SSL化を怠る設計事務所が直面する潜在リスクと損害の真実――今すぐ見直すべき重要なセキュリティ対策!

近年、インターネットを介した情報のやり取りは、設計事務所にとっても日常的なものとなっています。クライアントに対する図面データの送受信、メールでの打ち合わせ内容のやり取り、さらにウェブサイトを通じた仕事の紹介や新規顧客の獲得など、さまざまな場面でオンラインの力を活用していることでしょう。その一方で、セキュリティ対策が不十分なウェブサイトやオンラインでの情報交換は、設計事務所が思わぬリスクにさらされる原因にもなります。とりわけ、近年ではSSL化(HTTPS化)がウェブサイト運用の必須要素となりつつあるにもかかわらず、それを怠ることで重大な問題を引き起こしかねません。

ここでは、SSL化を取り入れていない設計事務所がどのようなリスクと損害を被る可能性があるのかを、ウェブセキュリティの観点から丁寧に解説してまいります。クライアントの信頼を損ねるだけでなく、事務所自体の存続にも影響を及ぼしかねないポイントを紐解きながら、すぐに取り組むべき具体的な対策についても触れていきます。今後の事務所運営を安全かつ円滑に進めるためにも、SSL化の重要性をしっかりと理解していただければ幸いです。

もくじ

SSL化とは何か、そしてなぜ設計事務所にとって必要なのか

SSLとはどのような仕組みか

まず、SSL化の話題に入る前に、「SSL(Secure Sockets Layer)」とは何かを簡単に押さえましょう。SSLとは、インターネット上でデータを暗号化して送受信するためのプロトコルです。ウェブサイトがSSL化されているかどうかは、アドレスバーを見れば一目瞭然で、“https://”という表記があれば、そのサイトはSSL(厳密にはTLSも含む)を導入していると判断できます。また、ブラウザ上に鍵マークのアイコンが表示されることも特徴です。

SSL化を行うメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。

  • 通信の盗聴や改ざんを防止できる
    第三者が通信内容を盗み見ることや、データを途中で書き換えることが難しくなります。
  • サイト利用者の信頼が向上する
    ウェブサイトのURLがhttpsから始まり、ブラウザで「保護された通信」と表示されることで、安全性が視覚的に伝わりやすくなります。
  • 検索エンジンでの評価(SEO)も改善が期待できる
    Googleをはじめ、多くの検索エンジンがhttps化を推奨しており、セキュリティに配慮したサイトを優遇する傾向があります。

設計事務所ならではの重要性

設計事務所が扱う情報は、クライアントの個人情報や建築計画の詳細、未公開のプロジェクトデータなど、外部に漏洩してはならないセンシティブな情報が数多く含まれています。さらに、プロジェクトの進捗やアイデアをやり取りするメール、請求書や契約書などのファイル交換など、ビジネス上での機密データを日々やりとりしている可能性が高いでしょう。

こうした情報が、SSL化されていないウェブサイトやサーバーを経由して送受信されている場合、通信を傍受されたり、データを改ざんされたりするリスクが格段に高まります。もし外部にプロジェクト情報が漏れれば、クライアントとの信頼関係が損なわれるだけでなく、設計事務所のブランドイメージにも大きなダメージが及ぶことは明白です。

そのため、設計事務所ほどSSL化の導入が急務といえます。ウェブサイトの問い合わせフォームや施工事例の掲載ページなど、潜在顧客との接点となる部分が安全でなければ、「この事務所はセキュリティに無頓着ではないか」という不安を与える結果になりかねません。

SSL化を怠ると、設計事務所にどのようなリスクが及ぶのか

クライアントとの信頼関係の崩壊

設計事務所がSSL化を怠った場合、最も大きなリスクの一つがクライアントとの信頼関係の破壊です。例えば、問い合わせフォームや資料請求フォームで個人情報を入力する際、URLが「http://」で始まると、今では多くのブラウザが「保護されていない通信」と警告を表示するようになっています。その結果、サイトを訪れたユーザーや潜在的なクライアントが「ここで情報を送信して大丈夫だろうか」と不安を抱き、フォームの利用を中断してしまうケースも少なくありません。

さらに、建築やデザインの提案段階でクライアントが機密資料をアップロードするケースなどで、SSL化されていない環境を通じてデータを共有していると、第三者が簡単にそのデータにアクセスできるリスクが高まります。クライアントは自分の大切な情報が不正アクセスによって漏洩する恐れがあると感じた場合、ほかの設計事務所を選択する可能性が高くなるでしょう。セキュリティへの配慮不足は、ビジネスチャンスを逃す要因にもなるのです。

サイバー攻撃による情報漏洩

SSL化をしていないウェブサイトは、通信が平文のまま行われているため、通信を傍受されやすいという問題があります。万が一、サイバー攻撃やハッキングの標的になった場合、クライアントの個人情報、事務所の内部データ、プロジェクトの設計図面など、さまざまな機密情報が流出するリスクが高まります。たとえ大きな攻撃でなくても、悪意のある第三者が公共のWi-Fiなどを介して盗み見る可能性も捨てきれません。

設計事務所がデータ漏洩を起こした場合、その責任は小さくありません。顧客との契約に関する損害賠償問題や、社会的信用の失墜に直結し、一度失った信頼を取り戻すには多大な時間とコストが必要となります。さらに、マスコミやSNSなどで情報漏洩の事実が広まると、ほかの潜在顧客も離れていき、事務所の将来に深刻な悪影響を与えるでしょう。

偽サイトへの誘導・フィッシング詐欺のリスク

SSL化されていないサイトは、なりすましやフィッシング詐欺のリスクも高くなります。悪意のある第三者が偽のウェブサイトを作成し、本物のサイトにそっくりなデザインや文章をコピーすることで、ユーザーを騙してログイン情報やクレジットカード情報を盗むといった手口があります。もし設計事務所のサイトがこのような攻撃を受け、クライアントが誤って偽サイトを利用してしまえば、当然大きなトラブルが発生します。

「SSL証明書を導入しているサイトであれば必ず安全」というわけではないにしても、https化されたサイトと明確に違いがあるサイトは注意喚起が行いやすく、フィッシングサイトを判別しやすくなるメリットがあります。SSL化をしないままだと、エンドユーザーやクライアント側が「本当にこのサイトは公式なのかどうか」を判断しづらく、被害を防ぐことが難しくなるでしょう。

検索エンジンでの評価低下

大手検索エンジンのGoogleは、ウェブの安全性向上を目的として、積極的にHTTPS化を推奨しています。特に数年前からは、https化されていないサイトを「保護されていないサイト」として扱い、ユーザーに警告を表示したり、検索結果ページでの評価を下げたりする動きが顕著になってきました。設計事務所が自社ウェブサイトを集客の窓口として活用している場合、SSL化していないことによって検索順位が下がり、潜在顧客の流入機会を逸失するリスクが増大します。

一般ユーザーが検索結果一覧からサイトを訪れる際に、“保護されていない”というアラートが表示されると、それだけで不信感を抱いてしまう可能性も高まります。今では、ユーザーもセキュリティに対して敏感になっていますので、「SSL化されていない=危険なサイト」というイメージを与えてしまいかねません。結果的にアクセス数の減少や、エントリー率の低下につながると考えられます。

設計事務所が被る可能性のある具体的な損害

顧客データの漏洩と賠償責任

設計事務所が長年にわたって蓄積してきた顧客データやプロジェクト情報は、事務所にとってかけがえのない資産です。SSL化を怠り、これらの機密データが漏洩する事態になると、まず考えられるのが賠償責任です。特に、個人情報保護に厳しい現代においては、漏洩によって被害を被ったクライアントから損害賠償を求められるケースが増えています。

また、金銭的な賠償だけでなく、事務所の評判や信用失墜による間接的な損害も深刻です。新規のクライアント獲得が難しくなり、既存の顧客も他社へ流れてしまうなど、事業の継続が危ぶまれる事態に陥る可能性があります。たとえ大手設計事務所であっても、セキュリティトラブルによる信頼崩壊は甚大な打撃を受けるでしょう。

プロジェクトの中断や損失

大規模なセキュリティインシデントが発生すると、設計事務所はその対応に追われることになります。情報漏洩や攻撃が疑われる場合、内部システムの調査や復旧作業が必要になり、通常業務が滞る可能性が高いです。さらに、クライアントや取引先からの信用問題が発生すると、進行中のプロジェクトが一時停止したり、契約解除に至ったりするリスクも否定できません。

プロジェクトが中断すれば、設計事務所の収益に直接ダメージが及びます。着手金や進行段階での収益が途絶え、同時に復旧や調査にかかるコストが増大するため、経営全体への影響が避けられません。特に中小規模の設計事務所の場合、こうした突然の損失に耐えられないケースも多く、経営破綻の引き金となる恐れもあるのです。

事務所のブランドイメージの大幅な低下

設計事務所は、クライアントの要望を形にするクリエイティブな役割だけでなく、安全性や信頼性にも気を配る存在でなければなりません。建築物やインテリアの安全性や耐久性を重要視するのと同様に、ウェブセキュリティにおいても高い意識が求められています。しかし、SSL化という基本的な対策すら怠っているとなると、クライアントや業界関係者から「この事務所は基本的な安全対策もできていない」と見なされてしまいます。

一度失ったブランドイメージを回復するには、長期間にわたる信頼回復の取り組みが必要です。PR活動や広報戦略を見直すだけでなく、より高度なセキュリティ対策を実施したり、公の場で謝罪や説明を行ったりすることも考えられます。こうした負担は、組織にとって大きな痛手となるはずです。

SSL化が持つプラス効果と導入のメリット

顧客とのコミュニケーション安心感の向上

SSL化によりウェブサイトをhttps化すれば、通信が暗号化された状態でデータの送受信が行われるため、クライアントや見込み顧客が安心して問い合わせフォームや契約情報の入力を行えるようになります。特に、建築や内装の依頼を検討しているユーザーは、高額かつ重要な契約を視野に入れているケースが多いため、セキュリティ面での安心感が信頼獲得の大きな要素になるのです。

また、問い合わせフォームだけでなく、会員制のプラットフォームや資料ダウンロード機能などを設計事務所のサイトに組み込んでいる場合にも、SSL化による暗号化は欠かせません。ユーザーがパスワードや個人情報を入力する際に、ブラウザに鍵マークが表示されることで「ここなら安全だ」と感じる心理的な効果も期待できます。

検索エンジン評価の向上と集客効果

前述のとおり、Googleなどの検索エンジンは、HTTPS化されたサイトを優遇するアルゴリズムを採用しています。設計事務所のウェブサイトがSSL化されていれば、検索結果での順位向上が期待できるだけでなく、ユーザーからのクリック率も改善される可能性があります。さらに、「保護されていない通信」という警告表示が出なくなるため、検索結果から訪れたユーザーがサイトを離脱するリスクを減らせるでしょう。

設計事務所の場合、ウェブサイトを通じて集客する手段は非常に有効です。施工事例やデザインのポートフォリオを充実させることで、遠方からの相談や問い合わせを得る機会も増えます。SSL化を含めた基本的なセキュリティ対策を怠ることなく行うことで、サイト自体の信頼度が増し、ウェブからの見込み客獲得をより強固に推進できるはずです。

他社との差別化ポイントになる

設計事務所同士の競争は、デザイン力や実績、価格競争力だけでは決まらない時代になってきています。顧客が「この事務所なら情報管理も含め、安心して任せられる」と感じるかどうかが、発注先を決める大切な判断材料となる場合も増えてきました。つまり、セキュリティに配慮しきちんとSSL化されたサイトを運用している設計事務所は、それだけでユーザーに対して「信頼できる」という印象を与えることができます。

また、実際にクライアントとのやり取りがはじまった際にも、「情報管理体制が整っている」ことを具体的にアピールできれば、契約や打ち合わせがスムーズに進むでしょう。設計分野に限らず、セキュリティの重要性が世の中で叫ばれる今だからこそ、SSL化は他社と差別化を図るポイントとしても注目に値します。

SSL化を進めるうえで押さえておきたい実務的なステップ

現状のサイト運営環境を把握する

SSL化を導入する際、まずは事務所が現在利用しているサーバーやCMS(コンテンツ管理システム)を正確に把握することが大切です。どのホスティングサービスを使っているのか、ドメイン管理はどこで行っているのか、ウェブサイトはWordPressなどのCMSを利用しているのか、あるいは静的なHTMLファイルで運営しているのか、といった点を整理しましょう。これらを理解することで、導入手順や必要になるSSL証明書の種類を確認できます。

多くのレンタルサーバー会社では、無料で利用できるSSL証明書(たとえばLet’s Encryptなど)をサポートしているケースが増えています。比較的簡単な手順でhttps化が可能なため、管理画面やサポートページをチェックするとよいでしょう。

SSL証明書の取得と設定

SSL証明書には、無料のものから有料のものまで複数の種類があります。有料の証明書では、企業認証(OV)や拡張認証(EV)などを受けることで、より高い信用度やアドレスバーに社名が表示されるなど、サイト訪問者により明確な安心感を与えられるメリットがあります。設計事務所の規模や業務内容によっては、企業認証や拡張認証を検討する価値があるでしょう。

証明書を取得したら、サーバー側で証明書のインストールやウェブサイトの設定を行います。ほとんどの場合、ウェブサーバーソフトウェアの設定ファイルを編集し、「ポート443(HTTPS用)」での通信を有効化する形になります。さらに、トップページ以下のあらゆるページで「http://」へのアクセスがあった際、自動的に「https://」へリダイレクトされる設定も必要です。ここをきちんと行わないと、ユーザーがブックマークした古いURLにアクセスするとエラーになったり、保護されていない通信になったりする可能性があります。

mixed contentの解消

SSL化で意外と手間がかかるのが、mixed contentの解消です。mixed contentとは、ウェブページがhttpsで配信されていても、そのページ内に読み込まれる画像やスクリプト、スタイルシートが「http://」のリンクで書かれている状態を指します。mixed contentがあると、ブラウザが警告を表示したり、ページ全体が保護されていない通信として扱われたりしてしまうため、完全にSSL化された状態とは言えなくなります。

設計事務所のサイトでは、施工事例の画像や外部SNSのウィジェット、地図サービスなど、さまざまな外部リソースを読み込んでいる可能性があるでしょう。これらのURLをすべて「https://」に書き換えたり、HTTPS対応していない外部サービスの場合は代替手段を検討したりして、サイト全体が安全に表示されるようにする必要があります。

リダイレクトやSEO対策の再確認

SSL化を導入してサイト全体をhttps化した後は、リダイレクト設定とSEO対策を再確認しましょう。主に以下の点をチェックすると良いです。

  • リダイレクトの実装が正しく行われているか
    すべての旧URL(http://)が新URL(https://)へ301リダイレクトされているかをテストし、意図しないエラーや循環がないか確認します。
  • サイトマップやrobots.txtの更新
    サイトマップのURLを新しいhttps://のURLに書き換え、検索エンジンに再度送信します。また、robots.txtで特定のディレクトリやファイルをブロックしていないかをチェックしましょう。
  • Google Search ConsoleやGoogleアナリティクスの設定
    Search Consoleで新規プロパティとしてhttps://のURLを追加し、インデックスの状況を把握します。Googleアナリティクスでも、プロパティ設定やビュー設定でURLがhttpsになっているかを確認します。

これらのステップを踏むことで、SSL化後のサイトが正しく評価されるようになり、検索順位の維持・向上にもつながります。

設計事務所が知っておくべきSSL導入後の運用ポイント

証明書の定期更新と管理

無料・有料を問わず、SSL証明書には有効期限があります。一般的には1年または2年ごとに更新が必要であり、Let’s Encryptのような無料証明書は有効期限が数か月と短いケースもあります。自動更新の仕組みを導入している場合でも、トラブルで更新に失敗することがあるため、定期的な動作確認は欠かせません。

もし更新を忘れて期限が切れてしまうと、ユーザーがサイトを訪れたときに「このサイトのセキュリティ証明書は有効期限が切れています」といった厳しい警告が表示されます。訪問者は安全ではないと判断し、そのままサイトを離れてしまうリスクが非常に高まるため、証明書の管理を怠らないように注意しましょう。

サーバーやCMSのアップデート

SSL化が完了した後も、サーバー環境やCMS、プラグインなどに対して定期的なアップデートを行う必要があります。サーバーソフトウェアの脆弱性やCMSのセキュリティホールが発覚した場合、放置しておくとたとえサイトがSSL化されていても攻撃の踏み台になりかねません。設計事務所のサイトが長期間にわたって更新されず、古いバージョンのソフトウェアを使い続けている場合は、新規トラブルが起きるリスクも高まります。

定期的なセキュリティ監査

SSL化はウェブサイトのセキュリティを高める一手段ですが、これだけで万全というわけではありません。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、さまざまな攻撃手法が存在する中、総合的なセキュリティ監査が不可欠です。たとえば、以下のような項目を定期的に点検すると、より安全な運用が実現できます。

  • 不正アクセスや改ざんの痕跡チェック
    サーバーログを定期的に確認し、不審なアクセスパターンやエラーログがないかを監視します。
  • パスワードやユーザーアカウント管理の徹底
    管理者権限を持つアカウントのパスワードを定期的に変更し、権限分離を徹底することで、万が一の被害を最小限に抑えます。
  • データバックアップの確保
    サイトやデータベースのバックアップを定期的に取得し、万が一システム障害や改ざんが起きた際に迅速に復旧できる体制を整えます。

設計事務所はプロジェクトごとに多くのデータを扱うため、セキュリティ侵害による被害が大きくなりがちです。早めの対策と定期的な監査が、こうしたトラブルを未然に防ぐカギとなるでしょう。

SSL化導入に際して設計事務所が抱えがちな疑問と解決策

導入コストはどの程度かかるのか

導入コストについては、サーバーや使用するSSL証明書の種類によって異なります。無料の証明書を選択すれば、ほとんどコストをかけずに最低限のセキュリティ対策が可能です。有料の企業認証(OV)や拡張認証(EV)を選ぶ場合は、年間数万円程度の費用を想定しておくと良いでしょう。もっとも、セキュリティインシデントによる損害と比べれば、導入コストははるかに低額といえます。

さらに、専門のウェブ制作会社やエンジニアに依頼して導入を進める場合は、技術サポートや設定費用などが別途かかることも考慮すべきです。しかし、独自に設定を誤って運用するリスクを避けたい場合は、プロに任せるメリットは大きいでしょう。

古いブラウザや端末で閲覧できなくなるのではないか

SSL化すると、一部の非常に古いブラウザやOSではサイトを閲覧できなくなる可能性があります。ただし、これらは過去のバージョンであり、世界的にもごく一部のユーザーのみが対象となるケースです。セキュリティ上の理由から、各ブラウザやOSは最新のプロトコル(TLS 1.2や1.3など)に対応することが推奨されているため、設計事務所としては最新バージョンに合わせて運用するほうが安全かつ合理的です。

逆に、レガシーな環境に合わせすぎると、新しいブラウザでの利用者の安全性が下がるリスクも生まれます。結論としては、大多数のユーザーにとってはSSL化によるデメリットはほぼないと考えられますし、むしろセキュリティ向上の利点が圧倒的に大きいと言えます。

小規模事務所でも本当に必要なのか

設計事務所の規模にかかわらず、SSL化は今や必須のセキュリティ対策です。たとえスタッフ数が少なく、現時点で問い合わせが頻繁にあるわけではないとしても、将来的にビジネスを拡大する意図があるなら、はじめからSSL化を行っておくほうが後々の手間やリスクを大きく減らせます。小規模事務所だからこそ、トラブルが起きた際に大きなダメージを被る可能性があると考えれば、事前対策の重要性はむしろ高いといえるのです。

SSL化に加えて検討すべきセキュリティ強化策

WAF(Web Application Firewall)の導入

SSL化で通信が暗号化されても、ウェブアプリケーション自体に脆弱性があると、SQLインジェクションやXSSなどの攻撃を受ける可能性があります。そこで、WAF(Web Application Firewall)を導入することで、不正なリクエストを検知・遮断し、サイトを保護することができます。設計事務所のサイトには多数の画像やドキュメントがアップロードされることも少なくないため、WAF導入は安心感を高めるうえで有効な手段です。

マルウェア対策とサイバー保険

設計事務所のパソコンやサーバーがマルウェア(ウイルスやランサムウェアなど)に感染すると、内部ネットワーク全体に影響が及ぶ可能性があります。特にランサムウェアはファイルを暗号化して開けなくさせる攻撃であり、設計図や契約書などの重要書類を人質に取られる形で、多額の身代金を要求される事例が世界中で報告されています。ウイルス対策ソフトの導入や最新の定義ファイルへの更新はもちろん、メールの添付ファイルや外部記憶媒体の取り扱いにも厳重な注意が必要です。

さらに、セキュリティインシデントに備えて、サイバー保険を検討するのも一つの選択肢です。万が一の情報漏洩やサイバー攻撃による損害を補償する制度が整いつつありますので、設計事務所のリスクプロファイルに応じて保険の検討をすることで、金銭面のダメージを軽減できるかもしれません。

社員教育と啓蒙活動

セキュリティ対策はツールやシステムだけでなく、人の意識改革が非常に重要です。たとえSSL化をしていても、社員がフィッシングメールのリンクを不用意にクリックしたり、パスワードを使い回ししていたりすれば、安全性は担保されにくくなります。そこで、定期的に社内向けのセキュリティ研修を実施し、最新のサイバー攻撃事例安全なパスワード管理の方法などを共有することが求められます。

設計事務所では、プロジェクトに携わるスタッフが外出先やクライアント先でモバイル機器を使うことも多いでしょう。その際、公衆Wi-Fiを利用して業務データにアクセスする場面なども想定されます。こうした場面での注意点を意識し、VPN(仮想プライベートネットワーク)の活用などを推奨することで、リスクの大幅な軽減が期待できます。SSL化だけではなく、組織全体のセキュリティリテラシー向上が、長期的な対策として不可欠なのです。

まとめ:SSL化を怠らないことが設計事務所存続のカギ

設計事務所にとって、インターネット上のセキュリティ対策は避けて通れない課題となっています。特に、SSL化を行わないままウェブサイトを運用すると、クライアント情報の漏洩や信用失墜、賠償問題、さらには事務所のブランドイメージの破壊など、多大なリスクを背負い込むことになるでしょう。また、検索エンジンでの評価低下による集客機会の喪失など、ビジネス面でも大きな損失を被る可能性があります。

しかし、SSL化は比較的容易に導入できる基本的なセキュリティ対策でもあります。無料SSL証明書の普及や、ホスティングサービス側のサポート充実により、導入コストや手間は以前より格段に下がりました。導入後も、適切な証明書の更新やmixed content対策、サーバー・CMSのアップデートなどを継続的に行うことで、設計事務所のウェブセキュリティレベルを維持・向上していくことができます。

そして、SSL化だけにとどまらず、WAF導入やマルウェア対策、社内教育といった多角的なアプローチを組み合わせることで、より強固なセキュリティ体制を築けるでしょう。建物の設計やデザインを行う際に安全面を最優先するのと同様に、ウェブセキュリティも事務所としての信頼構築において最優先事項となりつつあります。大切なクライアント情報やプロジェクトデータを守り、安心してサービスを提供できる環境を整えるためにも、SSL化は今すぐ取り組むべき重要なステップです。

設計業界で競合が激化する現代、信頼と安心感を提供できる事務所こそが顧客から選ばれ、長期的に成長を続けていけるのだと思います。ぜひ早めにSSL化を導入し、これを機に総合的なセキュリティ対策を見直してみてください。そうすることで、クライアントとのやり取りがスムーズになるだけでなく、事務所全体のデジタル基盤が強固になり、結果的には案件獲得の確度やブランドイメージの向上に大きく寄与するはずです。安心・安全なオンライン環境を整え、これからの設計ビジネスをさらに発展させていってください。

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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。