、広告管理画面のパフォーマンスレポート(表示回数、クリック数、申込数など)
    • 支払:業者からの請求書、銀行の振込明細書(または領収書)

【Step 5】補助金の支払い(精算払い)

実績報告書の内容が精査され、問題がなければ補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。

  • 精算払い(応募要領 11):原則として、事業完了後の後払いです。
  • 概算払い(前払い)の可能性:ただし、事業の実施に必要と認められる場合は、請求に基づいて補助金の1/2を限度に概算払い(前払い)を受けられる可能性があります。資金繰りに不安がある場合は、申請時に県民局に相談してみましょう。

7. 採択後の義務とペナルティ:ルール厳守のお約束

補助金の交付は、事業者と県との間の「契約」です。交付決定後には、以下の義務が生じ、違反した場合には厳しいペナルティが科されます。

補助事業者の義務(応募要領 13)

  1. 進捗報告義務:県が進捗状況の報告を求めた場合、速やかに報告する必要があります。
  2. 計画変更時の協議義務:交付決定を受けた申請内容(事業内容や経費配分)に変更が生じる場合は、自己判断で進めず、速やかに県民局に協議しなければなりません。場合によっては変更交付申請という正式な手続きが必要です。
  3. 経理の明確化と書類保管義務:補助事業にかかる収入と支出を明確にした帳簿を備え、その証拠書類(請求書、領収書など)を整理し、事業が完了した年度の翌年度から5年間、保管しなければなりません。

交付決定の取消及び補助金の返還(応募要領 12)

以下の事項に該当した場合、交付決定が取り消され、既に受け取った補助金は返還しなければなりません。

  • 要綱の規定に違反したとき。
  • 補助金を補助対象事業以外の用途に使用したとき。
  • 交付決定の内容や条件に違反したとき。
  • 偽りその他不正な手段により補助金の交付を受けたとき。

さらに、返還が遅れた場合は遅延利息金、悪質な場合は加算金の納付が求められることもあり、事業にとって大きな打撃となりかねません。誠実な事業遂行が絶対条件です。

8. 他の補助金との併用について

複数の補助金を活用して事業資金を確保したいと考えるのは自然なことです。しかし、本事業においては、その点に非常に重要な制限があります。

補助対象外事業(応募要領 4)

(5) 県又は県の外部団体から他の助成金を受けている事業

この一文は、「同一のツアー事業に対して、兵庫県やその関連団体が実施する他の補助金・助成金を重複して受けることはできません」という意味です。これは、単なる経費の按分(あんぶん)ではなく、事業そのものが対象外となる、より厳しいルールです。

例えば、企画した移住体験ツアーに対して、兵庫県の別の課が所管する「A助成金」を既に受けている場合、本事業に申請すること自体ができません。

国の補助金(例えば、小規模事業者持続化補助金など)との併用については、この規定だけでは明確ではありません。しかし、「一つの事業に複数の公的資金が投入される」ことを避けるという趣旨から、原則として難しい可能性があります。複数の補助金活用を検討している場合は、申請前に必ず県民局の担当者に電話で確認し、明確な回答を得ておくことが不可欠です。

9. 補助金活用を成功させるための鉄則

最後に、この「移住・定住促進支援事業」を最大限に活用し、ツアーを成功に導くための実践的な鉄則をまとめます。

  1. 【主役はツアー】ウェブは名脇役と心得るべし
    申請の全ての土台は、移住希望者にとって魅力的で、リアルな暮らしが「体験・体感」できるツアー企画そのものです。ウェブサイト制作や広告の話は、その素晴らしいツアーという主役を、いかにして輝かせ、多くの観客(参加者)に届けるか、という「プロモーション計画」として語ってください。ウェブが目的化した申請書は必ず見抜かれます。
  2. 【集客を科学する】広告・宣伝効果を具体的に示せ
    本補助金は「宣伝費」「ネット広告費」が明確な対象です。これは「集客への投資を支援します」という県からのメッセージです。その期待に応えるため、「なぜそのSNS広告なのか?(ターゲット層が多いため)」「どのようなキーワードで広告を出すのか?(移住に関心のある層にリーチするため)」「広告費に対して何人の参加を見込むのか?」といった、具体的で説得力のある集客戦略を事業計画書で示しましょう。
  3. 【上限を意識した賢い投資】選択と集中で効果を最大化せよ
    補助上限額は日帰りで8万円、一泊二日で16万円です。この予算内で最大の効果を出すには「選択と集中」が鍵となります。高額なフルリニューアルよりも、ツアーの魅力と申込フォームに特化した「ランディングページ(LP)制作」と、残りの予算を集中投下する「ネット広告」の組み合わせが、極めて費用対効果の高い戦略となるでしょう。
  4. 【証拠こそすべて】ウェブの成果を可視化せよ
    事業完了後の実績報告では、客観的な成果を示すことが求められます。ウェブ活用は、その成果を数値で示しやすいのが最大の利点です。「広告によって〇〇人に情報が届き(表示回数)、〇〇人が興味を持ち(クリック数)、ウェブサイト経由で〇〇人の申し込みがあった」という具体的なデータをレポートとして提出できれば、これ以上ない説得力のある実績報告となります。実施段階から、これらの数値を記録する準備をしておきましょう。
  5. 【早い者勝ち】予算終了の時限爆弾を意識せよ
    「予算に達し次第募集を終了します」の一文を軽視してはいけません。特に年度の後半になると、予算が尽きて申請自体が不可能になるリスクが高まります。ツアーの企画が固まり、協力してくれるウェブ制作会社等の見積もりが取れたら、一日でも早く申請手続きに着手する。このスピード感が、チャンスを掴むか逃すかの分かれ目になります。

この補助金は、丹波地域への移住促進という社会的な意義を持つ事業に、情熱を持って取り組む事業者にとって、またとない追い風です。本ガイドが、皆様のウェブ戦略を具体化し、素晴らしい移住体験ツアーを実現するための一助となれば幸いです。

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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。