そのまま使っていませんか?古いWordPressが招く悲劇のパターン

「手軽にホームページが作れる」と聞いてWordPressを導入したものの、制作会社に作ってもらったきり、あるいは自社で立ち上げたきり、何年も更新せずに放置してしまっている。そんな事業者様は、実は少なくありません。

しかし、その「放置」が、気づかぬうちに深刻な「悲劇」を引き起こす可能性があることをご存知でしょうか?

この記事は、「ホームページ制作をWordPressで検討している」「WordPressサイトのリニューアルを考えている」「WordPressの運営方法に不安がある」といった事業者様に向けて、古いWordPressを使い続けることの具体的なリスクと、そうした悲劇を未然に防ぐための知識を、専門的な視点から解説します。

一般的なセキュリティの話だけではなく、ビジネスの機会損失という、より深刻な問題にも焦点を当てていきます。

もくじ

悲劇のパターン1:セキュリティリスクという名の「時限爆弾」

古いWordPressを使い続ける最大のリスクは、何と言ってもセキュリティの脆弱性です。これは、ただ「ウイルスに感染する」といった単純な話ではありません。事業の根幹を揺るがしかねない、まさに時限爆弾のような危険性をはらんでいます。

ある日突然、自社サイトが改ざんされる

最も頻繁に起こる悲劇が、ウェブサイトの改ざんです。

  • トップページに、自社と全く関係のない過激な画像やメッセージが表示される。
  • 身に覚えのない商品販売ページや、違法なサイトへのリンクが大量に設置される。
  • サイトの全データが消去され、表示されなくなる。

これらは、古いWordPress本体(コア)や、プラグイン、テーマに含まれる脆弱性を悪用した攻撃によって引き起こされます。WordPressはオープンソースで世界中に普及しているため、攻撃者にとっても格好のターゲットです。脆弱性が見つかると、その情報は瞬く間に世界中のハッカーに共有され、自動化されたプログラムによって無差別に攻撃が仕掛けられます。

【事例:地域密着型の歯科クリニック】
ある歯科クリニックのサイトが改ざんされ、トップページに海外のアダルトサイトへのリンクが無数に貼られるという事件がありました。患者さんが予約のためにサイトを訪れた際にその画面を見てしまい、クリニックの信頼は大きく損なわれました。原因は、5年前に制作されたサイトで使われていた予約フォームプラグインの古いバージョンが持つ脆弱性でした。復旧には1週間以上かかり、その間の予約機会の損失はもちろん、地域社会での評判回復にはさらに長い時間が必要となりました。

顧客情報の漏洩で社会的信用を失う

お問い合わせフォームや会員登録機能があるサイトの場合、事態はさらに深刻です。古いWordPressの脆弱性を突かれてデータベースに不正アクセスされると、顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、場合によってはパスワードなどの個人情報がごっそり盗まれてしまう可能性があります。

情報漏洩が発生した場合、被害者への謝罪や補償はもちろん、監督官庁への報告義務も生じます。そして何より、「あそこは顧客情報をきちんと管理できない会社だ」というレッテルが貼られ、一度失った社会的信用を取り戻すのは極めて困難です。

検索結果からの追放(Googleブラックリスト入り)

サイトがマルウェア(ウイルス)に感染したり、フィッシングサイト(個人情報を盗むための偽サイト)の踏み台にされたりすると、Googleなどの検索エンジンはそのサイトを「危険なサイト」と判断します。

そうなると、ユーザーが検索結果からあなたのサイトにアクセスしようとした際に、「このサイトは安全ではありません」「このサイトにアクセスするとコンピュータに損害を与える可能性があります」といった赤い警告画面が表示されるようになります。

こうなると、誰もあなたのサイトを訪れてはくれません。実質的に、Googleの検索結果から追放されたのと同じ状態になり、ウェブからの集客は完全にストップしてしまいます。

悲劇のパターン2:知らないうちにビジネスチャンスを逃す「機会損失」

セキュリティリスクが「攻め」のリスクだとすれば、こちらは「守り」に関わる、静かに、しかし確実にビジネスを蝕んでいく悲劇です。古いWordPressは、現代のウェブ環境に対応できず、知らないうちに多くのビジネスチャンスを逃しています。

表示速度の低下が引き起こす「訪問者の離脱」

ウェブサイトの表示速度は、ユーザー体験とSEO(検索エンジン最適化)の両方において、極めて重要な要素です。現代のユーザーは非常にせっかちで、ページの表示に3秒以上かかると、約半数が離脱すると言われています。

古いWordPressは、以下のような理由で表示速度が遅くなりがちです。

  • 古いPHPバージョンへの依存: WordPressが動作するサーバーのプログラム言語「PHP」は、バージョンが新しくなるほど処理速度が高速化します。しかし、古いWordPressは最新のPHPバージョンに対応しておらず、低速な古いバージョンで動作させざるを得ません。
  • 非効率なコード: 古いテーマやプラグインは、現代のウェブ標準に最適化されていない非効率なコードで書かれていることが多く、ページの読み込みを遅くします。
  • 最新技術への未対応: 画像の次世代フォーマット(WebPなど)や、ブラウザのキャッシュ機能など、表示を高速化する新しい技術に対応できていません。

サイトの表示が遅いだけで、あなたのサイトを訪れた潜在顧客は、あなたのサービスや商品の価値を知る前に去ってしまいます。これは、店舗のドアが重くて開けづらいために、お客さんが入店を諦めて帰ってしまうのと同じです。

スマートフォンでの見づらさが招く「顧客体験の悪化」

今や、ウェブサイトへのアクセスの大半はスマートフォン経由です。スマートフォンで快適に見られないサイトは、存在しないのも同然と言っても過言ではありません。

古いWordPressテーマの中には、レスポンシブデザイン(画面サイズに応じて表示が最適化されるデザイン)に完全に対応していないものが存在します。

  • 文字や画像が小さすぎて、ピンチアウト(指で拡大)しないと読めない。
  • ボタンが小さすぎて、押し間違えてしまう。
  • パソコンでは表示される情報が、スマートフォンでは表示されない。

このようなサイトは、ユーザーに多大なストレスを与えます。せっかく興味を持って訪れてくれたユーザーも、「このサイトは見づらいから、別の会社を探そう」と判断してしまうでしょう。ホームページ運営において、スマートフォンユーザーをないがしろにすることは、最も避けるべきことの一つです。

【事例:老舗の和菓子店】
ある老舗和菓子店は、10年前に制作したWordPressサイトを運営していました。PCでの見た目は美しかったものの、スマートフォンでの表示は考慮されていませんでした。近年、SNSで商品が話題になりアクセスが急増しましたが、そのほとんどがスマートフォンユーザーでした。しかし、サイトが見づらく、オンラインでの購入方法も分かりにくかったため、せっかくのアクセスがほとんど売上につながりませんでした。後にスマートフォン対応のサイトへリニューアルしたところ、オンラインストアの売上が月間で5倍に伸びたそうです。これは、古いサイトがいかに大きな機会損失を生んでいたかを物語る事例です。

機能拡張の限界と時代遅れの見た目

ビジネスが成長するにつれて、「オンライン予約機能を追加したい」「動画コンテンツを埋め込みたい」「もっと魅力的なデザインにしたい」といった新しいニーズが生まれるのは当然のことです。

しかし、古いWordPress環境では、これらの実現が困難になるケースがあります。

  • プラグインの非互換性: 新しい便利なプラグインを導入しようとしても、古いWordPressのバージョンに対応しておらず、インストールできない。
  • テーマの制約: デザインを今風にリニューアルしようにも、使っているテーマのカスタマイズ性が低く、大幅な変更ができない。
  • ブロックエディタ未対応: 現在のWordPressの標準である直感的な「ブロックエディタ」に対応しておらず、旧式の使いにくいエディタで更新作業に多大な時間がかかる。

結果として、サイトは古臭いデザインのまま、ビジネスに必要な機能も追加できず、競合他社が新しいウェブ戦略で成果を上げるのを指をくわえて見ているしかなくなります。

悲劇はなぜ起こる?「作って終わり」という大きな誤解

多くの事業者様がこうした悲劇に見舞われる根本的な原因は、「ホームページは一度作ったら終わり」という誤解にあります。

WordPressサイトは、家や車と同じです。建てっぱなし、買いっぱなしでは、時間と共に劣化し、やがては安全に住めない、快適に走れない状態になってしまいます。定期的な点検やメンテナンス、時代に合わせたリフォームや部品交換が必要不可欠です。

WordPressの「更新」とは、まさにこのメンテナンスに当たります。

  • WordPressコアのアップデート: 機能向上、バグ修正、そして最も重要なセキュリティ脆弱性の修正が行われます。
  • プラグインのアップデート: WordPressコアと同様に、脆弱性の修正や機能改善が行われます。
  • テーマのアップデート: デザインの改善や、新しいWordPressバージョンへの対応、脆弱性の修正が行われます。

これらの更新を怠ることが、前述したような全ての悲劇の直接的な引き金となるのです。

WordPressに関するよくある質問(Q&A)

ホームページのリニューアルや運営を検討されている事業者様からよくいただく質問をまとめました。

Q1. どのくらいの頻度で更新すれば良いのですか?

A1. 理想を言えば、更新の通知が来たら速やかに行うのがベストです。特に「セキュリティアップデート」と明記されているものは最優先で対応すべきです。実務的には、月に1回はログインして、WordPress本体、プラグイン、テーマの更新がないかを確認し、実行する運用が推奨されます。

Q2. 更新ボタンを押したらサイトの表示が崩れてしまいそうで怖いです。

A2. その懸念はもっともです。特に、長期間更新していないサイトを一気にアップデートすると、プラグイン同士の互換性の問題などで表示が崩れる(デグレード)リスクがあります。そのため、更新作業の前には必ずサイト全体のバックアップを取ることが鉄則です。万が一問題が発生しても、バックアップからすぐに元の状態に戻せます。専門家に依頼する場合、このバックアップと復旧作業までを含めて依頼するのが一般的です。

Q3. 自分(自社)で更新作業はできますか?

A3. WordPressの管理画面から更新ボタンを押すだけなので、作業自体は難しくありません。しかし、Q2で述べたようなリスクが伴うため、バックアップの取得方法や、問題発生時の原因切り分け・対処がある程度できる知識が求められます。自信がない場合や、本業に集中したい場合は、専門知識を持つ制作会社や保守サービスに任せる方が安心です。

Q4. WordPress本体だけ更新すれば、プラグインはそのままでも大丈夫ですか?

A4. いいえ、危険です。攻撃者はWordPress本体だけでなく、広く使われているプラグインの脆弱性も常に探しています。むしろ、プラグインの脆弱性を狙った攻撃の方が多いくらいです。WordPress本体、プラグイン、テーマは三位一体と考え、すべてを最新の状態に保つことが重要です。

Q5. 今のところサイトは問題なく動いているのですが、それでも更新は必要ですか?

A5. はい、「問題なく動いているように見える」だけかもしれません。セキュリティの脆弱性は、表面上は何も問題がないように見えても、水面下で存在しています。そして、攻撃は予告なく突然やってきます。事故が起きてからでは手遅れです。問題が起きていない今だからこそ、予防的な措置として更新を行うべきです。

Q6. テーマの更新とプラグインの更新、何が違うのですか?

A6. テーマはサイト全体の「デザインや骨格」を、プラグインは「追加機能(お問い合わせフォーム、SEO対策など)」を司っています。更新の目的はどちらも同じで、セキュリティの強化、バグ修正、機能改善です。サイトを構成する重要な要素である点は変わりませんので、どちらも等しく更新が必要です。

Q7. 専門家に保守を依頼すると、費用はどのくらいかかりますか?

A7. サイトの規模や依頼する作業範囲(月次の更新作業のみか、軽微な修正作業も含むか、サーバー管理まで任せるかなど)によって大きく異なりますが、一般的な中小企業のサイトであれば、月額1万円~5万円程度が相場の一つと言えるでしょう。単発の更新作業依頼よりも、月額の保守契約を結ぶ方が、結果的にコストを抑えられ、継続的な安心感も得られます。

まとめ:WordPressは「育てる」資産である

WordPressは、一度作れば自動的に集客してくれる魔法の箱ではありません。ビジネスの成長を支える強力な「資産」であり、その価値を維持・向上させるためには、愛情を持って定期的にメンテナンスし、育てていくという視点が不可欠です。

古いWordPressを放置することは、セキュリティリスクに自社と顧客を晒し、貴重なビジネスチャンスを棒に振り、企業の信頼を失墜させる「悲劇」につながります。

もし、あなたの会社のサイトが長年更新されていないのであれば、それはもはや資産ではなく、いつ爆発するかわからない「負債」になっているかもしれません。

まずは一度、自社のWordPressサイトのバージョン情報を確認してみてください。そして、安全で、ビジネスに貢献し続けるウェブサイトを運営するために、今後のメンテナンス体制について真剣に検討を始めることを強くお勧めします。それが、未来の悲劇を防ぐための最も確実な第一歩です。

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ozasaオフィスピコッツ株式会社代表取締役社長
1971年奈良県生まれ。京都・滋賀を中心にWeb制作・DX支援を行うオフィスピコッツ株式会社代表取締役。制作歴25年以上、官公庁・大手企業から中小まで多様なサイトを手掛け、Webアワードでの受賞歴多数。ホームページ制作、リニューアル、SEO、補助金活用、多言語EC・オンラインショップ運営支援までワンストップ提供するWebマーケティングのプロ。新規事業立ち上げ支援や自治体DX、各種プロジェクトのアドバイザー、大学校・高校講師、PTA会長など活動は多岐にわたる。琵琶湖観光PRにも情熱を注ぎ、地域企業の売上向上と持続的成長を伴走型で支援し、日々研鑽を続けている。