もくじ
はじめに
千年の都、京都。その奥深く、世界に誇る食文化は、若狭湾から運ばれるぐじ(甘鯛)や、夏の風物詩である鱧(はも)に代表される、上質で新鮮な魚介類なくしては成り立ちません。皆様は、夜明け前のまだ暗い京都市中央卸売市場で、厳しい目利きによって最高の魚を選び抜き、京都の食を支える料理人たちへ、そして人々の食卓へと届ける、まさにその食文化の根幹を担う重要な存在です。長年にわたり培ってこられた鑑識眼、丁寧な手仕事、そしてお得意様との間に築かれた固い信頼関係。それらが事業の揺るぎない礎であることは、論を俟ちません。
しかし、時代の潮流は、伝統が息づくこの業界にも大きな変化をもたらしています。後継者の不足、食に対する価値観の多様化、インターネットを介した情報収集の日常化、そして新しい生活様式による購買行動の変容。これまで盤石であった商いの形だけでは、これからの成長を描くことが難しくなってきている、と感じることはございませんか。「うちは昔からの馴染みの客がいるから大丈夫」「インターネットは複雑でよく分からない」そのように思われるお気持ちも、痛いほど理解できます。
ですが、もし、皆様が守り続けてきたその伝統と誇り、そして仕事への情熱を、もっと多くの人々へ、より深く、より魅力的に伝えられるとしたら。もし、これまで想像もしなかった新たな顧客との縁が生まれるとしたら。それを可能にする極めて強力な手段が、「ストーリーテリング」を組み込んだ戦略的な「ホームページ」の活用です。
現代におけるホームページは、もはや単なる電子版の会社案内ではありません。24時間365日、皆様の会社の物語を世界中に語り続け、新たなビジネスチャンスを引き寄せる強力な磁石となり得るのです。本稿では、京都という特別な場所で生鮮魚介卸売業を営む皆様が、自社のホームページに「物語の力」をどのように吹き込み、それを事業の成長に繋げていくのか、具体的かつ実践的な視点から、余すところなく解説してまいります。未来に向けた確かな一歩を踏み出す、そのための羅針盤となれば幸いです。
なぜ今、京都の生鮮魚介卸売業にストーリーテリングが必要なのか?
現代のビジネス環境において、「良いものを作れば売れる」という時代は終わりを告げました。それは、長い歴史と伝統を誇る京都の生鮮魚介卸売業界においても例外ではありません。ここでは、なぜ今、単なる情報発信を超えた「ストーリーテリング」が皆様のビジネスにとって不可欠な武器となるのか、その理由を3つの側面から深く掘り下げていきます。
価格競争からの脱却と「選ばれる理由」の創出
日々、市場で繰り広げられる価格競争。同じ魚種であれば、少しでも安い方が選ばれやすいという現実は、皆様が最も肌で感じておられることでしょう。しかし、本当にそうでしょうか。京都の食文化を支える一流の料理人たちは、単に価格だけで仕入れ先を決めているわけではありません。彼らが求めるのは、その魚が持つ最高のポテンシャルであり、それを引き出すための卸売業者の知識、経験、そして情熱です。ストーリーテリングは、この目に見えない価値を可視化し、価格以外の強力な「選ばれる理由」を創造します。
例えば、ホームページ上で「なぜ、うちのぐじは日本一だと自負するのか」という物語を語るとします。そこには、若狭の特定の漁師との長年にわたる信頼関係、水揚げ後の鮮度を保つための独自の工夫、京都の湿度や気温まで考慮した熟成方法、そしてそのぐじを最も活かしてくれるであろう料理人の顔を思い浮かべながら仕入れる、といった一連のこだわりが存在するはずです。こうした背景にある物語を知った料理人や消費者は、単なる「ぐじ」としてではなく、「〇〇(会社名)が選び抜いた特別なぐじ」として認識するようになります。この認識の変化こそが付加価値であり、価格競争の土俵から一歩抜け出すための大きな力となるのです。ストーリーは、品質への絶対的な自信を裏付け、顧客の心に深い共感と信頼を刻み込むための、最も効果的なコミュニケーション手法と言えるでしょう。
伝統と信頼を次世代へつなぐ技術継承の物語
生鮮魚介卸売業が直面する深刻な課題の一つに、後継者不足と人材確保の難しさが挙げられます。早朝からの厳しい労働環境、専門的な知識や経験が求められる職人の世界。その仕事の厳しさだけがクローズアップされがちで、本来そこにあるはずの誇りややりがい、そして社会的な意義が、若い世代に十分に伝わっていないのが現状ではないでしょうか。ここでストーリーテリングが大きな役割を果たします。皆様の仕事は、単に魚を右から左へ流す作業ではありません。日本の、そして京都の食文化という大きな川の流れを、滞らせることなく未来へと繋いでいく、尊い使命を担っています。
その使命感を、具体的な物語として発信していくのです。例えば、創業者から受け継がれてきた「のれん」に込められた想い、親方から若手へと受け継がれる「目利き」の技術、競りの現場での息を飲むような真剣勝負、お客様である料理人から「いつも良い魚をありがとう」と感謝される瞬間の喜び。こうした日々の仕事の中に埋もれているドラマチックな瞬間を切り取り、写真や動画、そして熱意のこもった文章でホームページ上に描き出します。それは、求職者にとって、どんな求人情報誌の言葉よりも力強く、魅力的に響くはずです。仕事の厳しさの先にある感動や達成感を伝えることで、「この会社で働いてみたい」「この人たちと一緒に京都の食を支えたい」という情熱を持った人材を引き寄せることができるのです。ストーリーテリングは、事業継承と人材確保という経営の根幹に関わる課題に対する、極めて有効な解決策となり得ます。
新たな販路を切り拓くための共感の獲得
これまで皆様のビジネスは、京都を中心とした料亭、割烹、寿司店、ホテル、あるいは地域の鮮魚店といった、特定の顧客との信頼関係の上に成り立ってきたことでしょう。それは皆様の大きな財産であり、これからも大切にすべきものです。しかし、企業の持続的な成長を考えた時、新たな販路を積極的に切り拓いていく視点もまた不可欠です。例えば、これまで取引のなかった首都圏の高級レストラン、海外からの引き合い、あるいは高品質な食材を求める一般の富裕層など、潜在的な顧客は日本全国、そして世界中に存在します。
こうした新しい顧客層にアプローチする際、最も大きな障壁となるのが「認知度」と「信頼性」です。遠く離れた相手に、自社の品質やこだわりをどうやって伝え、信頼してもらえばよいのでしょうか。そこで有効なのが、共感を呼ぶストーリーです。例えば、自社のホームページに、ある一匹の魚が漁師の手を離れてから、自社の目利きを経て、最終的に京都の一流料亭で美しい一皿に昇華されるまでを追ったドキュメンタリー風のコンテンツを掲載したとします。
その物語を通じて、潜在顧客は皆様の仕事の丁寧さ、食への真摯な姿勢、そして京都の食文化における立ち位置を深く理解することができます。地理的な距離を超えて、感情的な繋がりを構築することができるのです。これは、単に「新鮮な魚、あります」という広告を打つこととは、全く異なる次元のアプローチです。共感は信頼を生み、信頼は取引へと繋がります。ストーリーテリングは、皆様のビジネスの可能性を、京都という地域を超えて大きく広げるための翼となるのです。
古都京都の市場特性を活かすホームページストーリーテリング術
京都の生鮮魚介卸売業の皆様が語るべき物語は、日本全国どこにでもあるような一般論であってはなりません。そこには、千年以上にわたって育まれてきた京都ならではの食文化、市場の特殊性、そして人々の気質が色濃く反映されているべきです。ここでは、京都という土地の特性を最大限に活かした、他では真似のできないホームページストーリーテリングの具体的な切り口を提案します。
買参人・仲卸としての「目利き」を物語る
京都の料理人が卸に求める魚介の質は、日本でも随一の厳しさと言われます。その厳しい要求に応え続ける皆様の「目利き」こそが、最大の資産であり、最も語るべき物語の源泉です。ホームページでは、その鑑識眼がいかにして養われ、日々どのように実践されているのかを具体的に描写しましょう。例えば、早朝の京都市中央卸売市場。全国から集まる魚介類の中から、なぜその一匹を選んだのか。その判断基準を言語化するのです。
「このぐじは、釣り上げられた船、漁師の名前まで確認しています。若狭の〇〇さんの船は、いつも処理が丁寧で、魚への愛情が感じられる。だから、身の張り、艶が違うんです」。あるいは、「今日の鱧は、骨切りをした後の身の開き具合まで想像して選んでいます。祇園のあの大将なら、この鱧の繊細な旨味を最大限に引き出してくれるはずだ、と」。こうした具体的なエピソードは、単なる商品説明を遥かに超えた説得力を持ちます。
また、舞鶴港や明石港など、特定の港との繋がりや、神経締め、活け越しといった専門的な技術へのこだわりを写真や動画付きで詳細に解説することも有効です。それは、皆様が単なる仲介業者ではなく、魚の価値を最大限に高めるプロフェッショナルであることを証明する、何よりの証拠となります。この「目利き」の物語は、プロの料理人からの更なる信頼を獲得すると同時に、本物を求める一般消費者に対しても強い訴求力を持つでしょう。
料理人との絆が織りなす「京の食」への貢献
京都の生鮮魚介卸売業は、単独で存在しているのではありません。京都の食文化を共に創造するパートナーである、料理人との固い絆の上に成り立っています。この関係性こそ、他にはない感動的なストーリーを生み出す宝庫です。皆様のホームページは、その絆を語るための舞台となります。例えば、ある老舗料亭の若旦那が、先代から受け継いだ味を守りつつ、新しい料理に挑戦しようと悩んでいたとします。
そんな時、皆様が「こんな面白い魚が入りました。これなら新しい一品が生まれるかもしれません」と、特別な魚を提案する。その魚をきっかけに試行錯誤が始まり、やがて店の新しい名物料理が誕生する。こうした実話を、料理人へのインタビューを交えながらコンテンツ化するのです。
それは、単なる納入業者と顧客という関係を超えた、食文化の創造者としての共犯関係の物語です。ホームページ上で、取引先の料理人たちを「パートナー」として紹介し、彼らの店や料理、そして皆様の魚がどのように使われているかを美しい写真と共に掲載することも素晴らしい試みでしょう。
こうしたコンテンツは、皆様の会社が京都の食業界において、いかに重要な役割を果たし、深く信頼されているかを雄弁に物語ります。それは既存の取引先との関係をより強固なものにし、同時に、皆様との取引を望む新しい料理人たちへの強力なアピールとなります。「この卸は、ただ魚を売るだけじゃない。一緒に店の未来を考えてくれる存在だ」。そう感じさせることができれば、ビジネスは新たなステージへと進むはずです。
季節の移ろいと旬の魚で描く、歳時記のようなコンテンツ
京都の文化は、季節の繊細な移ろいと深く結びついています。春の若狭かれい、夏の鱧、秋のぐじ、冬のずわいがに。季節の到来を告げる旬の魚介類は、京料理の主役であり、人々の暮らしに彩りを添えてきました。この「季節感」をホームページの中心に据え、まるで美しい歳時記をめくるかのような体験を訪問者に提供するのです。単に「夏の旬は鱧です」と紹介するだけでは不十分です。
例えば、「水無月(6月)- 走り鱧と祇園祭」といったテーマで特集ページを組んでみましょう。なぜ祇園祭の時期に鱧が珍重されるのか、その歴史的背景から説き起こし、活きの良い鱧の見分け方、骨切りの神業、そして家庭でも楽しめる簡単なレシピまでを紹介します。そこには、市場での活気あふれる鱧の競りの様子や、職人が真剣な表情で骨切りに臨む動画などを盛り込みます。
さらに、二十四節七十二候と絡め、「夏至(げし)- 乃東枯(なつかれくさかるる)」の候には、この時期に最も脂が乗る〇〇鯵(あじ)を取り上げる、といった具合に、細やかな季節の変化を魚介の物語として紡いでいくのです。このようなコンテンツは、定期的に更新することでリピーターを増やし、ホームページを活性化させる効果があります。訪問者は、皆様のホームページを訪れるたびに、京都の季節の深まりを感じ、日本の食文化の豊かさを再認識することでしょう。それは、皆様が単なる魚屋ではなく、季節を告げ、文化を伝える語り部であることを示す、非常に格調高いブランディング手法となるのです。
心を動かす具体的なストーリーコンテンツ制作手法
コンセプトや戦略が固まったら、次はいよいよ具体的なコンテンツ制作の段階に入ります。物語を紡ぐといっても、何から手をつけて良いか分からないかもしれません。ここでは、読者の心を掴み、深く記憶に残るストーリーを生み出すための3つの具体的な制作手法について、実例を交えながら解説します。これらの物語は、皆様の会社の「人格」を形成し、他社にはない唯一無二の魅力を形作ります。
創業者から受け継がれる「のれん」の物語
すべての会社には、その始まりの物語があります。特に、何代にもわたって事業を続けてこられた会社であれば、そこには幾多のドラマが眠っているはずです。その歴史を掘り起こし、一編の叙事詩のように語ることは、会社の信頼性と格を飛躍的に高めます。まずは、創業者がどんな想いでこの事業を立ち上げたのかを調べてみましょう。戦後の混乱期、何もないところから、人々の食を支えたいという一心でリヤカー一台から始めたのかもしれません。あるいは、別の仕事をしていた創業者が、ある魚の味に感動し、この美味を世に広めたいと一念発起したのかもしれません。
その創業の精神は、会社の屋号やロゴマークにも込められていることが多いものです。「なぜ、この屋号なのか?」「このマークには、どんな意味が込められているのか?」その由来を紐解くだけで、感動的なストーリーが見つかることがあります。また、会社の歴史における大きな転機、例えば、市場の移転、オイルショックのような経済危機、あるいは先代が下した大きな決断など、困難を乗り越えてきたエピソードは、会社の強さと哲学を雄弁に物語ります。
これらの物語を、古い写真や資料と共に「会社の歴史」や「創業者の想い」といったページで丁寧に紹介しましょう。それは、単なる沿革の紹介ではありません。会社のDNA、つまり「のれん」の重みを伝え、顧客や取引先、そして未来の従業員に対して、揺るぎない信頼感を醸成するための、最も基本的な、そして最も力強いストーリーテリングなのです。
従業員一人ひとりの情熱を伝える「職人たちの肖像」
会社という組織は、人で成り立っています。特に、生鮮魚介卸売業のような専門性の高い仕事は、そこで働く一人ひとりの職人の技術と情熱によって支えられています。社長や経営者だけでなく、現場で働く従業員一人ひとりにスポットライトを当てることで、会社に血の通った温かみと、多角的な魅力が生まれます。ぜひ、「職人たちの肖像」や「私たちの仲間」といったコーナーをホームページに設けてみてください。
そこでは、様々な立場の従業員を紹介します。例えば、道一筋40年のベテラン競り人。彼の仕事へのこだわり、長年の経験で培われた相場の読み、そして若手への想いをインタビュー形式で語ってもらいます。あるいは、毎朝、京都市内の料亭へ魚を配達する配送担当の若手社員。彼が日々、料理人たちと交わす会話、道中の苦労、そして「ありがとう」の一言に感じるやりがいなどを、生き生きとした文章で綴ります。さらには、電話応対や伝票整理を担当する事務の女性スタッフ。彼女が縁の下の力持ちとして、いかに現場を支え、顧客との円滑なコミュニケーションを保っているかを描き出すことも重要です。
それぞれの従業員の顔写真と共に、仕事で愛用している道具(例えば、使い込まれた包丁や手鉤)の写真なども掲載すると、よりリアリティが増します。こうしたコンテンツは、会社が従業員を大切にしている証であり、チームワークの良さを外部に伝えます。それは、顧客にとっては「この会社なら、安心して任せられる」という信頼感に繋がり、求職者にとっては「この人たちと一緒に働きたい」という強い動機付けになるのです。
魚一匹一匹の背景を語る「一魚一会(いちぎょいちえ)のストーリー」
皆様が扱う魚は、単なる商品ではありません。一匹一匹が、広大な海で生命を育み、漁師の手によって水揚げされ、数奇な運命をたどって市場にやってきた、かけがえのない存在です。その一匹の魚の背景にある物語を丁寧に描くことで、消費者はその価値を深く理解し、感謝の念と共に味わうようになります。これを「一魚一会(いちぎょいちえ)のストーリー」と名付け、ブログや特集記事の形で発信していくことをお勧めします。
例えば、ある日、非常に珍しい高級魚「あこう(きじはた)」が市場に入荷したとします。そのあこうが、どこの海で、どんな漁法で獲られたのか。それを獲った漁師は、どんな人物なのか。そして、皆様がそのあこうを競り落とした時の興奮や、どんな料理人に使ってもらいたいと考えたのか。最終的に、そのあこうが京都の名店で、どんな素晴らしい一皿に変身したのか。その一連の流れを、まるでドキュメンタリー映画のように追いかけて物語にするのです。可能であれば、漁師や料理人にも協力してもらい、それぞれの立場からのコメントをもらうと、物語はさらに深みを増します。
この手法は、高級魚だけでなく、日常的に扱う鯵や鰯といった大衆魚にも応用できます。「今日仕入れたこの鰯は、〇〇沖で獲れたもので、丸々と太って脂の乗りが最高です。今夜、生姜醤油で食べたら、きっと家族みんなが笑顔になりますよ」。こうした語りかけは、スーパーマーケットの棚に並ぶ無数の魚との、決定的な差別化を生み出します。魚一匹一匹に物語を与えること。それは、命をいただくことへの感謝を思い起こさせ、食という行為そのものを、より豊かで意味のあるものへと昇華させる、究極のストーリーテリングと言えるでしょう。
物語を届け、成果に繋げるホームページ設計とウェブマーケティング
どれだけ素晴らしい物語を紡いでも、それがターゲットとする相手に届かなければ意味がありません。また、ホームページは美しさや感動を与えるだけでなく、問い合わせや取引といった具体的な「成果」に繋がらなければ、ビジネスツールとしての役割を果たしているとは言えません。ここでは、皆様が作り上げた物語を効果的に届け、事業の成長へと結びつけるための、ホームページの具体的な設計思想とウェブマーケティングの手法について解説します。
スマートフォンで魅せる、動画と写真の活用法
現代において、人々がインターネットを閲覧するデバイスは、パソコンからスマートフォンへと完全に移行しました。皆様のホームページを訪れる料理人や一般消費者も、その多くが移動中や休憩時間といった隙間時間に、手元のスマートフォンで情報収集をしています。したがって、ホームページは「スマートフォンで見た時に、最も美しく、最も分かりやすい」という「モバイルファースト」の考え方で設計することが絶対条件です。小さな画面では、長い文章をじっくり読むのは苦痛です。そこで重要になるのが、直感的に内容を伝え、心を動かすことができる「動画」と「写真」の活用です。
例えば、トップページには、会社のこだわりや仕事の情熱が1分程度で伝わるような、イメージ動画を配置するのが効果的です。夜明け前の市場の活気、真剣な眼差しで魚を選ぶ職人の表情、活きの良い魚が捌かれる様などを、テンポの良い音楽に乗せて見せることで、訪問者は一瞬で皆様の仕事の世界観に引き込まれます。また、各ページに挿入する写真も極めて重要です。プロのカメラマンに依頼し、シズル感あふれる魚介の写真、職人たちの躍動感ある仕事風景、清潔で整理された作業場の様子などを、高品質な画像で掲載しましょう。スマートフォンの画面は小さいからこそ、一枚一枚の写真の質が、ホームページ全体の印象を大きく左右します。文章で長々と説明するよりも、一枚の感動的な写真、一本の心を揺さぶる動画の方が、遥かに多くのことを伝えられるのです。
ブログやSNSで物語を拡散させる仕組みづくり
ホームページは、一度作って公開すれば終わり、というものではありません。継続的に新しい情報を発信し、育てていくことで、その価値は高まっていきます。そのための最も効果的なツールが、「ブログ(お知らせ)」機能と、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」の連携です。ホームページを「本店」とするならば、ブログは旬の情報を発信する「ショーウィンドウ」、SNSは街角でチラシを配る「呼び込み役」と考えると分かりやすいでしょう。
まず、ホームページ内にブログセクションを設け、「今日のいちおし」「市場こぼれ話」といったテーマで、日々の仕入れ情報や季節の話題を、短い文章と写真で気軽に発信します。例えば、「今日は見事な明石の天然鯛が入荷しました!」「鱧の季節、到来です!」といった新鮮な情報を、週に2〜3回のペースで更新していきます。そして、そのブログ記事を更新したことを、InstagramやFacebookといったSNSで告知するのです。Instagramでは、美しい魚の写真をメインに投稿し、Facebookでは、その背景にある物語を少し詳しく書いて投稿するなど、各SNSの特性に合わせて発信内容を工夫します。
そうすることで、SNSのフォロワーが「面白そうだな」とホームページを訪れ、さらに詳しい情報を読んでくれる、という流れが生まれます。この仕組みは、検索エンジンからの評価(SEO)を高める上でも非常に有効であり、費用をかけずに継続的な集客を実現する、現代のウェブマーケティングの王道と言える手法です。
問い合わせに繋がる、信頼感のある会社情報ページ
物語を通じて皆様の会社に興味を持った潜在顧客が、次に行うアクションは「この会社は信頼できるのか?」という確認です。その際に必ず閲覧されるのが、「会社概要」や「お問い合わせ」といったページです。これらのページが不十分だと、せっかく高まった興味や関心が、最後の最後で失われてしまいかねません。ビジネスの入り口となるこれらのページは、徹底的に分かりやすく、そして信頼感を醸成するように作り込む必要があります。
「会社概要」ページには、社名、住所、電話番号、設立年月日といった基本情報はもちろんのこと、代表者の顔写真と挨拶、経営理念、そして許認可情報(例えば、食品衛生法に基づく営業許可など)を明記します。もし、HACCP(ハサップ)のような高度な衛生管理手法を導入しているのであれば、その取り組みを具体的にアピールすることも、大きな信頼に繋がります。
Googleマップを埋め込み、会社までのアクセスを分かりやすく示すことも重要です。
「お問い合わせ」ページは、可能な限りシンプルで使いやすいフォームにしましょう。入力項目は必要最小限に絞り、「お電話でのお問い合わせ」「メールフォームでのお問い合わせ」など、複数の選択肢を用意することで、相手の都合に合わせた連絡を促すことができます。「お問い合わせ後、2営業日以内に担当者よりご連絡いたします」といった一文を添えるだけでも、相手に安心感を与えることができます。こうした細やかな配慮の積み重ねが、最終的な成果である「問い合わせ」というアクションへと繋がるのです。
まとめ
本稿では、京都という特別な地で生鮮魚介卸売業を営む皆様が、自社のホームページに「ストーリーテリング」という強力な武器を実装するための、具体的な考え方と手法を多角的に解説してまいりました。
もはやホームページは、単なる企業の顔ではありません。それは、皆様が守り続けてきた伝統と誇りを未来へと語り継ぐための「語り部」であり、価格競争という消耗戦から抜け出し、選ばれるための付加価値を創造する「錬金術」であり、そして、新たな顧客との縁を結び、ビジネスの可能性を無限に広げるための「羅針盤」なのです。
創業者の想いを綴る「のれん」の物語。現場で働く一人ひとりの情熱を描く「職人たちの肖像」。そして、一匹一匹の魚の背景を追う「一魚一会のストーリー」。これらの物語は、皆様の会社の目には見えない価値を可視化し、顧客の心に深い共感と揺るぎない信頼を刻み込みます。
さらに、京都ならではの市場の特性、料理人との固い絆、そして季節の移ろいを繊細に映し出すコンテンツは、他社には決して真似のできない、唯一無二の魅力を放つでしょう。
これらの物語を、スマートフォンに最適化された美しい写真や動画と共に発信し、ブログやSNSを通じて拡散させていく。そして、信頼感あふれる会社情報ページで、最後のひと押しをする。この一連の流れを戦略的に構築することではじめて、ホームページは休むことなく働き続ける最高の営業マンとなり、皆様のビジネスを新たな成長軌道へと導きます。
時代の変化をただ待つのではなく、自らの手で未来を切り拓く。そのための第一歩が、自社の物語を見つめ直し、それを世界に発信する準備を始めることです。今こそ、皆様のその手にある尊い物語の力で、ホームページをリニューアルし、ビジネスの次なる一章を始めてみてはいかがでしょうか。その先には、きっと、これまで想像もしなかったような新しい景色が広がっているはずです。
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