もくじ
- 1 はじめに:京都の研究室サイト運営が直面するリアルな日常
- 2 研究室サイトの更新担当が抱える悩み
- 3 学内システムやガイドラインによる制約
- 4 研究成果のアピールとアーカイブの難しさ
- 5 学部生・院生の募集と広報活動の課題
- 6 研究室ならではのコンテンツ制作とマネジメント
- 7 運営体制と組織づくりにおけるポイント
- 8 京都ならではの魅力を活かす視点
- 9 外部リソースや専門家との連携
- 10 セキュリティや法的リスクへの対策
- 11 大学院生・助教のキャリアアップにもつながるサイト運営
- 12 今後の展望と持続可能なサイト運用のために
- 13 運営体制を後押しする具体的なツールと方法
- 14 効果的なビジュアルとユーザー体験
- 15 アクセシビリティと多言語対応への視点
- 16 広報効果を高める発信戦略
- 17 持続可能な更新習慣を育むためのアイデア
- 18 ストーリーやパーソナルブランディングの要素
- 19 検索エンジンでの見つけやすさとサイト拡張
- 20 社会とのつながりを深めるきっかけづくり
- 21 ネットワークづくりと学内外の連携を活性化
- 22 まとめ
- 23 大学研究室のホームページ関連記事
- 24 ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例
- 25 京都の大学研究室のサイト運営サポートをご希望の方
- 26 京都の大学研究室のホームページリニューアルをご希望の方
- 27 京都の大学研究室のホームページ制作をご希望の方
はじめに:京都の研究室サイト運営が直面するリアルな日常
京都は古くから学問や文化が花開いた場所として知られており、多くの大学や研究機関が集まっています。そのなかで、大学の研究室がウェブサイトを通じて発信する情報は、国内外の学術交流や学生の募集、地域社会との連携に欠かせない存在となっています。とはいえ、研究や教育がメイン業務となる大学のなかで、サイト運営のノウハウを持つ人材を十分に確保するのはなかなか難しく、研究室サイトならではの悩みが絶えないという話もよく耳にします。
たとえば「サイトが古いデザインのまま放置され、最新の研究成果や論文リストが更新されない」「学内システムの制約が多くて柔軟な運営ができない」など、実際に手を動かす担当者が限られているために発生する問題が多いのが現状です。さらに、学生や研究者、社会人、企業など多様なステークホルダーに向けて効果的に情報を届けるには、研究室の中だけでは知見を集めきれないという悩みもあるでしょう。
ここでは、京都の大学研究室のサイト運営におけるリアルな課題と、それを解決・改善するための視点や具体策をいくつか紹介していきます。歴史ある街ならではの文化的背景や、学内の独特な風土も視野に入れながら、研究の魅力を最大限に発信するためにはどのように取り組めばよいのかを探っていきたいと思います。
研究室サイトの更新担当が抱える悩み
研究室サイトでは、論文・学会発表のリストからメンバー紹介、研究内容の概要、学内外のイベント告知など、多岐にわたる情報を取り扱わなければいけません。しかし、それらを常に最新化する人材や時間を確保するのが難しいという声が多く聞かれます。
更新作業が分散しがちな現状
研究室には多くの場合、教授や准教授、助教、大学院生、学部生などが在籍していますが、ウェブの専門知識を持つ人はそれほど多くないのが一般的です。そのため、
- 片手間でやらざるを得ない
講義や実験の合間に大学院生や助教が更新するケースでは、作業時間をしっかり確保できず、後回しになりがちです。 - 学年ごとの入れ替わり
学部生・大学院生が中心に更新している場合、卒業や修了によって担当者が頻繁に変わり、そのたびに運営のノウハウがリセットされてしまう恐れがあります。 - 多重管理による混乱
別のメンバーが勝手にファイルを上書きしたり、どのデータが最新版か不明になったりする状況が生まれやすく、更新の精度が落ちてしまいます。
こうした問題から、結果としてサイトの更新が滞り、研究室の日々の活動をうまく外部に伝えられないという事態になりやすいのです。加えて学内ルールやセキュリティ対策の制約もあり、自由度が低いところも悩みのタネとなっています。
教授や准教授の思いとギャップ
トップである教授や准教授のなかには、研究室サイトを使って積極的に情報発信したい方も多いです。しかし、現場の更新担当者が不足していると、理想と現実にギャップが生じます。たとえば、
- 「新しい論文が出るたびにサイトに載せたい」と考えているが、実際には年に数回しか更新できない
- 「海外からのアクセスを想定して英語ページも充実させたい」が、英訳や多言語対応に手が回らない
- 「他大学との共同研究の成果をニュースリリース的に紹介したい」が、広報スキルに乏しい
このように、研究トップの要望と現場の運用リソースの乖離が大きいほど、サイトの放置・肥大化が進み、かえって情報が探しにくくなる悪循環を生み出すこともあります。限られた人員であっても、運営ルールの整理やツールの導入などによってギャップを縮める工夫が大切です。
学内システムやガイドラインによる制約
大学という組織では、学内ネットワークやセキュリティポリシーがしっかりと整備されている一方、それが研究室サイトの運営において足かせになるケースがあります。特に国立大学などでは、サーバを学内で統一管理し、独自のCMSを使わなければならないなどの制限がある場合が少なくありません。
使いづらいCMSやシステム
学内で推奨されるCMS(コンテンツ管理システム)があるとしても、以下のような不満が聞かれます。
- 操作が複雑で直感的でない
WordPressや他の一般的なCMSと比べて、編集画面が扱いにくく、ちょっとした更新にも時間がかかる。 - カスタマイズの自由度が低い
デザインテンプレートが固定されていたり、プラグインの導入を制限されていたりして、機能拡張が難しい。 - バージョンアップのペースが学内の都合に左右される
セキュリティアップデートを学内のシステム管理部署がまとめて行うため、緊急度の高い不具合に迅速に対応しにくい。
結果として、サイトのデザインや機能が時代遅れになりやすいほか、研究室の魅力を伝えるための拡張が思うようにできず、学外から見ても魅力的なコンテンツにならないといった弊害が生じます。
学内ガイドラインとの折り合い
多くの大学には、広報やウェブ運用に関するガイドラインが存在します。たとえば、
- 大学ロゴやスクールカラーの使い方
- 著作権やプライバシーの取り扱い
- 個人情報保護やセキュリティルール
こうしたルール自体は重要なものですが、解釈が曖昧であったり、研究室の実態に合わない点があると、更新担当者のモチベーションや柔軟性が損なわれることがあります。また、ガイドラインの存在をよく知らずに運営していた結果、後から学内管理部署に指摘されるケースもあり、関係者の手間やストレスが増える場合も考えられます。
そこで、研究室独自の広報方針や更新ルールをしっかり設定し、必要に応じて学内部署と調整を行うことで、最小限の制約のなかでも最大限のパフォーマンスを発揮できるようにすることが重要です。
研究成果のアピールとアーカイブの難しさ
大学研究室のサイトにおいて、最も重要ともいえるのが研究成果の発信です。国際学会や有名ジャーナルへの掲載実績を広く知ってもらえれば、優秀な学生や共同研究者からの問い合わせが期待できますし、研究資金の獲得にも有利となります。しかし、その成果をどうわかりやすく整理・アーカイブするかが大きな課題となることが多いです。
更新頻度と成果リストの整理
論文や学会発表、受賞歴などは、研究室にとっては日常的に増えていく情報ですが、それぞれの情報をタイムリーにサイトへ反映するのは簡単ではありません。特に、
- 論文の正式掲載前後で情報が変わる
アクセプトされた段階、オンラインで先行公開された段階、最終的に雑誌に掲載された段階など、タイミングごとに適切に紹介する必要があり、どの段階でサイトに掲載すべきか迷いやすい。 - 学会発表も頻繁に増減する
口頭発表やポスター発表、国内外の学会など、短期間に多数の発表が行われる研究室では、ひとつひとつ更新する負担が大きい。 - メンバーの異動や学年更新による混在
発表者がすでに卒業・就職した場合、サイト上での表示方法や連絡先などをどうするかなど、細かい調整が必要になる。
結果として、成果リストが中途半端に更新されないまま何年も放置され、古い発表だけが残っている状況も少なくありません。これではサイトを訪れた外部の人に最新の動向が伝わらず、研究室の魅力を十分に発揮できないリスクがあります。
アーカイブの見せ方と外部サービスの活用
研究成果の情報量が多い場合、単に時系列のリストをダラダラと並べるだけでは、読み手が求める情報を見つけにくくなります。そこで、アーカイブの見せ方を工夫することが求められます。
- 研究テーマごとの分類
研究室が複数の分野やプロジェクトを抱えている場合、テーマ別に成果リストをまとめると、訪問者が興味のある領域の研究だけを簡単に確認できます。 - メンバー単位の視点
教授や大学院生ごとに担当分野や発表リストを分け、さらに写真や自己紹介をリンクさせることで、研究室の人的ネットワークが伝わりやすくなります。 - 外部サービスとの連携
論文情報を管理するツール(MendeleyやZoteroなど)や、研究者情報プラットフォーム(ResearchGate、Google Scholar、ORCIDなど)を活用すれば、研究室サイトに直接すべての情報を手動入力しなくても、自動的に最新情報を反映できる仕組みを作れる場合があります。
たとえば、Google ScholarやORCIDのAPIを使って新着論文のリストを自動生成するウィジェットを設置しておくと、日々の更新作業を大幅に軽減できますし、引用数やImpact Factorなどの指標も同時に確認できて便利です。
学部生・院生の募集と広報活動の課題
研究室サイトは、将来のメンバーとなる学生の興味を惹くうえでも重要な役割を果たします。京都の大学は国内外から多くの学生が集まる土地柄ですが、実際には「どんな研究が行われ、どんな雰囲気の研究室なのか」がうまく伝わらず、優秀な学生の取りこぼしが発生していることも考えられます。
雰囲気や指導体制が伝わりにくい
研究テーマやカリキュラムの説明は教務資料や大学公式サイトでもある程度カバーできるかもしれませんが、実際にどんなメンバーがいて、どんな指導が行われているのかは、研究室独自のサイトでなければ伝わりにくい部分です。
- 学生が書くブログやSNSでの発信
研究室の忙しさや日常の取り組み、学会遠征の様子などをリアルに紹介するコンテンツは、後輩学生にとって大きな参考材料となります。 - オープンラボや体験入室の告知
実際に研究室を見学できる機会がいつあるのか、申し込み方法はどうなっているのかが明記されていると、興味をもった学生がアクセスしやすいです。 - メンター制度や就職実績の紹介
修了後の進路や、指導体制がどのように確保されているかを具体的に示すことで、不安を抱える学生を安心させやすくなります。
**「自分がこの研究室に入ったら、どんなキャリアが開けるのだろう?」**という視点を意識した情報が欠けていると、学生の志望意欲を高めにくく、他大学や他研究室に流れてしまう可能性が高まります。
海外からの留学生・研究者への対応
京都の大学には、海外からの留学生や研究者がやってくることもしばしばあります。世界的にも名高い地域であるだけに、英語版サイトの充実や、研究内容を英語で情報発信する体制は非常に大切です。しかし、
- 英語ページが更新されず古い情報のまま
- 研究キーワードが専門的すぎて検索されにくい
- 問い合わせ窓口や連絡手段が分かりづらい
といった課題があると、海外からのアクセスを逃してしまいかねません。教授や学生がネイティブでなかったとしても、簡潔で正確な英語を掲載するだけでも大きく印象が変わります。共同研究を探している海外大学や留学生が、「この研究室は本当に海外からの受け入れに意欲的なのだろうか」と判断する材料にもなるからです。
研究室ならではのコンテンツ制作とマネジメント
研究室サイトには、論文リストやスタッフ紹介だけでなく、その分野の面白さや成果の社会的意義を伝えるコンテンツがあれば、多くの人に興味を持ってもらえる可能性があります。京都ならではの伝統文化や歴史的背景との関連も含め、どのようにアピールするかが問われます。
専門性とわかりやすさの両立
研究テーマが高度になるほど、素人には理解しにくい専門用語が増えがちです。しかし、学内関係者や専門家だけでなく、一般企業や地域住民、海外の研究者など、多様な層に向けて情報を発信する場合は、専門性とわかりやすさを両立する工夫が重要になります。
- 図解やイラスト、写真を活用
言葉だけで説明しにくい実験手法や理論も、ビジュアルを交えると理解しやすくなります。 - 成果の応用例や社会的インパクト
「この技術が実用化されると何が変わるのか?」「産業や環境にどんな影響があるのか?」など、具体的な未来図を描く情報を加えることで、興味を引きやすくなります。 - 専門用語の簡易解説
ページ内に用語集を設けたり、マウスオーバーで専門用語の解説が表示される仕組みを組み込んだりして、初学者にも親切な設計を目指します。
特に京都の伝統産業や文化との関連を持つ研究であれば、地元ならではのエピソードを織り交ぜることで、地域住民や観光客にも興味を持ってもらえるコンテンツとなるでしょう。
行事やイベントのレポートで「生きた」サイトに
研究室では、学会発表やシンポジウム、大学祭や共同研究プロジェクトの打ち合わせなど、日々さまざまなイベントが行われています。こうしたリアルタイムな活動の様子をサイトで紹介することで、訪問者が「この研究室はどんな雰囲気で活動しているのか」「どんなメンバーが関わっているのか」を具体的にイメージしやすくなります。
- 当日の写真や感想を簡潔にまとめる
大掛かりな記事にしなくても、写真数枚と短いキャプションだけでも「生きた情報」として魅力的です。 - TwitterやInstagramなどSNS連携
学生がSNSで発信している場合、それをサイトに埋め込む形で最新の投稿を表示すれば、更新コストを抑えつつダイナミックなイメージを演出できます。 - 研究成果と関連づけた解説
イベントの報告に、今回の発表や議論が「どの研究と絡んでいるのか」を併記すると、一層深い内容に仕上がります。
ただし、写真や動画を掲載する際には、個人情報保護や肖像権にも注意が必要です。学内ルールに従い、事前に許可を得るか、配慮した形で公開するのが望ましいです。
運営体制と組織づくりにおけるポイント
ここまで紹介してきたような取り組みを継続するためには、研究室サイトの運営体制を整えることが欠かせません。どんなに良いアイデアがあっても、実際に動く人がいなければサイトはすぐに停滞してしまいます。
ロール分担と引き継ぎ
運営担当を1人に任せきりにすると、忙しさや異動などでその人が抜けた途端にサイトが止まるリスクが高くなります。そこで、複数人で役割を分担し、引き継ぎやすい仕組みを作ることが大切です。
- 編集担当・技術担当・監修担当など、更新内容ごとに誰が決定権を持つかを明確にする。
- マニュアル化やタスク管理ツールを活用し、更新フローを見える化する。
- 年度末や学期ごとに運営ミーティングを開き、次年度の担当者への引き継ぎや、改良点の共有を行う。
特に大学院生や助教など、在籍年数に限りのあるメンバーが担当の場合は、短期間でもスムーズな運営が可能な体制を意識すると、急なメンバー交代時もトラブルを抑えやすくなります。
目標設定と定期的な評価
研究室サイトの成果を定量的に評価するのは難しい面がありますが、少なくともアクセス数や問い合わせ数、問い合わせの質などを定期的にチェックすることは可能です。たとえば、
- GoogleアナリティクスやSearch Consoleでアクセス解析を行い、人気のあるページや検索キーワードを把握する。
- 問い合わせフォームの送信数や内容を見て、どのような質問やコラボ依頼が増えているかを分析する。
- 学会発表後やプレスリリース後にアクセス数がどう変化するか観察し、効果を測る。
こうしたデータを集め、定期的に運営メンバーで共有することで、次の施策につなげやすくなります。サイトの役割や目標を共有し合うことで、必要な改善点が見えやすくなるでしょう。
京都ならではの魅力を活かす視点
京都の大学研究室サイトという文脈では、地域の特徴を活かした発信ができるのも大きな強みです。古都としての歴史や文化、芸術との融合、さらには日本を代表する観光都市としての国際的知名度などを上手に活かすことで、研究室のプレゼンスを高められます。
伝統文化や周辺地域との連携
京都には、長い歴史を持つ伝統産業から新進企業まで、多様なパートナーシップの可能性が広がっています。研究室サイトで、こうした地元企業や施設との共同研究や交流を紹介すれば、地域との結びつきを深めるきっかけにもなるでしょう。
- 和菓子や染織技術などの伝統産業とのコラボ研究をアピールし、「科学と伝統文化の融合」という視点を打ち出す。
- 地域の祭りやイベントに参加した様子をレポートし、研究が生活や文化にどう寄り添っているかを伝える。
- 産学連携プロジェクトとして、企業や行政との連携を紹介し、研究室の社会貢献度や実用性をアピールする。
研究室の活動が地元社会と関わり合うことで、サイトを訪れる人にも「この研究は身近な問題を解決するためにも役立っているんだな」という印象を与えられます。
観光客や海外研究者との接点
京都には、年間を通じて海外から多くの観光客や留学生が訪れます。観光客向けの科学イベントやオープンキャンパスなどで研究室を公開する機会があれば、サイトで告知することで国際的な注目を集めることも可能です。
- 英語ページに京都の地域案内やキャンパス周辺情報を少し盛り込むだけでも、留学や研修を検討する人にはありがたい情報となります。
- 国際会議や学会が京都で開かれるタイミングに合わせて、研究室見学を受け入れる仕組みを作り、サイトを通じて案内する。
- 日本文化と先端科学の融合という切り口で、海外メディアに取り上げられる可能性を高める。
研究室の魅力を世界に発信するためには、言語対応や受け入れ体制など手間がかかりますが、京都という土地の知名度を活かすことで大きなメリットを得られるかもしれません。
外部リソースや専門家との連携
研究室サイトを洗練させるには、外部のウェブ制作会社やデザイナー、コンサルタントなどと連携する選択肢も考えられます。ただし、大学の予算や手続き上のハードルもあり、簡単に外注できない場合が多いかもしれません。しかし、一部の業務だけでも専門家に頼むことで、サイトの質や更新効率を大幅に改善できる可能性があります。
部分的な外注の効果
大掛かりなサイトリニューアルではなくとも、以下のようなポイント的な外部依頼が有効な場合があります。
- デザインテンプレートの刷新
CSSやレイアウトの刷新だけをプロに依頼し、コンテンツ更新は研究室内で続けられるようにする。 - ロゴやアイコンの作成
研究室独自のシンボルマークを制作してもらい、サイトや印刷物、スライド資料などで統一感を出す。 - 英語翻訳の監修
研究室内で仮訳した英語ページを、プロの翻訳家や留学生にチェックしてもらい、違和感のない表現に仕上げる。
これにより、研究者が本来の業務に注力しながらも、サイトの専門性を向上させることができます。
学内外の学生の協力を仰ぐ
また、大学の中には情報系やデザイン系の学部・学科を持つところも多く、あるいは学外にも学生フリーランスやボランティア活動を行う団体が存在します。学生同士で協力する体制を作れば、低コストで新鮮なデザインやアイデアを取り入れることができる可能性があります。
- 情報系の学部生にHTML/CSSのメンテナンスをサポートしてもらう
学内アルバイト制度などを活用し、技術力のある学生に手伝ってもらう。 - デザインコンペや課題の一環で研究室サイトをリニューアルする企画を行う
大学内で授業として扱ってもらうことで、実践的な学びの場を提供すると同時に、サイトの改善にもつながる。 - 国際交流サークルや留学生に英語ページのチェックを依頼
お互いに言語面で協力し合いながら、国際的な視点を取り入れるきっかけとする。
こうした取り組みは、サイト運営だけでなく、学内の交流やスキルアップにも貢献するため、長い目で見れば多面的なメリットがあるでしょう。
セキュリティや法的リスクへの対策
大学研究室サイトでも、個人情報や研究データが含まれるコンテンツを扱う場合があります。万が一のトラブルが起きると、研究室だけでなく大学全体の信用問題にも発展しかねません。そのため、セキュリティや法的リスクについての基本的な対策を忘れずに行う必要があります。
SSL化とアクセス制限
サイト全体をSSL(https)化するのは、今や標準的なセキュリティ対策です。閲覧者の通信を暗号化するだけでなく、検索エンジン上の評価にも影響すると言われています。また、内部向けの文書や研究データをウェブ上で閲覧可能にする場合は、アクセス制限をかけて外部から見えないようにしなければなりません。
- 研究室メンバーだけがログインできるページを設け、ミーティング資料やラボ内向けのお知らせを共有する
- 学外アクセスをブロックする、あるいはVPN接続時のみアクセス可能にするなどのセキュリティ設定を学内のシステム部署と連携して整える
著作権や引用ルールの順守
研究成果の紹介にあたっては、論文や画像、図表などをサイトに載せることも多いでしょう。その際、著作権や引用ルールを順守しなければ、法的リスクに発展します。特に、
- 学会の要旨集や出版社の著作権
論文をPDFで公開する場合、投稿した学会誌や出版社の規定を確認し、二次公開が許可されているかをチェックする。 - 第三者の画像やデータの使用
研究室独自の撮影物や作成物でない場合、ライセンスや出典明記をしっかり行う。 - 学生が書いた記事や写真
在籍している間は許可を得やすいが、卒業後にトラブルになるケースもあるので、あらかじめ同意を得ておくか、取り扱い方針を定めておく。
これらを怠ると、後々面倒な問題に発展する可能性があるため、研究室の運営会議などで一度ルールを確認しておくと安心です。
大学院生・助教のキャリアアップにもつながるサイト運営
実は、サイト運営に携わることそのものが、大学院生や助教など若手研究者のキャリアアップにつながる面もあります。学問分野によっては、広報やプレゼンテーションスキルが求められる時代であり、ウェブを使いこなせる人材は重宝されるからです。
学会や共同研究での役割拡大
サイトを通じて研究室の活動を発信していくと、学会運営や国際会議の企画などでそのスキルが活きる場面が出てくるかもしれません。たとえば、
- 学術イベントの特設サイトやSNS運用を任される
- 国際共同研究の場で英語の広報資料を作成し、交渉に貢献できる
といった形で評価を得ることができれば、研究者としての評価軸が増え、より多角的な活躍が期待できます。
将来の研究室運営や教育力にも活かせる
若手のうちからサイト運営のノウハウを身につけておくと、将来自分が独立して研究室を立ち上げる際にも非常に役立ちます。ホームページを使った学生募集や成果発信の方法を知っていると、教育者としても指導しやすくなるからです。
さらに、現代の学生たちはSNSやウェブを通じて情報収集を行うのが当たり前であり、その感覚を共感しながら指導できる研究者は学生との距離感を縮めるのにも有利です。こうした視点から、大学院生や助教がサイト運営に積極的に関わることを奨励するのも、一つの研究室マネジメントの方針となるでしょう。
今後の展望と持続可能なサイト運用のために
京都の大学研究室サイトには、世界に誇る研究成果や地域社会との連携など、魅力的な要素が数多く埋もれています。しかし、それを十分に引き出すためには、日々の運用体制やツール、組織の連携が不可欠です。忙しい研究生活の合間でも、負担が少なく続けられる仕組みを整えることが、結果として研究の社会的インパクトを高めるうえで重要なポイントとなります。
ここまで見てきたように、研究室サイトが抱えるリアルな悩みは多岐にわたりますが、運営ルールの明確化、学内外との調整、コンテンツの工夫、専門知識の部分的な外注など、できることから少しずつ取り組めば、サイトの質を着実に高められます。京都という学問と文化が交差する地の利を活かしながら、新しい研究室像をウェブ上で発信し続けることこそが、これからの大学研究室にとって一つの大きな強みになるのではないでしょうか。
以上が前半部分となります。後半では、より具体的な運営事例やツールの導入方法、さらに少し突っ込んだテクニカルなコツなども交えて、研究室サイトをどのように持続可能な形でアップデートしていくかを深掘りしていきます。研究者や学生、そして社会全体にとって価値あるサイト運用を実現するためのヒントを、次のステップとして確認してみてください。
運営体制を後押しする具体的なツールと方法
研究室サイトのクオリティを長期的に維持するためには、単にルールやガイドラインを整えるだけでなく、実際の運用をサポートしてくれるツールや仕組みを上手に取り入れることが大切です。大学のような組織の場合、既存の学内システムとの整合性を保ちつつ、新しいアプリケーションを活用するには一定の手続きが必要な場合もありますが、それでも効果的なツールを選べば日々の更新負荷を大きく下げられます。
継続的な運用を支えるCMSの検討
学内に推奨・指定されたCMSがある場合、それを使いこなすしか選択肢がないこともありますが、場合によっては学外サーバやクラウドサービスを利用する手段も考えられます。セキュリティポリシーや管理者の許可が必要とはいえ、より使いやすいCMSを導入できれば、サイトの編集やデザイン変更が容易になるでしょう。
- WordPressやWix、Squarespaceなど
直感的にページを作成できるサービスが充実しており、デザインテンプレートも豊富。研究室の個性を生かしたカスタマイズがしやすい。 - GitHub PagesやNetlify
スタティックサイトジェネレーターを使い、Markdownで論文リストや記事を管理すれば、エンジニアリングスキルを持つ学生や教員がメンテナンスしやすい。 - 既存CMSの大幅カスタマイズ
学内指定のCMSを使いながらも、プラグインの導入や外部スクリプトの埋め込みを可能な範囲で行い、便利な機能を追加していく方法。
研究室で選択肢を検討する際は、サイト更新の頻度や担当者のITスキル、大学のセキュリティ基準などを踏まえて、長期的に無理なく運用できるものを選びたいです。
クラウドストレージとドキュメント管理
論文やプレゼン資料、メンバー用のマニュアルなど、さまざまなファイルが研究室内に点在していると、サイト更新のときにどれが最新か分からなくなりやすいです。そこで、クラウドストレージやオンラインドキュメント管理を導入すれば、ファイル共有やバージョン管理をシンプルに行えます。
- Google DriveやDropbox
複数人で編集・閲覧するドキュメントを一元管理し、サイトに掲載するPDFや画像を探しやすくする。 - SharePointなど学内グループウェア
大学によってはマイクロソフト系のツールを全学で導入しているケースもあるため、そのインフラを活用して研究室の資料を集約する。 - バージョン管理システム(GitLabなど)
ソフトウェア開発だけでなく、論文原稿や研究データの差分管理にも使えるため、論文公開ページの更新履歴を追いやすくなる。
ただし、学外ストレージの利用には、個人情報や未公開研究データの扱いを慎重に検討する必要があります。学内規定と矛盾しないように運用ルールを定めましょう。
スケジュール共有とリマインド機能
研究発表や学会報告の多い研究室では、各イベントの前後にサイトでのお知らせや成果報告を更新する作業が発生します。しかし、担当者のスケジュールと合わないと結局更新が遅れがちです。そこで、スケジュール管理ツールやリマインド機能を使って更新タイミングを逃さないようにするとよいでしょう。
- GoogleカレンダーやOutlook
発表日や論文公開日を登録し、数日前に更新担当にアラートが出るよう設定しておく。 - TrelloやAsana
カードベースでタスク管理し、発表後の更新タスクを「To Do」から「Doing」「Done」へスムーズに移行。 - SNSの予約投稿機能
研究室のSNSアカウントがある場合、あらかじめ告知文を予約投稿しておけば、忙しい学会シーズンでも定時にお知らせを配信できる。
こうしたツールを研究室の日常活動に溶け込ませることで、誰がどのタイミングで何を更新すべきかが明確になり、更新漏れや二重作業を防ぎやすくなります。
効果的なビジュアルとユーザー体験
研究室サイトの内容が充実していても、デザイン面やナビゲーションが分かりにくいと、訪問者は必要な情報までたどり着けずに離脱してしまう可能性があります。専門的な情報を扱う場合こそ、見やすく、使いやすいデザインを意識することが大切です。
トップページのレイアウト再考
トップページは、初めて訪れた人が研究室の概要を把握する重要な場所です。余計な情報を詰め込むのではなく、一目で何がわかるサイトなのかを伝えるレイアウトが理想的です。
- 研究室名と主要な研究分野を大きく明記
どんな研究をしている場所なのか、訪問者がすぐに理解できるようにする。 - 代表的な研究成果やトピックスをピックアップ
新着論文や受賞歴、メディア掲載など、最もアピールしたい内容をスライドやバナーで紹介する。 - メインメニューのシンプル化
「研究内容」「メンバー紹介」「成果一覧」「お問い合わせ」など、最小限かつ必要十分なメニュー項目だけを上部に配置し、ページの階層を浅くする。
過度に凝ったアニメーションや色使いは、訪問者の集中力を削ぐ場合があるため、シンプルで清潔感のある京都のイメージを反映させたデザインが好まれます。大学や研究室の歴史を感じさせる伝統色を差し色に使うなど、京都ならではの落ち着いた雰囲気を演出すると魅力が増すでしょう。
論文リストの見やすいフォーマット
論文リストが膨大になると、単純なテキストの羅列だけでは探しにくいものです。そこで、検索やフィルタリング機能を加えるだけでも、ユーザビリティが大きく向上します。
- 年度・著者・研究テーマ別のソート機能
JavaScriptやCMSのプラグインなどを利用して、絞り込み表示を可能にする。 - タイトルやDOIからのリンク付与
論文タイトルをクリックすると外部サイト(ジャーナルや論文データベース)に飛ぶようにしておくと、ユーザーが内容を深く確認しやすい。 - ハイライトやタグ付け
特に注目度の高い論文や受賞作品などは、「Featured」といったタグをつけて目立たせ、リストを眺めるだけでもトピックが把握できる。
学術分野によっては、Preprintサーバやオープンアクセスジャーナルとの連携も進んでいるため、該当するサービスのリンクを加えておくと、海外からのアクセスにも対応しやすいです。
写真や動画を活用した空気感の共有
研究室の雰囲気や実験設備、フィールドワークの様子などは、テキストだけでは伝えにくい部分が多々あります。魅力的な写真や動画を適切に配置すれば、訪問者の興味を引き、サイトへの滞在時間を伸ばすことが期待できます。
- 研究室内の設備やメンバーの作業風景
高価な機器がある場合や実験がユニークな場合、その写真を載せて「こんな最先端環境で研究しているんだな」と感じてもらう。 - 学生が出演するミニインタビュー動画
研究内容の簡単な紹介や、日常の過ごし方などを学生が自分の言葉で語る映像は、後輩や外部の人にとって非常にわかりやすい。 - 研究成果のビジュアル化
グラフやシミュレーション結果など、視覚的にインパクトのある成果は画像や動画形式で公開する。3DモデルやCGを使った研究なら、その動きが見えるだけで面白さが倍増する。
ただし、容量の大きい画像や動画をサイトに埋め込みすぎると読み込み速度が遅くなる可能性があります。画像は適度に圧縮し、動画はYouTubeなどの外部プラットフォームを活用して埋め込み形式にするなど、パフォーマンス面にも配慮します。
アクセシビリティと多言語対応への視点
京都の大学研究室は、国内外から多様なユーザーがアクセスする可能性が高いため、アクセシビリティと多言語対応は軽視できません。特に公的な機関として、できるだけ多くの人が支障なくサイトを利用できるように工夫するのは社会的にも意義があります。
高齢者や障がい者に配慮したデザイン
色覚特性や視力に制限のある人、画面リーダーを使って閲覧する人もいることを前提に、文字サイズや配色コントラストを整えることが大切です。WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)などの国際標準を参考に、以下の点をチェックするとよいでしょう。
- 十分なコントラスト比
背景色と文字色のコントラストが低いと読みづらいので、デザイン段階で意識する。 - 代替テキスト(alt属性)の適切な入力
画像の内容をテキストで補足することで、視覚に障がいのあるユーザーも内容を把握しやすくなる。 - キーボード操作だけでも閲覧可能か
マウスを使わずにタブキーなどでページ内を移動できるようにしておくと、操作しやすいサイトになる。
研究室が扱う専門性の高い情報こそ、より多くの人に伝わるようアクセシビリティを高める努力をすることで、社会的評価も高まります。
英語ページと自動翻訳の使い分け
英語版のページを用意するとき、自動翻訳に頼るのか、手動で翻訳するのかは悩ましいところです。研究テーマや成果が専門的であればあるほど、機械翻訳だけでは正確さを担保しにくい面があります。一方、すべてを手動翻訳し続けるのは負担が大きいことも事実です。
- 重要情報は人間がチェックした翻訳
研究内容の概要、スタッフ紹介、主要な論文リストなどは、可能な限りネイティブレベルの校閲を受ける。 - 速報性が必要な部分は自動翻訳機能の併用
イベント告知や短期的なニュースは自動翻訳も検討し、文法や専門用語だけ後から素早くチェックして手直しする。 - 将来的に多言語化も視野
もし留学生や国際共同研究が盛んな分野であれば、中国語やフランス語など他の言語ページの要望も出るかもしれない。対応コストとメリットのバランスを見ながら検討する。
自動翻訳ツールに頼るだけだと、誤訳によって研究内容の誤解を招くリスクがあるため、最低限の校閲ルールを設けておくと安心です。
広報効果を高める発信戦略
京都の研究室サイトを単なる資料置き場にするのではなく、多くの人に見てもらうためには、サイト以外のチャンネルも駆使して周知を図ることが重要です。SNSやプレスリリース、学会での紹介など、複数のアプローチを組み合わせてこそ、研究室の認知度は高まっていきます。
SNSと連動させた周知活動
研究室の公式アカウントをSNSで運用していれば、新たな論文発表やイベント情報を簡潔な形で発信し、リンクを研究室サイトに誘導する形が取りやすいです。ただし、SNS更新も手間がかかるため、以下の点に注意すると続けやすくなります。
- 運用ポリシーと投稿頻度の明確化
誰が何を投稿するのかをルール化し、週1回や月2回など無理のない頻度で続けられる仕組みにする。 - 画像やハッシュタグの工夫
実験風景や研究成果のビジュアルを添えて投稿するだけで、閲覧者の目を引きやすくなる。関連する学会名や研究キーワードのハッシュタグをつける。 - フォロワーとのやり取り
コメントや質問があれば丁寧に返し、興味を持った人とコミュニケーションを図る。その過程でサイトへの誘導も可能。
SNSを使って広がった情報が、研究室サイトの閲覧数を押し上げ、さらに問い合わせや学生募集につながる好循環を生むことが期待できます。
プレスリリースやメディア連携
大きな研究成果や受賞のニュースがあれば、大学の広報部門を通じてプレスリリースを出したり、地元メディアに取り上げてもらうことも検討してみましょう。学会での注目度が高い研究分野なら、学術誌だけでなく一般紙やテレビ局が興味を示す場合もあります。
- ニュースリリースにサイトURLを記載
詳細は研究室サイトで確認できるように案内し、アクセスを促す。 - 大学広報との密な連携
大学全体の公式サイトやSNSがあるなら、研究室の話題を学内ニュースやトップページに載せてもらうよう依頼する。 - メディア対応の基本マニュアル作り
取材依頼や問い合わせが来たときに混乱しないよう、担当窓口と流れを定める。教員や学生がメディア対応するときの注意点を共有する。
マスメディアや専門誌に載ったタイミングを逃さずサイトを充実させておけば、注目度が急上昇した際に訪れた人に最新情報や詳しい解説をスムーズに届けられます。
持続可能な更新習慣を育むためのアイデア
研究室サイトの運営は、一度リニューアルすれば終わりではありません。むしろ、その後どれだけ継続して運営できるかが研究室の魅力発信に直結します。担当者が忙しくなるほど更新の優先度が下がりがちですが、無理なく続けるための仕掛けを組み込んでおくとよいでしょう。
小さなアップデートの積み重ね
大掛かりな改修や大量のページ更新を一気に行うのはハードルが高く、担当者の負担にもなります。そこで、日常的に少しずつ更新する習慣を定着させれば、サイト全体をフレッシュに保ちやすいです。
- 「1記事1テーマ」「1データ1更新」という考え方
研究成果やイベントレポートなど、ひとつのネタをこまめにブログや新着情報に落とし込む。 - 日誌感覚の短文投稿
わざわざ正式な報告書を作るほどでもない場合でも、研究の進捗や雑感を短い文章と写真で紹介するだけで、新鮮さを演出できる。 - 更新しやすい箇所をトップページに設置
トップページに「最新トピック」のコーナーを設けておき、そこへ1行でもいいから新情報を追加すれば、最低限の更新が確保できる。
研究室メンバーが多いほど、分散して少量のコンテンツを出しやすいので、気負わずにこまめに書くスタイルを促すのがポイントです。
モチベーション維持の仕組みづくり
更新作業が「責任者にとっての雑務」になってしまうと、どうしても後回しにされがちです。そこで、サイト運営自体に楽しさや意義を感じられるよう工夫すると、モチベーションを保ちやすくなります。
- 定期的なアクセス解析レポート
どのページがよく読まれているか、海外からの訪問が増えているかなど、データを共有して「こんなに見られているんだ」と実感してもらう。 - 更新内容を学内で発表する場
研究室のゼミやラボ会議で、サイトの新着記事を紹介し合ったり、コンテンツアイデアを募ったりする。 - オープンキャンパスや学内行事との連携
学部生に向けたイベントや研究発表会の場で「研究室サイトもぜひ見てください」と案内し、反応を得ることで運営のやりがいが増す。
特に学生にとっては、サイト運営経験が自己アピールの材料にもなるので、「履歴書に書けるスキルを身につけられるよ」といった形で巻き込むと協力を得やすいです。
ストーリーやパーソナルブランディングの要素
大学の研究室という場所は、日々変化と発見にあふれているものの、一般の人から見ると「難しそう」「敷居が高い」という印象を与えがちです。そこで、研究や実験の冷静な事実だけでなく、ストーリー性や個人にスポットライトを当てた情報を織り交ぜることで、より多くの人が興味を持ってくれる可能性があります。
研究者インタビューやコラムの連載
教授や助教、大学院生がどんなきっかけでその分野に興味を持ったのか、研究を続けるうえでの苦労や喜びは何か、というエピソードは意外と外部には伝わっていないことが多いです。しかし、こうした人間臭さやドラマは読者の心を引きつけやすいポイントにもなります。
- ロングインタビュー形式
テキストだけでなく写真や簡単な動画も交えて、人柄や声のトーンを感じ取れるようにする。 - 時期ごとのコラム
新入生を迎える季節や学会シーズンなど、節目に合わせて「研究室の現在地」を書き残す習慣をつくると、後から振り返るときにも面白い記録となる。 - 若手の視点
ベテラン研究者だけでなく、入学して間もない学部生や修士1年生など、フレッシュなメンバーの声を載せると、多角的な魅力が伝わる。
読者が「自分もこの人のもとで学びたい」「このテーマに関わってみたい」と思うきっかけを提供できれば、学生募集や共同研究のオファーにつながるかもしれません。
ストーリーテリングを通じた研究紹介
研究の根底にある問題意識や社会的背景を語る際、ストーリーテリングの手法を用いると理解度が深まりやすいです。たとえば、ある社会問題を解決するためにこういう疑問が生まれ、実験を繰り返した結果、こんな発見につながった――という流れを物語のように描くと、専門外の人にも面白さが伝わります。
- 課題→挑戦→失敗→再挑戦→成果という流れ
研究の成功だけでなく、途中の失敗や試行錯誤を少しオープンにすることで臨場感が増す。 - ビジュアルや図解の活用
ストーリーに沿った図解や写真を差し込み、読み手が頭の中で場面をイメージしやすくする。 - 社会実装や将来像
最後に「これが実現したら、私たちの生活はどう変わるのか」という未来像を示し、研究の意義をわかりやすくアピールする。
こうしたコンテンツは、研究室の公式サイトだけでなく、大学の広報誌や一般向けメディアにも展開しやすいため、積極的に活用してみるとよいでしょう。
検索エンジンでの見つけやすさとサイト拡張
日々の更新やコンテンツの充実に加えて、検索エンジン上で研究室サイトが上位に表示されるように工夫しておくと、想定外のルートからのアクセスが増えるかもしれません。特に留学生や企業の研究員など、研究テーマに関連するキーワードで調べる人は多くいます。
基本的なSEOの取り組み
高度なSEOテクニックを駆使する必要はありませんが、以下のような基本的な検索エンジン対策を施しておくだけでも効果が期待できます。
- ページタイトルと見出しに主要キーワードを適切に入れる
たとえば「京都大学 ○○研究室|バイオメディカル工学」「△△大学:伝統文化×情報工学研究室」など、検索されやすい用語を自然に含める。 - メタディスクリプションの整備
検索結果で表示される説明文に、研究室の特徴や内容を簡潔に書き、クリックを誘導しやすくする。 - 内部リンクの活性化
関連する研究テーマや発表報告を相互にリンクしておき、クローラーがサイト内を巡回しやすくする。また、ユーザーも回遊しやすくなる。
研究室の名前だけでなく、研究分野固有のキーワードや共同研究先の名前なども適度に盛り込むと、さまざまな検索パターンでヒットしやすくなります。
将来的なサイト拡張の見通し
研究室は進行形の組織であり、新しいプロジェクトや拠点が立ち上がることもあるでしょう。最初から想定していなかったセクションやページを追加する可能性を考慮して、サイト構造を拡張しやすいように設計しておくと後々助かります。
- URL設計とディレクトリ構成をシンプルに
例として、「/research/」「/people/」「/publications/」といった大分類を作り、そこに細かなページを追加していく形にすれば拡張性が高い。 - トップページやメニューバーの余白
新規プロジェクトの告知やサブサイトへのリンクを追加できるよう、初期段階からメニューの数を固定しすぎない。 - API連携や外部データの取り込み
論文や特許情報、イベント情報など、外部サービスから自動取得する仕組みを組み込んでおけば、研究室サイトが更に多機能化しても手作業を最小限に抑えられる。
研究室の将来的な発展に合わせてサイトも柔軟に拡張していけば、長期間にわたって役立つオンライン拠点として機能し続けるはずです。
社会とのつながりを深めるきっかけづくり
研究室サイトが外部から注目を浴びると、学術界だけでなく産業界や地域社会といった新しいステークホルダーとの接点が増えます。特に京都の大学は、歴史ある企業やスタートアップ、文化財保護団体など多彩なパートナーが見つかる可能性があります。
共同研究や受託研究への入り口
企業が大学の研究室と連携を考える際、まずウェブ上で研究室の実績を調べることが一般的になりつつあります。そのため、サイトで「どんな技術や知見を持っているのか」「共同研究の実績はあるのか」が分かる形にしておくと、スムーズにコンタクトを受けられます。
- 研究テーマの応用分野や産業利用例
学術的な意義だけでなく、産業界のニーズに合った視点でメリットを提示すると引き合いが増えやすい。 - 共同研究を希望する分野や条件
企業や自治体からの問い合わせを想定して「○○分野での共同研究に興味があります」「特に△△の問題解決に応用可能です」といった一文を載せておく。 - 知的財産や特許状況
大学の産学連携部署が関与している場合、研究成果の特許や技術移転情報を簡潔に説明するページをリンクし、関心を持った企業と連携しやすくする。
こうしてサイト上で“何ができる研究室なのか”を明示しておけば、社会的な課題を解決するコラボレーションにつながり、研究室の活動がより大きなインパクトを持つ可能性があります。
地域イベントやアウトリーチ活動
大学の研究室が地域に開かれた場として機能すると、学生だけでなく市民や観光客に対して学術の魅力を伝える機会が増えます。サイトでアウトリーチ活動の情報を発信しておけば、地域メディアや教育機関から声がかかることもあり得ます。
- 科学カフェや市民講座
研究内容をわかりやすく解説するイベントを開催し、一般の人が参加できるようにする。開催時期や申込方法をサイトで告知。 - 子ども向けワークショップ
小中学生向けに実験や観察体験を企画し、写真やレポートをサイトに掲載することで、保護者からの評価も高まる。 - オープンキャンパスや大学祭での展示
学内イベントの一部として研究室見学ツアーを行い、その感想や写真をサイトで紹介すれば、将来の受験生にアピールできる。
京都は観光都市としての知名度が高く、“知”の拠点としての大学研究室に興味を持つ観光客や留学生も少なくありません。アウトリーチ活動とサイト運営の融合を図ることで、研究室の存在感を一層高められます。
ネットワークづくりと学内外の連携を活性化
最後に、研究室サイトを活かして学内や学外のさまざまなリソースと連携することで、サイト運営の負担を軽くしつつ発信力を高める方法を考えてみましょう。こうしたネットワークづくりは、研究と教育の両面において大きな恩恵をもたらす可能性があります。
学部や大学全体のサイトとの連動
大学全体の公式サイトや各学部サイトが充実しているなら、そこへ研究室サイトの新着情報をフィードしてもらう方法もあります。逆に、研究室サイトに大学の公式情報を取り込んで表示する仕組みを作ることも考えられます。
- RSSフィードの活用
研究室サイトから学内サイトへの新着情報配信、学内広報誌やニュースサイトからのフィードを研究室サイトに掲載するなど、双方向に情報をやり取りする。 - 学内共通カレンダー
大学全体や学部単位でのイベントを一覧できるカレンダーを研究室サイトに埋め込み、学会やオープンキャンパス、セミナーなどを一括で確認しやすくする。 - 教務情報や入試情報とのリンク
受験生や履修希望者が研究室サイトを訪問した際、関連する入試要項やカリキュラム案内へスムーズに飛べるようなリンクを用意する。
こうした連動により、サイト訪問者が大学内の情報にアクセスしやすくなり、一方で研究室サイトにも学内外からユーザーが流れ込んでくる仕組みが生まれます。
他大学や研究機関との協業
京都には多くの大学や研究所が点在し、それぞれが独自の強みを持っています。複数の研究室が合同でサイトを運営するケースや、共同研究プロジェクト用のサイトを立ち上げるケースもあるでしょう。
- 共同ポータルサイト
複数の研究室が参加する大型プロジェクトでは、専用のポータルサイトを作り、各研究室の活動報告を一元管理する方法が考えられる。 - リンク交流や記事の相互掲載
近隣の研究室と協定を結び、「新着論文やイベント情報をお互いに紹介し合う」コーナーをサイトに設けることでアクセスを増やす。 - 学際領域の活性化
異なる分野の専門家同士がつながると、新しいアイデアや研究分野が生まれやすくなる。サイト上での共同コラムや対談企画は、学問的な刺激だけでなく訪問者の興味を引くコンテンツにもなる。
京都という都市の特性を活かして、大学・研究機関間の横の連携を深めれば、単なる個別の研究室サイトを超えて、学術コミュニティのハブ的な存在になる可能性もあります。
こうして学内外の連携を強化し、多層的に情報を発信することで、研究室サイトは日々新鮮な情報が交わされる“開かれた窓口”へと成長していきます。研究室の持つ専門知識や研究成果が、より多くの人の目に触れ、多方面と連携が進むほど、京都における学術文化もさらに豊かになっていくことでしょう。
まとめ
京都の大学研究室のサイトを運営していくうえで、多くの研究室が抱えているのは、更新担当者の不足や学内システムの制約、研究成果の情報整理といった課題でした。特に忙しい研究者や学生が本業の合間でサイトを更新しなければならず、手間をかけにくい一方で、古いデザインや未整理のコンテンツによって研究室の魅力が十分に伝わらないという現状がありました。
そこで重要になるのは、運営体制を明確にし、必要に応じて複数人で役割を分担することです。また、CMSやクラウドストレージ、スケジュール管理ツールなどを活用し、更新作業をわかりやすくルール化すれば、負担の分散と継続性が高まります。サイトでは論文や学会発表の情報をきちんとアーカイブし、学生募集や共同研究への入り口を明示しておくことで、学内外のユーザーにとっても利用しやすいプラットフォームとして機能します。
さらに、多言語対応やアクセシビリティへの配慮を進めることで、海外や障がいのある方を含む広範な訪問者にも情報が行き届きやすくなります。SNSやプレスリリースといった広報手段とも連動し、研究室の日々の活動や成果を積極的に発信していけば、一般企業や地域社会とのコラボレーションの機会も増え、研究に対する注目度や社会的なインパクトを高められます。
最終的に、研究室サイトは単なる資料集ではなく、学生のキャリアアップや学外との連携を促す「拠点」として役立ちます。京都の地域的な特性や伝統文化とも結びつけながら、ストーリー性をもたせたコンテンツを積み重ねれば、国内外からのアクセスを呼び込み、社会とのつながりをより深く、豊かなものにしていけるでしょう。
京都の大学研究室のホームページ制作やリニューアル、サイト運営などでお悩みの方々は遠慮なくご相談ください。
大学研究室のホームページ関連記事
ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例
ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例を随時ご紹介させていただきます。事例は、基本的に実名掲載の実績とは異なり、実際の要望や予算、ボリュームといった具体的な内容を紹介させていただきます。
少しでもイメージしていただけるよう実際の事例を紹介していこうと思います。
ただし、それぞれのご依頼者のプライバシーやその他公開できない情報などもありますので、ご依頼者が特定できるような情報は掲載していません。
京都の大学研究室のホームページリニューアルをご希望の方
京都の大学研究室のホームページリニューアルをご希望の方は、ホームページリニューアルのページをご覧ください。
ホームページリニューアルサービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページリニューアル作業とリニューアル公開後1年間のサポートが含まれています。リニューアル作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。
ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、ライトプラン。
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、スタンダードプラン。
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、プレミアムプラン。
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。
京都の大学研究室のホームページ制作をご希望の方
京都の大学研究室のホームページ制作をご希望の方は、勝てるホームページ制作のページをご覧ください。
ホームページ制作サービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページ制作作業とリニューアル公開後1年間のサポートが含まれています。制作作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。
ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、Sプラン。
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、Mプラン。
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、Lプラン。
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。
コメントを残す