本稿は、大阪府の「大阪起業家グローイングアップ補助金」を活用して、自社のホームページ制作・リニューアルや、ウェブ広告の出稿を検討されている事業者様向けの完全ガイドです。
大阪府が提供するこの補助金は、将来の大阪経済を担う有望な起業家を支援し、その成長を加速させることを目的としています。デジタル化が事業成長の鍵を握る現代において、戦略的なウェブサイトの構築や効果的なオンライン広告は不可欠です。この補助金を最大限に活用することで、事業者は自己資金の負担を大幅に軽減しつつ、質の高いウェブ戦略を展開することが可能になります。
しかし、補助金の申請と活用は、その制度の理解から始まります。交付要綱や関連規則には専門的な用語が多く、手続きも複雑に見えるかもしれません。どの経費が対象で、どのような手続きを踏めばよいのか、そして採択後にはどのような義務が発生するのか。これらの点を正確に把握しないまま進めてしまうと、せっかくの機会を逃したり、後々トラブルになったりする可能性もあります。
そこで、本ガイドでは、添付の「大阪起業家グローイングアップ補助金交付要綱」および「大阪府補助金交付規則」を徹底的に読み解き、特にホームページ制作やウェブ広告への活用という観点から、以下の内容を詳細かつ具体的に解説していきます。
- 補助金の基本概要:制度の目的と全体像を把握します。
- 【最重要】補助対象経費の徹底解説:ホームページ制作費、ウェブ広告費が補助対象となる根拠を明確にし、どこまでが対象範囲となるかを深掘りします。
- 補助対象とならない経費:申請で見落としがちな対象外経費を学び、計画の精度を高めます。
- 申請資格の全貌:誰がこの補助金を申請できるのか、その条件を詳しく確認します。
- 補助金額と期間:具体的にいくら、どのくらいの期間、支援を受けられるのかを計算例とともに解説します。
- 申請から交付までの完全ロードマップ:複雑な手続きをステップバイステップで追い、具体的なアクションプランを提示します。
- 採択後の義務とペナルティ:補助金を受け取った後に発生する重要な義務と、違反した場合のリスクを理解します。
- 他の補助金との併用:複数の補助金を検討している場合の注意点を解説します。
- 補助金活用を成功させるための鉄則:これまでの内容を総括し、採択を勝ち取るためのポイントをまとめます。
このガイドが、皆様の事業を飛躍させるための一助となることを心から願っています。
もくじ
- 1 1. 補助金の基本概要:制度の目的と全体像
- 2 2. 【最重要】補助対象経費の徹底解説:ホームページ制作・ウェブ広告は対象か?
- 3 3. 補助対象とならない経費:注意すべき落とし穴
- 4 4. 申請資格の全貌:誰が申請できるのか?
- 5 5. 補助金額と期間:いくら、いつまで貰えるのか?
- 6 6. 申請から交付までの完全ロードマップ
- 7 7. 採択後の義務とペナルティ:知らないでは済まされない重要事項
- 8 8. 他の補助金との併用について
- 9 9. 補助金活用を成功させるための鉄則
- 10 補助金関連記事
- 11 ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例
- 12 大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したホームページのリニューアルをご希望の方
- 13 大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したサイト運営サポートをご希望の方
- 14 大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したECサイトやホームページ制作をご希望の方
1. 補助金の基本概要:制度の目的と全体像
まず、この補助金制度の根幹を理解することから始めましょう。
制度の趣旨(要綱 第1条)
本補助金は、単なる資金援助ではありません。その根底には、「将来の大阪経済を担う有望な起業家に対し、その成長を着実に支援する」という明確な目的があります。注目すべきは、補助金の対象者が「公益財団法人大阪産業局が大阪府中小企業支援交付金交付要綱に基づき実施するビジネスプランコンテストの優秀提案者」とされている点です。
これは、単に「起業した」という事実だけでなく、その事業計画(ビジネスプラン)が専門家によって高く評価され、将来性や成長性が有望であると認められた事業者を選抜して集中的に支援するという、大阪府の戦略的な意図の表れです。したがって、申請にあたっては、自身の事業がいかに大阪経済の未来に貢献できるかを、ビジネスプランコンテストで示した情熱と論理性を以て、改めてアピールする姿勢が重要となります。
制度の根拠法規
本補助金の運用は、主に以下の2つの文書に基づいています。
- 大阪起業家グローイングアップ補助金交付要綱(以下、本稿では「要綱」と呼びます):本補助金に特化した具体的なルールを定めたもの。
- 大阪府補助金交付規則(昭和45年大阪府規則第85号)(以下、本稿では「規則」と呼びます):大阪府が交付する全ての補助金に共通する、より上位の基本ルールを定めたもの。
要綱は規則を具体化する位置づけにあり、両者は一体として解釈する必要があります。要綱に書かれていない事項は、規則の規定が適用されます。本ガイドでは、両方の文書を横断的に参照し、必要な情報を網羅的に解説します。
2. 【最重要】補助対象経費の徹底解説:ホームページ制作・ウェブ広告は対象か?
事業者様にとって最も関心の高い「何に使えるのか」という点について、添付資料の別表「経費区分」を基に徹底的に分析します。結論から言えば、ホームページ制作、リニューアル、そしてウェブ広告に関する費用の多くは、本補助金の対象経費として認められる可能性が非常に高いです。
根拠条文(要綱 第2条第2号)
補助金の対象となる経費(以下「補助対象経費」という。)は、別表に掲げる創業等に要する経費であって、知事が必要かつ適当と認める経費とする。ただし、消費税及び地方消費税を除く。
この条文から、以下の2つの大原則が読み取れます。
- 経費が対象になるかどうかは、まず「別表」に記載されているかどうかが判断基準となる。
- 全ての経費は、税抜価格で計算する必要がある。
それでは、別表の内容をホームページ制作とウェブ広告の観点から具体的に見ていきましょう。
ホームページ制作・リニューアルに関連する経費区分
別表には、ウェブサイト関連の費用を直接的にカバーする項目が複数存在します。
- 広告宣伝費
- 内容(例示):印刷製本費、展示会参加費、ホームページ作成費
- 【解説】:この項目が最も直接的な根拠となります。「ホームページ作成費」と明記されているため、新規にウェブサイトを立ち上げる際の費用(デザイン費、コーディング費、コンテンツ作成費など)が対象となることは明白です。リニューアルについても、既存サイトの「改良」や新規コンテンツの「作成」と見なされ、この区分で認められる可能性が高いでしょう。
- 外注費・委託費・技術コンサルタント料
- 内容(例示):試供品の製作委託、ウェブ・コンテンツ制作の経費
- 【解説】:「ウェブ・コンテンツ制作の経費」という記述は非常に強力です。これは、単なるサイトの箱作りだけでなく、サイト内に掲載する記事、ブログ、導入事例、動画などのコンテンツを外部のライターや制作会社に依頼した場合の費用も対象となることを示唆しています。SEO対策を目的としたコンテンツマーケティングや、魅力的な製品紹介ページの作成などを検討している事業者にとっては、非常に活用しやすい項目です。
- 実験費・研究開発費
- 内容(例示):システム開発、新商品研究開発費、試作品製作・改良費、ブランディング・デザイン費
- 【解説】:「ブランディング・デザイン費」という項目は、単なる制作作業にとどまらない、より上流の工程も対象となりうることを示しています。例えば、ホームページ制作に先立ち、事業のブランドコンセプトを再定義したり、ロゴマークを刷新したり、ウェブサイト全体のデザインガイドラインを策定したりする際に、外部のデザイナーやコンサルタントに支払う費用が該当する可能性があります。質の高いウェブサイトは一貫したブランディングの上に成り立つため、この項目を意識することで、より戦略的なサイト構築が可能になります。
ウェブ広告(オンライン広告)に関連する経費区分
次に、Google広告やSNS広告といったウェブ広告の出稿費用についてです。
- 広告宣伝費
- 内容(例示):印刷製本費、展示会参加費、ホームページ作成費
- 【解説】:別表の例示には「ウェブ広告費」という直接的な文言はありません。しかし、「広告宣伝費」という経費区分は、その名の通り、製品やサービスを広く知らしめるための費用全般を指すのが一般的です。現代のマーケティング活動において、ウェブ広告が広告宣伝活動の中核をなすことは論を俟ちません。
- したがって、リスティング広告、SNS広告(Facebook, Instagram, Xなど)、ディスプレイ広告、動画広告などの運用費(広告媒体に支払う実費)や、広告代理店に支払う運用代行手数料は、「広告宣伝費」として認められる蓋然性が極めて高いと考えられます。申請の際には、「補助対象経費の支出計画書」において、これらの費用が事業の認知度向上や顧客獲得にどのように貢献するのかを具体的に説明することが重要です。
- 調査研究費
- 内容(例示):市場動向調査費、仕入先調査費、テストマーケティング費
- 【解説】:「テストマーケティング費」という項目も活用できます。例えば、本格的な広告展開の前に、特定のターゲット層や広告クリエイティブの効果を検証するために、少額のウェブ広告を出稿してA/Bテストを行うようなケースです。このような試験的な取り組みにかかる費用は、この区分で申請することで、より説得力を持たせることができるでしょう。
【まとめ】補助対象となる可能性のあるウェブ関連費用リスト
- ホームページ新規制作費(企画・設計費、デザイン費、コーディング費、CMS導入費など)
- ホームページリニューアル費(既存サイトの改修、機能追加、デザイン変更など)
- ウェブコンテンツ制作費(記事作成、写真撮影、動画制作、イラスト作成などの外注費)
- ブランディング・デザイン費(ロゴ制作、ブランドガイドライン策定など)
- ウェブ広告出稿費(Google, Yahoo!, Facebook, Instagram, X, LinkedIn, TikTokなど媒体に支払う費用)
- 広告運用代行手数料(広告代理店やフリーランスに支払う手数料)
- SEOコンサルティング費用
- テストマーケティング費用(効果検証のための小規模な広告出稿など)
- サーバー・ドメイン費用:これらは「通信費」や「諸経費」として認められる可能性がありますが、金額としては少額になることが多いでしょう。
重要な注意点:消費税
前述の通り、これらすべての経費は消費税および地方消費税を除いた税抜金額で計上する必要があります。見積書や請求書を取り扱う際には、必ず税抜価格を確認してください。
3. 補助対象とならない経費:注意すべき落とし穴
補助金の活用を考える上で、対象となる経費を把握するのと同じくらい、「対象とならない経費」を正確に理解しておくことが重要です。これを怠ると、計画全体の予算が狂ったり、最悪の場合、不正受給と見なされたりするリスクがあります。
要綱の別表下部に「※補助金の対象とならない経費(主なもの)」として明記されている項目を、ウェブ活用と関連付けながら解説します。
- 人件費のうち、代表者及び役員の人件費(法人の場合)、本人及び個人事業主と生計を一にする家族の人件費(個人事業主の場合)
- 【解説】:これは非常に重要なポイントです。例えば、社長自身がホームページを制作した場合や、ウェブ広告を運用した場合、その作業にかかった時間を見積もって人件費として計上することはできません。 あくまで外部の事業者への「外注費」や「委託費」が対象の基本となります。ただし、別表には「補助員人件費(営業等従業員、増加業務アルバイト等雇用)」という項目もあります。これは、代表者や役員、生計を共にする家族以外の従業員を、この補助事業(例:ウェブサイトのコンテンツ更新業務)のために新たに雇用した場合などは対象になる可能性があることを示していますが、ウェブ制作や広告運用を外部の専門家に依頼するケースでは、この項目はあまり関係ないでしょう。
- 租税公課(消費税及び地方消費税、税金や官公署へ支払う手数料、使用料等)
- 【解説】:前述の通り、消費税は対象外です。その他、収入印紙代なども対象外となります。
- 借入金の返済(支払利息は、補助事業に必要と認められる場合のみ対象)
- 【解説】:ウェブサイト制作のために金融機関から融資を受けた場合、その元本の返済額は対象外です。利息については対象となる可能性がありますが、手続きが煩雑になる可能性があるため、基本的には自己資金か、補助金交付後の支払いを想定するのが無難です。
- 賃借不動産の保証金・敷金(ただし、敷引特約をした敷引きは補助対象)
- 【解説】:ウェブ関連費用とは直接関係ありませんが、事務所経費を計上する際の注意点です。
- 会食・接待にかかる費用
- 【解説】:例えば、ホームページ制作会社の担当者との打ち合わせで発生した飲食代などは、当然ながら対象外です。
- 不動産の購入
- 【解説】:直接関係ありません。
- 社会通念上、公的補助金として交付することが不適切と判断される経費
- 【解説】:これは非常に広範な規定です。例えば、相場と比べて著しく高額な見積もり、個人的な趣味の範囲と見なされるようなウェブサイト、事業との関連性が薄いコンテンツ制作などは、不適切と判断される可能性があります。公金を使わせていただくという意識を持ち、事業計画との整合性が取れた、妥当性のある経費計画を立てることが不可欠です。
4. 申請資格の全貌:誰が申請できるのか?
この補助金を申請するには、事業内容だけでなく、事業者自身が特定の要件を満たしている必要があります。
補助事業者の要件(要綱 第3条)
申請者は、以下の要件を全て満たす必要があります。
- ビジネスプランコンテストの優秀提案者であること。
- これが大前提です。公益財団法人大阪産業局が実施する特定のビジネスプランコンテストで「優秀提案者」として選ばれていることが必須となります。どのコンテストが対象となるか等は、大阪府の最新の公募情報を必ず確認してください。
- 大阪府内の事業者又は大阪府内で起業しようとする者であること。
- 既に府内で事業を営んでいる場合はその事業所が、これから起業する場合はその予定地が大阪府内である必要があります。
欠格要件(規則 第2条第2号)
さらに、上記の要件を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は「補助事業者」となることができず、申請は認められません。これは「大阪府補助金交付規則」に定められた、府の補助金に共通する重要なルールです。
- イ.暴力団員又は暴力団密接関係者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律や大阪府暴力団排除条例に規定される、暴力団、暴力団員、暴力団密接関係者に該当する場合は対象外です。申請時には「暴力団等審査情報(様式第1-4号)」の提出が求められ、府が警察に照会を行います。
- ロ.刑罰による制限
- 法人の場合は罰金の刑、個人の場合は禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から1年を経過しない者。
- 例えば、法人が何らかの法律違反で罰金刑を受け、その罰金を納付した日から1年以内は申請できません。
- ハ.公正取引委員会からの命令による制限
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)に違反し、公正取引委員会から排除措置命令または納付命令を受け、その措置や納付が完了した日から1年を経過しない者。
これらの欠格要件に該当しないことを、申請者は「要件確認申立書(様式第1-3号)」を提出することで誓約する必要があります。申請後にこれらの事実に該当することが判明した場合、交付決定が取り消される極めて重い事由となります(詳細は後述)。
5. 補助金額と期間:いくら、いつまで貰えるのか?
支援の規模を具体的に把握しましょう。
補助率(要綱 第2条第3号)
補助金の額は、補助対象経費の2分の1以内とする。
これは、かかった経費(税抜)の半額までが補助されるという意味です。
限度額(要綱 第2条第4号)
補助金の年度毎の限度額は100万円とする。
1年間で受け取れる補助金の上限は100万円です。
補助期間(要綱 第2条第5号)
補助金の交付を受けることができる期間は、3年度を限度とする。ただし、令和元年度以降に交付決定を受けた補助事業者は、1年度を限度とする。
この規定は非常に重要です。ご自身がいつ交付決定を受けるかによって、支援を受けられるトータルの期間が大きく異なります。近年の制度変更により、現在は原則として1年度限りの支援となっている点に注意が必要です。
【具体例でシミュレーション】
あなたの会社が、ウェブ戦略強化のために以下の投資を計画しているとします(全て税抜価格)。
- 計画A:ホームページリニューアル
- 費用:150万円
- 補助対象経費:150万円
- 計算:150万円 × 1/2 = 75万円
- 限度額100万円以内なので、交付される補助金は75万円となります。自己負担は75万円です。
- 計画B:ウェブ広告の年間出稿
- 費用:80万円
- 補助対象経費:80万円
- 計算:80万円 × 1/2 = 40万円
- 限度額100万円以内なので、交付される補助金は40万円となります。自己負担は40万円です。
- 計画C:大規模なシステム開発と広告展開
- 費用:300万円(ウェブシステム開発200万円+広告費100万円)
- 補助対象経費:300万円
- 計算:300万円 × 1/2 = 150万円
- この場合、計算上の補助額は150万円ですが、年度の限度額100万円が適用されます。したがって、交付される補助金は100万円となります。自己負担は200万円です。
6. 申請から交付までの完全ロードマップ
ここからは、実際に補助金を手にするまでの具体的な手続きの流れを、事業者の視点からステップ・バイ・ステップで解説します。
【Step 1】交付申請
すべての始まりは申請書の提出です。
- 時期:大阪府が定める公募期間内に提出する必要があります。期間は限られているため、常に公式サイトの情報をチェックし、準備を前倒しで進めることが肝心です。
- 提出書類(要綱 第4条):
- 補助金交付申請書(様式第1号):申請の意思を正式に表明する書類。
- 申請者の概要(別紙1):会社の基本情報を記載。
- 補助対象経費の支出計画書(別紙2):【最重要書類】 ホームページ制作費、広告費など、申請する経費の内訳、金額、算出根拠、発注予定先などを詳細に記載します。なぜその経費が必要なのか、事業計画とどう連携しているのかを明確に説明する欄も含まれることが多く、審査の核となる部分です。制作会社等から取得した見積書の写しを添付することが強く推奨されます。
- 事業計画書(ビジネスプランコンテスト応募書類):この補助金の原点となる書類です。今回の経費計画が、このビジネスプランのどの部分を実現するためのものなのか、一貫性をもって説明する必要があります。
- 法人/個人の証明書類:
- 法人:定款、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 個人:開業申告書または開業届出書、住民票
- 有限責任事業組合:組合契約書、登記事項証明書
- 企業概要や事業内容の分かる書類:既存の会社案内、製品カタログ、パンフレットなど。
- 要件確認申立書(様式第1-3号):前述の欠格要件に該当しないことを誓約する書類。
- 暴力団等審査情報(様式第1-4号):府が警察へ照会するための同意書。
- その他知事が必要と認める書類:追加で指示される可能性があります。
【Step 2】交付決定と条件の確認
提出された書類は、大阪府の担当者によって審査されます。
- 審査(要綱 第5条):事業内容や経費計画の妥当性、事業の成長性などが総合的に審査されます。
- 交付決定通知(規則 第7条):審査の結果、適正と認められると「補助金交付決定通知書」が送付されます。この通知を受け取って、初めて正式に補助事業を開始できます。(注意:交付決定前に発注・契約した経費は原則として補助対象外となります。フライングは厳禁です。)
- 交付の条件(規則 第6条):交付決定には、通常、いくつかの「条件」が付されます。これは補助金を適正に執行するための重要なルールであり、必ず遵守しなければなりません。主な条件は以下の通りです。
- 経費配分の変更:計画した経費の内訳を(軽微な変更を除き)変更する場合は、事前に知事の承認が必要。
- 事業内容の変更:事業の目的や内容を(軽微な変更を除き)変更する場合も、承認が必要。
- 事業の中止・廃止:事業をやめる場合も、承認が必要。
- 遅延・遂行困難の報告:事業が計画通りに進まない場合は、速やかに報告し、指示を受ける義務がある。
【Step 3】事業の実施
交付決定通知を受けたら、いよいよ計画していたホームページ制作や広告出稿に着手します。
- 発注・契約:見積もりを取っていた制作会社や広告代理店と正式に契約します。
- 事業の遂行:計画に沿って事業を進めます。
- 【超重要】証拠書類の管理:この段階で発生する全ての書類は、後の実績報告と精算、さらにはその後の会計検査であなたの正当性を証明する唯一の手段です。以下の書類は絶対に保管・整理してください。
- 発注の証拠:発注書、契約書
- 納品の証拠:納品書、検収書、完成したホームページのURLやスクリーンショット、広告の出稿レポート
- 支払の証拠:請求書、銀行の振込明細書または領収書
【Step 4】状況報告(該当する場合)
- 報告義務(要綱 第12条、規則 第10条):要綱では、9月30日現在の事業の進捗状況について、10月31日までに「補助事業状況報告書(様式第7号)」を提出することが定められています。ただし、知事が認める場合は省略できるとされているため、交付決定時の指示に従ってください。
【Step 5】実績報告
事業が完了したら、その成果を府に報告します。これが補助金額を確定させるための最も重要な手続きです。
- 提出時期(要綱 第13条):事業が完了した日(例:ホームページが納品された日)の翌日から起算して30日以内、または当該会計年度の翌年度4月30日のいずれか早い日までに提出します。
- 提出書類:
- 補助事業実績報告書(様式第8号):事業が計画通りに完了したことを報告する書類。
- 証拠書類の写し:Step 3で保管した、発注・納品・支払いを証明する全ての書類のコピーを添付します。
- 経営目標の達成(要綱 第13条第2項):要綱第9条で定められた経営目標を達成できなかった場合、証拠書類の提出を省略できる、という趣旨の記述がありますが、これは目標未達の場合の報告手続きに関するものであり、基本的には全ての証拠書類を揃えて報告するのが原則です。
【Step 6】補助金額の確定と請求
実績報告書が受理されると、府は最終的な補助金額を確定します。
- 額の確定(規則 第13条):府は、実績報告書と証拠書類を審査し、事業の成果が交付決定の内容と条件に適合しているかを確認します。問題がなければ、交付すべき補助金の額を確定し、「補助金交付額確定通知書」を送付します。
- 是正措置(規則 第14条):もし報告内容に不備や計画との相違があれば、府は是正のための措置を命じることがあります。
- 補助金の請求(要綱 第15条):額の確定通知を受け取ったら、その日の翌日から起算して10日以内に「補助金交付請求書(様式第10号)」を提出します。
【Step 7】補助金の交付(入金)
請求書に基づき、指定した銀行口座に補助金が振り込まれます。これで一連のプロセスは完了です。
概算払いについて(要綱 第15条)
最初の年度に限り、事業完了前に補助金の一部または全部を「概算払い(前払い)」で受け取れる可能性があります。希望する場合は、交付決定後10日以内に「補助金概算払交付請求書(様式第10号)」を提出します。これが認められると、資金繰りの負担を軽減できます。
7. 採択後の義務とペナルティ:知らないでは済まされない重要事項
補助金は「もらって終わり」ではありません。交付を受けた事業者には、公金を受領した者としての重い責任と義務が伴います。これらを軽視すると、厳しいペナルティが科される可能性があります。
① 善良な管理者としての注意義務(規則 第9条)
補助事業者は、法令や交付決定の内容、条件に従い、「善良な管理者の注意をもって」事業を行わなければなりません。これは、一般的にその職業や社会的地位にある人として、客観的に要求されるレベルの注意を払う義務がある、という意味です。漫然と事業を進めるのではなく、常に誠実な対応が求められます。
② 財産処分の制限(要綱 第16条、規則 第19条)
補助金で購入した財産には、一定期間、処分の制限がかかります。
- 対象:1件あたりの取得価格が50万円以上の機械、器具、その他の財産。
- 制限内容:知事の承認を受けずに、補助金の目的に反して使用、譲渡、交換、貸付、担保提供をしてはならない。
- 制限期間:減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15条)に定められた期間。
- ウェブサイトの場合:ソフトウェアとして扱われるウェブサイトやシステムで、取得価格が50万円以上の場合、この規定の対象となる可能性があります。将来的にサイトを売却したり、事業譲渡したりする際には、この制限を念頭に置き、必要であれば府に承認申請を行う必要があります。
③ 経理書類の保管義務(要綱 第17条)
補助事業に関わる全ての収入・支出の事実を明確にした証拠書類は、事業が完了した日の属する会計年度の終了後10年間、保管しなければなりません。これは非常に長い期間です。電子データと紙の両方で、厳重に管理する体制を整えてください。
④ 交付決定の取消し(要綱 第18条、規則 第15条)
最も重いペナルティが「交付決定の取消し」です。以下のいずれかに該当すると、府は交付決定の全部または一部を取り消すことができます。
- 偽りその他不正の手段により補助金の交付を受けたとき。(例:架空の請求書を作成した)
- 補助事業者に該当しないことが判明したとき。(例:申請後に暴力団関係者であることが判明した)
- 報告書の提出を怠ったとき。
- 補助金を他の用途に使用したとき。(例:ホームページ制作費として申請したお金を運転資金に流用した)
- その他、法令や交付決定の内容、条件に違反したとき。
⑤ 補助金の返還(規則 第16条)
交付決定が取り消された場合、既に補助金が交付されていれば、その取消しに係る部分について、府が定める期限内に返還しなければなりません。
⑥ 加算金及び延滞金(規則 第17条)
返還命令には、さらに金銭的なペナルティが加わります。
- 加算金:不正な受給など、悪質な理由で取消し・返還となった場合、補助金を受け取った日から返還の日までの日数に応じ、返還額に対して年率10.95%の加算金を支払わなければなりません。
- 延滞金:定められた期限までに返還しなかった場合、その遅れた日数に応じ、未納付額に対して年率10.95%の延滞金を支払わなければなりません。
これは非常に高い利率であり、事業の存続に影響を与えかねないほどの負担となりえます。不正やルール違反は絶対に避けなければなりません。
8. 他の補助金との併用について
事業者は、国のIT導入補助金や、他の自治体の創業支援補助金など、複数の補助金の活用を検討することもあるでしょう。その際の注意点が、要綱の別表の末尾に記載されています。
※本補助事業期間内に、他の補助金を当該経費の一部に充当した場合は、他の補助金の補助対象経費を控除した額を補助対象経費とする。
これは、同一の経費に対して、複数の補助金から二重に支援を受けることはできないという原則を示しています。
例えば、200万円(税抜)のホームページ制作に対して、
- 国のA補助金から50万円の交付を受けた
- 本補助金(大阪起業家グローイングアップ補助金)も申請する
この場合、本補助金の補助対象となる経費は、
200万円(総額) – 50万円(A補助金で補填された額) = 150万円
となります。
そして、この150万円に対して、本補助金の補助率(1/2)が適用されるため、
150万円 × 1/2 = 75万円
が、本補助金から交付される額となります。
複数の補助金を活用する際は、どの経費にどの補助金を充当するのかを明確に整理し、正直に申告する必要があります。
9. 補助金活用を成功させるための鉄則
最後に、この補助金を活用して事業を成長軌道に乗せるための、実践的なポイントをまとめます。
- 【物語を描く】事業計画との一貫性を徹底せよ
この補助金はビジネスプランコンテストの優秀者が対象です。あなたの事業計画こそが全ての出発点です。今回申請するホームページ制作やウェブ広告が、その事業計画のどのフェーズを実行し、どのように売上や成長に貢献するのか、という「物語」を明確に描きましょう。申請書類は、その物語を審査員に伝えるための脚本です。 - 【準備が9割】公募開始前から動け
公募期間は短いことが常です。公募が始まってから要綱を読み始め、慌てて見積もりを取るようでは、質の高い申請書は作れません。過去の公募情報を参考に、事前に要綱を読み込み、複数の制作会社から相見積もりを取得し、事業計画と経費計画を練り上げておきましょう。 - 【神は細部に宿る】書類作成は正確無比に
様式や必要書類は完璧に揃え、誤字脱字や計算ミスがないように何度も確認してください。特に「補助対象経費の支出計画書」は、審査員が最も注視する部分です。「なぜこの金額なのか」「なぜこの業者なのか」「それによって何が達成されるのか」を、誰が読んでも納得できるよう、具体的かつ論理的に記述してください。 - 【証拠が命】すべての記録を残せ
見積書、契約書、発注書、納品書、請求書、振込明細、そして完成した成果物。事業実施における全てのプロセスを文書とデータで記録し、完璧に整理・保管してください。これは、実績報告のためだけでなく、将来の会計検査からあなた自身を守るための最大の防御策です。 - 【ルールを守る】誠実な事業遂行を
交付決定は、府との「契約」です。交付条件を遵守し、計画に変更が生じた場合は、自己判断せずに速やかに府の担当者に報告・相談してください。「これくらいなら大丈夫だろう」という安易な考えが、後に大きな問題に発展します。公金を使わせていただいているという高い倫理観を持ち続けましょう。 - 【臆せず聞く】不明点は必ず担当課へ
要綱や規則の解釈で少しでも不明な点、不安な点があれば、必ず大阪府の担当部署に電話やメールで問い合わせてください。担当者は、補助金を適正に活用してもらうためのパートナーです。丁寧な質問には、きっと真摯に答えてくれるはずです。
この「大阪起業家グローイングアップ補助金」は、将来性ある事業者が初期の成長資金というハードルを乗り越え、大きく飛躍するための、またとないチャンスです。本ガイドを参考に、綿密な準備と誠実な手続きをもって、ぜひこの貴重な機会を掴み取ってください。皆様の事業の成功を心よりお祈り申し上げます。
公式サイト
大阪起業家グローイングアップ補助金の概要/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したホームページ制作やリニューアル、サイト運営についてのご相談、事業計画書のブラッシュアップをはじめとするサポートはお気軽に下記より。
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ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例
ホームページ制作やリニューアル、サイト運営サポートの事例を随時ご紹介させていただきます。事例は、基本的に実名掲載の実績とは異なり、実際の要望や予算、ボリュームといった具体的な内容を紹介させていただきます。
少しでもイメージしていただけるよう実際の事例を紹介していこうと思います。
ただし、それぞれのご依頼者のプライバシーやその他公開できない情報などもありますので、ご依頼者が特定できるような情報は掲載していません。
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したホームページのリニューアルをご希望の方
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したホームページのリニューアルをご希望の方は、ホームページリニューアルのページをご覧ください。
ホームページリニューアルサービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページリニューアル作業と公開後1年間のサポートが含まれています。制作作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。
ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、ライトプラン。
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、スタンダードプラン。
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、プレミアムプラン。
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したサイト運営サポートをご希望の方
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したサイト運営サポートをご希望の方は、サイト運営サポートのページをご覧ください。
サイト運営サポートサービスでは3つのプランをお選びいただけます。
ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、プランA。
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、プランB。
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、プランC。
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したECサイトやホームページ制作をご希望の方
大阪起業家グローイングアップ補助金を活用したECサイトやホームページ制作をご希望の方は、勝てるホームページ制作のページをご覧ください。
ホームページ制作サービスでは3つのプランをお選びいただけます。
すべてのプランにはホームページ制作作業とリニューアル公開後1年間のサポートが含まれています。制作作業の内容は同じになっていますので、希望するサポート内容からプランをお選びください。
ホームページ運営者としての安心と少しのサポートを求めるなら、Sプラン。
ホームページの積極的な運営とプロによる提案を必要とするなら、Mプラン。
ホームページを本気で効果あるものにしたいと考えるのであれば、Lプラン。
3つのプランの中にピンとくるものが無ければアレンジプラン。
アレンジプランはご要望やご予算をお伺いしてご提案させていただきますので、まずはご相談ください。























